第2話 部署のオッサン

 屋上のプレハブ小屋。

 室外機が動いているので空調は効いているようだった。

 立て付けの悪い引き戸を力づくで開けて入室する。


「失礼します」

「あー?」


 プレハブ小屋の中、馬鹿でかいソファがあった。

 その上に寝転がっていたオッサンがジロリと俺を睨んだ。オッサンはよれよれのTシャツにハーフパンツ。部屋着かよ。そしてボサボサの頭に無精髭。自分ちか。でもって休日か。

 

 と、口に出すわけにもいかず、俺は社会人らしく挨拶をした。


「お、おはようございます。本日からこちらに配属になりました――」

「あー、はいはい。ヅラにゲロの大型新人クンかー」

「ヅラにゲロって」

「違うのかー?」

「いえ」

「よろしくな、ゲロ」

「その呼び方はちょっと……」

「ならヅラだな」

「もうどっちでもいいっす」

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