第6話 ぬるま湯

 出勤してもすることがない。暇だ。

 オッサンは漫画を読んだりスマホをいじったりしている。


「お前も、遠慮せずに自由にしてたらいいぞー」


 と言われてもなあ。


「査定に響いたりとかしないすかね?」

「大丈夫大丈夫」


 このオッサンは何を根拠にそんな平然と。


「俺、これでも課長クラスじゃあ結構上位の給料もらってるんだぞー」

「マジすか?!」

「それにお前の査定は俺がするんだからさー、いいんだよ大体でー」

「な、なるほど?」


 一理あるような、ないような。


「やる時にやることやってくれりゃ文句ないからなー」

「そっすか」

「そうそう」


 そんなわけで、翌日俺は携帯ゲーム機を会社に持ってきたのだった。

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