第3話 好きなのは、厚焼き玉子サンド
月曜の朝、目が覚めたときに誰かの体温が横にあるというのは、予想以上に私の心を揺らした。
先週末に俊助はうちに越してきた。その日の昼ごはんはそばだったし、目に見えて浮かれていた。
「ありがとう、洋子さん。でも洋子さんの仕事は邪魔しないようにするから」
そう言いながら、俊助は私をぎゅっと抱きしめた。
いちいち抱きしめるのは、この男の癖なのだろうか。
「うん、よろしく。私は好きにするから」
実際、日曜は私は一日中持ち帰った仕事や関連資料の読み込みをしていたし、俊助も課題があるらしく、パソコンでレポートを作っていた。
通常運転で過ごしていたつもりが、月曜の朝、いつも以上に温かな布団に脳がバグったみたいだった。
俊助はいつも私のことを抱きしめながら寝る。だから、目が覚めると私はいつもその体温に包まれている。
私は携帯のアラームを止めながらその腕の中から出た。
あぁ、土曜の朝だって勘違いしたのか・・・もう少しうとうとしていたいなんて、変なの。
「洋子さん、おはよう」
「あ、ごめん、寝てていいから」
私は着替えならが返事した。
「昨日、朝ご飯は食べる時間ないからって言ってたけどさ、卵サンド作ったんだ。ラップに包んでるから、よかったら会社で食べて」
まだ眠そうな声で俊助がしゃべる。
いつも朝食を食べる時間はないため、フルーツジュースで済ませたり、コンビニで小さめのパンを買って会社で食べたりしていた。
キッチンを見ると、布巾で包まれたサンドイッチが置いてあった。
あ、これ私が好きなタイプの卵サンドだ・・・
ゆで卵が刻まれているやつじゃなくて、厚焼き玉子が挟まっているやつ。
この厚焼き玉子がちょっと甘くて、一緒に挟まっているハムとケチャップの塩気とよく合うのだ。
「ありがと。会社で食べる。じゃ、私もう行くから」
私がコートを羽織りながらベットの中の俊助に話しかけると、何がそんなにうれしいのか幸せそうな顔で笑った。
「うん、行ってらっしゃい、洋子さん」
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