4. 夫の言い分(3111・3112)

3111 すべもなき 片恋かたこひをすと このころに ぬべきは いめえきや


3112 いめて ころも よそに いも使つかひぞ さきだちにける



(どうしようもない 片恋をしてしまったと このごろ 私が死にそうなのは 夢に見ましたでしょうか)


(夢に見て 衣を取って着て 支度をしている間に あなたのお使いが 先にやって来てしまったのですよ)


巻12 3111番、3112番




妻が、なかなか会いに来てくれない夫をせめて「私が苦しんで死にそうなのを夢に見たか」と問う。それに対しての夫の言い訳である。


「今ちょうど行く準備をしていたんだ、そこにあなたのお使いが来たのだ」と。


問い詰めてくる妻の歌を前に、タジタジする夫の様子が目に浮かんで、なかなか面白い。現代でも見られそうな、夫婦の一幕が描かれている。





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