第41話 俺が美少女達と過ごすはずがない……
「んで、朝の話の続きなんだけど……。」
体育の授業の体育の授業が終わり、俺は玄白に朝の話の続きをしていた。そう、不良達の報復対策の相談だった。それなのに玄白は……。
「ああ、モテてるのにモテないといってる事か?にくいねぇ〜。」
「ちゃうわ!!俺はそこまで自意識過剰じゃない!!それにお前の方がモテるだろ?」
「またまた〜、ご謙遜を〜!!美内さんともいい感じだし。」
人の気も知らず茶化してくる玄白に軽く殺意を覚えるが、その事にとやかく言っていても話が進まない。玄白の言葉を流して本題に入る。
「いや、まぁいい……。この前の不良の件なんだけど、今後も絶対に俺や美内さんに絡んでくるだろうから、それが不安で……。」
俺の言葉を聞いて玄白は真面目な表情に変わる。
「俺一人なら人数がいたところでいくらでも対処は可能だけど、美内さん一人の時に襲われたら大変だろ?だからどうしたものかと。」
「ふむ、確かにお前の彼女が襲われたら大変だよな?」
玄白はにやけながら俺の腕を小突く。
「だから、あいつとは幼なじみなだけだって!!それに、義妹といい幼馴染みといいあいつらは顔だけはいいから狙われやすいだろうから近しい人間として心配なだけだよ。」
「まぁ、確かにクラスの3大美少女だからな〜。心配なのはよくわかる。よくもまぁ、お前の近くに集まったもんだ。」
と言って、彼は何かを考え始めた。
「別に俺に関係があるわけがないと思うけど?アイドル様なんて雲の上の人だよ。」
考え事をしている玄白を尻目に俺は話を続ける。
義妹と幼馴染みに関していえば無関係とは言い難い。
だけど、アイドル様に関しては俺との接点はない。
あるとすれば義妹の友達であると言うことだけだ。
だが、彼女はなぜか知らないが俺のことをよく見ている(気がする)。
そして、どこか親しげな様子を見せてくることがあった。
……どこかで会ったことがあったかな?
俺はアイドル様が俺を気にかけてくる理由を探す。
昔に会っていたらすぐに気がつくと思う。
彼女のような美人なら忘れることはないだろう。
だが、彼女に見覚えがない……。
だから、アイドル様の態度にはこちらも困惑している。
「よし、決めた!!お前、(今日←聞こえていない)俺と付き合え!!」
俺が考え事をしていると玄白が突拍子のないことを言ってくる。
その言葉に俺はどきっとする。
……何を言ってんだこいつは!!
「い、いや、遠慮しとく。オレハノンケデイタイ……。
玄白の言葉に戸惑いながらも俺は彼に返事を返す。
何度でも言おう、俺はノーマルだ!!(心の叫び)
「はっ、何言ってんだよ?今日の放課後、俺に付き合えって言ってんだよ。カラオケ行こうぜ〜!!」
玄白は戸惑っている俺をよそにノリノリでカラオケに誘ってくる。
「か、カラオケ!?なんでだよ!!」
突飛な提案と俺の聞き違いに恥ずかしさを覚えながら反応すると、玄白はいやらしい笑いを浮かべる。
「ちょっと考えがあってな。あと、美内さんと海西妹を連れてきてくれるか?」
「なんでだよ!!美内さんはともかく、妹は来ないと思うぞ。あいつ、相当俺のことを嫌っているから……。」
俺は義妹に言われてきたことの数々を思い出す。
ここ最近はその暴言も減ってきた気がするが、彼女が俺の誘いに乗るはずがない。
「そうなのか?なら、俺から声をかけてみるから、美内さんの方を頼んでもいいか?」
「わかった。声だけは掛けてみるよ。来るとは限らないけど……。」
俺が自信なさげに答えると、玄白はずいっと俺に顔を近づけてくる。
「いや、絶対に連れてこいよ!!お前らの今後のことにも関わるんだからな!!」
「わ、わかった。」
玄白の有無を言わさぬ迫力に負け、俺は後退りながら頷く。
教室に戻った俺たちは義妹と幼馴染みの姿を確認する。
すると、彼女達はアイドル様やギャルと一緒に話をしていた。
アスが義妹と一緒にいたことにホッとしながらも、彼女達の方に足を向けるのを躊躇していると、見かねた玄白が俺の背中を押す。
背中を押された俺はつんのめりながら、彼女達の前に立つ。
その様子を見た彼女達は会話をやめ、目線をこちらに向ける。
義妹は俺から目線を逸らし、アイドル様はどこか戸惑っている様子を見せる。そしてギャルについてはこちらをなぜか疑うような目で見せる。
女子達の視線に俺はオロオロと、挙動不審な状態に陥る。
「……どうしたの、りっくん?」
幼馴染みが俺の様子を見てきょとんとした表情で尋ねる。
その声に他の3人の視線が一気に幼なじみに向く。
しかも、どこか驚いた表情でだ!!
「いや、美内さんに放課後、ちょっと付き合って欲しいところがあるんだけど……。」
その言葉に幼馴染みは顔を真っ赤にさせながら、「は、はい!!くぁwせdrftgyふじこlp……。」と言うが、最後の方はうまく聞き取れなかった。
俺の言葉に義妹は軽く肩を落とし、アイドル様は絶望に満ちた表情に早変わりし、ギャルは鋭い視線を俺に送る。
そんな幼馴染を除いた女子の様子に戸惑いながらも、俺は幼馴染を誘えたことにまずはほっとする。あとは強敵の義妹だけなのだが……。
「よかった……。あと、空にも一緒に来て欲しいんだけど……。」
俺は恐る恐る義妹に声をかけると、異様だった空気がますます一変した。
義妹は俺の言葉に固まり、幼馴染みは真っ赤にしていた顔から一変して「はっ?」と言う顔に変わる。そして、アイドル様はますます絶望に満ちた顔になり、ギャルは握り拳を固めている。
「な、なんでよ。なんであんたと一緒に行かないといけないのよ!!」
異様な空気を察したのか義妹は慌てて疑問をぶつけてくる。
「い、いや。玄白がお前達に用事があるとかで……。」
玄白の話をすると、義妹は不快感MAXと言った顔でこちらを見る。
「じゃあ、いやよ!!なんで玄山くんやあんたと一緒に行かないといけないの?明日香も!!」
俺のことを睨みながら、義妹は幼なじみの肩を持って、「ねぇ?」と言う。
すると、幼馴染みは「いや、私はりっくんに呼ばれたら行くけど……。」と言うので、義妹はありえないと言った顔をするが、しばらく考えたそぶりを見せる。
「わ、わかったわよ!!行けばいいんでしょう?行けば!!」
何を思ったか義妹は今までの発言をひっくり返して一緒に来る気になったようで、強い口調のままついてくることを承知する。
「あの……、海西くん。私達も一緒に行っていいかしら?」
目のハイライトが消えたアイドル様がギャルの肩を持つと力なく俺に同行を願い出てきた。アイドル様の発言にギャルは「なっ!?」と言う
……なぜ?と思いながらも、俺は玄白に許可を求める。
「うん、いいんじゃね?いろいろ手間が省けるし。」
……手間?
俺は玄白の言葉の意味がわからないまま、クラス三大美少女(+オマケ)と一緒に放課後にカラオケに行くことになってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます