3限目 席替え①

 今日は、この学校生活の命運を分ける一世一代の大勝負だ。何のことかというと、そう、席替えだ。

 この席替えというイベントはぼっちにとって、一番と言っていいほどの大事な事なのだ。

 この席替えで、真ん中かつ前の方の席を引いてしまった日には次の席替えまで地獄をみる。逆に、端の方かつ後ろの席を引ければ天国へと変わる。たかが席替えでそんなに変わるか?と思っただろう。

 そういう奴の為に説明すると、後ろかつ端の席を引けた場合、授業中先生に当てられる回数がへる。かつ他のクラスメイトから浴びる視線も少なくなる。他にも色々あるが、大体こんな感じだ。

 そろそろくじの順番が回ってくる。僕は目を凝らせば透けて見えそうな折りたたまれている紙を取る。中を開くと37と書いてあった。勝った。僕のクラスは40人クラスだ。最後の列は6人なので前から3番目だ。だが何より端の席を引けた。これで、僕の学校生活は地獄にならずに済んだ。

 さて、ここからは隣の席が誰かが問題だクラスのDQN的存在でなければいいが。

 隣を見るとそこには、朝日奈夏菜あさひななつながいた。

 朝日奈夏菜、クラスの中心人物にしてクラス委員長だ。顔立ちは可愛い系で、その人懐っこい性格から、男女共に人気がある。夜桜とは系統が違うが、学年で上位に入る可愛さだろう。朝日奈を眺めていると、朝日奈がこちらに振り向いた。


「御影君だよねっ!!隣の席よろしくね!私の事分かる?」

「流石にクラスメイトの名前くらい分かるよ。」

「そうだよね!ごめん。御影君あんまり人に興味無いのかなって思ってた。」

「興味無かったとしても名前くらいは覚えてるよ。」

「そっか。あっLINE交換しよ〜!」

「えっ。別にいいけど」

「やった〜。」


 朝日奈が僕のスマホのQRコードを読み取る。これが僕の高校生活初めてのLINE友達だった。こんなにあっさりとするものなのか。朝日奈はニコニコしてこっちを見てる。勘違いするから止めてくれ。どうせ朝日奈は誰に構わず交換してるんだから。


「誰でも交換してるって訳じゃないんだからね!御影君と話したいなって思ったから交換したんだよ!」

「朝日奈ってエスパーなの?」

「御影君がそう言いたそうな顔してたんだよ!」

 

 朝日奈が口を尖らせながら言った。



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ぼっちなふたりのラブコメ くると @kuruto66

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