第19話 変化 新型機
1956年9月12日11:06:13
ウォーソード隊はスーダン上空に着いた。
彼らは早速RA-AF第四基地に向かったがそこには敵の機体が並んでいた。
数こそ多くはないが今まで見たことの無い機体だった。
小型・単発型になったF-22のようにも見える。
謎の機体を破壊しようと基地に近づくと突然機内がアラーム音で満たされた。
何故アラーム音がなったのかを探り当てるべくレーダーの探知距離を最大にしてみるとその原因が分かった。
「こちら"Y"、レーダーに敵反応あり。数、3!」
「了解。こちら"R"全機に次ぐ。撃墜せよ。」
Rことラニーニャの指示が下ると隊員たちは敵機に向かった。
1番に向かった隊員のHUDには"TSF-01"と表示されていた。
「こちら"W"、敵の新型機を確認。名はTSF-01である。慎重に行動し、情報収集を求む。」
Wが各員に伝えると敵機は素早く自機の近くを通り抜けた。
ジェットエンジンのように轟音を立てながら通過せず、まるでライトセーバーを振りかざしているかのような音だった。
「こちら"W"。今敵機が横を通った。敵機はジェットエンジンを使用していない可能性が大。加速も従来のジェットエンジンを超えている可能性も考慮すると、危険度6程度だろう」
「こちら"A"、了解。撃墜する。」
Aは直ぐに機首を敵機に向け、ミサイル発射ボタンを押した。
主翼下から切り離されたミサイルは少し遅れて点火し、加速した。
放たれたミサイルは徐々に距離を縮めもう少しで当たる距離まで迫った。
しかしミサイルは敵機の急な回避運動についていけず直撃せず通り過ぎてしまった。
ミサイルが外れた事でHUDには[miss]と表示された。
先程ミサイルを回避した機体はAにヘッドオンを狙うような素振りを見せた。
「こちら"A"。もう一度仕掛ける。」
そう言ったAは直ぐに仕掛けた。
Aに向かってきた敵機はミサイルの射程圏内に入った事を確認しミサイルを放った。
それに気づいたAはフレアを炊くと同時に右へ機体を振った。
フレアの熱に騙された敵のミサイルはそのまま進んで行った。
回避したAは敵の後ろを取ろうと回り込むが敵機の加速が良く、こちらがついていけない状況になっている。
そこでAは隊員に策を伝えた。
「恐らく敵機は無人機。それもまだ初期のシステムを使ったものだと推測される。6機は敵を囲むように円を描きながら飛行を頼む。」
サメが獲物を追い込むようなイメージを空でやると言うのだ。
初期の無人機であるならそこまでの判断はできないだろうと考えた結果だ。
A以外の6機はすぐさま円を描くように飛行し、敵機を抑えた。
敵機が次の行動に迷っている間にAはミサイルを放った。
放たれたミサイルは敵機の背面部にあるエアインテークからエンジン部分にかけての長い構造物に被害を与え、しばらく降下したあと爆散した。
爆散地点を見るにパイロットは確認できず、予想どうり無人機だった。
「こちら"A"。敵機の撃墜を確認。パイロットは確認できず。以上。」
「こちら"R"。残りのに2機を撃墜せよ。実力が分かれば簡単に落とせるはずだ。やってみよ。」
ラニーニャの指示に従い、1分足らずで敵機を殲滅した。
「こちら"D"。皆さんお疲れ様です。先程の機体はエジプト西戦線では見かけなかった機体ですね。」
「確かにそうっすね。今回みたいに少数で向かってくるのはいいんすけど、大編隊並の量で来られると辛いと思うっす。きゅうりおろしさんがくれたこの試作改修型機ですら着いていくのでやっとっすからねぇ…」
「まぁ、きゅうりおろしさんにもっといい機体を作って欲しいと思うならまずデータを取らないとな。」
「喋ってないで西に行くぞ!話ならあの空母の館内でも充分だろ?」
「そうっすね"R"!」
その後彼らはスーダンに存在するRA-AF第四基地を奪還し、西へ西へと切込みを入れ続けた。
1956年9月12日16:53:00
中部最後の国"ギニア"までの切込みが終わり、その先で待機していた装甲空母セイニャールに順次着艦した。
次々と格納されていく機体をRが眺めていると誰かが右肩を"ポンポン"と優しく叩いた。
誰かと思い右に振り返るとそこには1度お世話になった人の顔があった。
「お久しぶりですね!ラニーニャさん!」
「
「私、聞きましたよ?敵エースに負けた後タリバリンではなくウォーソードとして戦いを続けてるって!本当になの?!」
「ま、まぁ…そうだよ」
ラニーニャは苦笑いしながらそう言った。
続けてラニーニャは
「現時点で私は死亡扱いされているので…ラニーニャと呼ぶのは館内の1部の時だけにして貰えませんか?」
そういうと透華は"分かりました!ではそのように!"と、元気そうに返事をしてくれた。
「えーと、Rさん!次の任務まで時間があるんでしょ?それまでこのセイニャールに泊まっていかない?」
透華がそう言い、ラニーニャを誘うと意外にあっさりとラニーニャはそれを受け入れた。
こうしてラニーニャ達は次の任務までここで待機することとなった。
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