第13話 連戦

1955年6月19日14:00:00 TS国上空


「レーダーに反応!敵10!いや15…25…!まだまだ増えます!」


「TSの生産力はアメリカ並って事か…」


「ハイヤー、そう焦るな」


「いや、ラニーニャ。焦ってはないんだ…」


「なら、どうしたんだ」


「敵機体全てに空対空HEATミサイルが積まれていたらと思うと少し怖いと思ってしまって…」


「あれだけ高性能な代物だ。そう大量に積まれるものでも無いだろう。ただ…それが現実になりそうだぞ。」


タリバリン中隊の現在位置から遥彼方から敵の大編隊が2つ4つと波のように迫ってくる。


「本土決戦ですからね。国内に入れたくないのは当然ですが…この量は…」


「敵も生かして返すわけには行けないというのは同じ。まぁ、たった4年でこの地位に着いたウェンズだ。大丈夫さ!」


「おい、死の最前線でそんな気恥しいことを言わないでくださいよ。でもおかげで自信が着きました!ありがとうございます、ディビィレットさん。」


「ウェンズ、私の方が年下なんだからその言葉遣いはやめてくれよな(笑)帰国したら少し話かというものを伝授してやるからな!」


中隊員が会話していても敵の進行は止まらない。


「みんな!気は和らいだか?」


ラニーニャがそういうと全機機体をロールさせた。

楽になった証拠だろう。


「よし、なら全力を出せ。撃墜されてもいい、だが生きて本国に帰れ!これが中隊長としての最後の命令だ。」


全員「了解!」と返事をした後ラニーニャの「散開せよ!」の合図が無線を通して隊員に伝わった。


1955年6月19日14:18:32 戦闘開始


次々に襲いかかるTS国の戦闘機は徐々に戦線を押し戻し、開戦直後の勢いを取り戻しつつある。

敵大編隊が4つに対しRAはタリバリン中隊の7機だけ…

タリバリン中隊も負けじと敵機を落としてはいるがやはり戦いは数。

このまま戦い続けていても南アフリカ付近には到着できない…


そう思っていたその時


敵の大半がタリバリン中隊員の目の前で爆発四散した。


「今のは…?」


グスコーニュは驚いた顔をして後ろを振り向いた。


「…!?」


振り向いた先には大編隊が飛来していたのだ。

それを見たグスコーニュは

「援軍だ!援軍が来たぞ!!」

と興奮気味に言った。


「こちらRA-AF、タリバリン中隊員もう大丈夫だ。この場は私たちが引き受ける。君たちは核を破壊しに行くんだ。」


「その声は…こんにゃくおろし!?」


ラニーニャは驚いた。この戦場にこんにゃくおろしが来るなんて思わなかったからだ。


「驚くのは早いぞラニーニャ。お前たちに「プレゼント」を持ってきた。敵航空基地をこちらで早急に殲滅したのちに着陸してくれ。」


「プレゼント…了解しました!」


プレゼントが何なのか分からないままタリバリン中隊は味方航空機に着いていった。


先程の戦闘区域からそう遠くない位置に敵航空基地が点在していた。

今見えている基地だけでも8つ程ある。


だがその8つの敵航空基地もRA-AFの隊員たちの手で殲滅された。


攻撃した8つの敵航空基地の中で1番被害の少ない場所を選びタリバリン中隊は着陸した。


1955年6月19日15:00:03


例の「プレゼント」がラニーニャ達に届くと本国から無線連絡が飛んできた。


「もうすぐ着くそうだ。」


「ラニーニャ、結局プレゼントってなんなんだ?」


「そんな事私に聞かれても分からん…」


「ま、そうだよな!」


隊員たちはこれまでの事を振り返るなどして時間を潰していると…


「ん?何だこの轟音は…」


「聞いたことないですね…」


「確かに聞いたことねーな…まさか敵機って事は…?」


「いや、流石にないだろ!」


「慌てるな」


ラニーニャは目を凝らし遠方を見た。


「あれ…RA機じゃないか…しかも新機体か?」


「ホントっすね…またきゅうりおろしさんがやってくれたんすかねぇ!」


「まぁ、航空機の設計はきゅうりおろしが一任してるからな。これからもそれが変わることはないだろ!」


「そうっすね!」


ついに彼らの前にプレゼントが届いた。


「これは…?」


「これは本国の格納庫にあった最新機種であるF-57 UNKNOWNVALKYRIE-901Sの改良型の909SSLAだな。」


RA-AF F-57 UNKNOWNVALKYRIE 907SSLAは第5世代制空戦闘機として開発された707の正統改良版の最終型である。隊員たちがこれまで乗っていた機体性能を大きく上回り、本国での模擬戦では無敵を誇る。


「こいつが7機も…!?すごいな…」


「本国で見た時よりもより性能が向上してそうですね」


「こりゃあやるしかねーよな!」


「おぉ?新機体で気合いが入ったか?!」


「そりゃ入るぞ!」


隊員たちの顔はやる気に満ち満ちていた。


「よし、これからTS国の核を叩く。連戦に備えろよ!」


ラニーニャは隊員たちにそうつげ、新機体に乗り込んだ。

隊員たちもそれに続き乗り込み離陸準備を始めた。


「タリバリン中隊、発進!!」


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