第5話 アフリカ大陸侵攻作戦①

エジプト奪還作戦が終了した3日後にアフリカ大陸がTS国によって支配されている事が分かった。


そしてTS国はアフリカ大陸南部に存在している事も分かった。


TS国は名前だけはRA国に入っていたが場所までは特定出来ていなかったのだ。


エジプト奪還作戦前は大西洋側に位置しているのではないかとされていたが、事実は違った。


アフリカ大陸侵攻作戦を実行するにあたって5つのミッションをクリアしなければならない。


まず、アフリカ北部から中部にかけての制空権を奪取する事が優先される。

先の奪還作戦と同じように、制空権を取ってから陸軍を進行させるのだ。


だが、一度に制空権を取ることはせずに北部から徐々に南部へ前線を押し上げる事を作戦の第1段階として実行する。


1月28日

作戦が開始される2日前、矢嶋英樹やじま ひできは作戦の第1段階に備えてシュミレーターを使用して架空のラニーニャと模擬戦を繰り返していた。

もちろんラニーニャは敵機として登場し、矢嶋に向かってくる。


既に20回ほど模擬戦を繰り返しているが1度もラニーニャを撃墜できていない。


「ラニーニャ、アンタは強すぎますよ…本当に」


やめだやめと言いたげな顔をしながらシュミレーターから離れ、シュミレーター施設を出た。



次に矢嶋はカフェテリアに向かった。


RA国に存在する3つの航空基地には必ずカフェテリアが設置されていて、時間問わず多くの兵士たちが安らぎを求めてやってくる。


もちろん矢嶋もシュミレーターバトルでの疲れを少しでも取るためにカフェテリアに向かったのだ。


店内に入るとまるで矢嶋がこの店に入ってくる事を知っていたかのようにパイロットたちが矢嶋の元へ駆け寄ってきた。


RA国が誇る最強の空軍中隊7人のうちの1人なのでこういう事が起きてもおかしくは無いのだ。

しかし、矢嶋にとってはもう日常のようなものだ。


いつものようにカツ丼定食を注文しテーブル席で食事を済ませ、自室へ戻った。


自室へ戻るとそこには見慣れた質素な空間が広がっていた。


必要な物しか部屋に無く、まるでお手本のような部屋だ。


そんな質素な部屋に1つ輝きを放っているものがあった。

それは…


「あぁ…愛美まなみ夏南かなみ。お父さんは寂しいよ…」


輝きを放っているのは家族写真だった。


一人娘の夏南を挟むように矢嶋と愛美が両端にたっている。


空軍の決まりで「2週間に1度だけ地元に帰化しても良い」と言うのがあるのだが、戦争が勃発したせいで家族に会えないのだが、

一応こんにゃくおろしに「来週2日間地元に帰っても良い」と許可が降りているのでその時に帰る予定だ。


矢嶋は修学旅行前日の学生のように地元へ帰れることに喜びを感じていた。


しかし、世界はそう簡単に理想へと動いてはくれない。


予定より1日も早く、アフリカ大陸侵攻作戦の第1段階が開始される事となった。


朝5:00


タリバリン中隊員はこんにゃくおろしがいる作戦室へ向かい、詳細を聞きに行った。


「モロッコとアルジェリアに行った陸軍部隊が帰ってこない…だと?」


ラニーニャは驚きを隠せなかった。


だが矢嶋は冷静にラニーニャの隣で話を聞いていた。


「済まないな矢嶋。お前が予定していた事は無理みたいだ。」


「いえ、多分上手く行かないだろうとは思ってはいましたので。」


「そうか。作戦終了後、改めて謝るとしよう。これから君たちに特殊ミッションを与える!」


「特殊ミッションですか…?」首を傾げながらディビィレットは言った。


「そうだ。特殊ミッションだ。内容は…」


「モロッコ・アルジェリアの同時奪還とアフリカ大陸西部への領地拡大任務の支援を行ってもらう。空軍の戦力はタリバリン中隊のみで行うとする。」


内容は非常に難易度の高いものだった。

1歩間違えれば死に直面するほどの物だ。


しかしタリバリン中隊というのはエースの中のエースが集められた最強の航空中隊だ。

隊員達は皆「今回は少し疲れそうだな」といった雰囲気を出しているだけだった。


「今から3つに分ける。2・2・3という配分になるが…まぁいい。最初の2班はモロッコとアルジェリアに飛んでくれ。最後の班は西サハラからリベリアまでの制空権の確保を頼む。」


こんにゃくおろしがそう言った後、中隊員は勢いのある返事をして、自機に向かった。

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