第2話 防衛戦

タリバリン中隊の七機は西の夢空に飛んでいた。


離陸して2分後、管制から無線が飛んできた。


「こちら管制。タリバリン中隊聞こえるか」


「こちらタリバリン中隊1番機。ハンヴェラ・ラニーニャだ。」


「西、数キロ先に敵の大編隊が確認出来るか?」


「あぁ、確認出来る。」


「敵の大編隊は真っ直ぐ君達に向かっている。君達の実力なら問題は無いとは思うが、決して油断をしないように。」


「了解。」


「それともう一つだ。」


「何だ」


「8分以内にレーダーに映る全ての敵機を撃墜すれば報酬を上乗せしよう。」


「了解!」


「交戦規定はただ1つ、生き残る事だ。武運を祈る!」


「了解!」


管制との無線が終了したあとラニーニャは言った。

「お前ら、今の聞こえたかー?」


最初に応答したのは弥島英樹(ヤジマヒデキ)だった。

「もちろん、聞こえていましたよ。報酬の上乗せですよね?私たちなら楽勝ですよ!」


次にゼッペン・ハイヤーがラニーニャに対して返事をした。

「当たり前だろ?これすら出来なかったらこの中隊に配属されてないってーの!」


2人の返事の後ラニーニャは中隊全員に言い放った。


「よしお前ら、自由に撃墜かってこい」


中隊6人「了解!」


了解という返事のあと、彼らは別々に行動し、大編隊の真正面へと突撃して行った。


アフターバーナー全開で2分後、タリバリン中隊全機が大編隊の真正面に当たった。


そして戦闘が始まった。


ジェットエンジンの轟音やミサイルが虚無を通る音。機銃の射撃音など、様々な音がこの夢空に鳴り響いていた。


だが、おかしい。


タリバリン中隊全機がミサイルを一切使っていないのだ。


今撃墜した敵機も、先程倒した敵機も全て機銃で落としているのだ。


敵のコックピット内では様々な情報が無線を通して伝わっているのと同時に、タリバリン中隊に追い回されている者、振り切ろうとしても振り切れない者、撃墜された者からの必死の無線も入って来ている。


交戦開始から3分が経つ頃には大編隊だった敵戦闘機軍は1/10となった。


更に1分。


レーダーには敵機の反応が一機も無かった。


タリバリン中隊は大編隊を7人でたった4分で決着をつけたのだ。


交戦終了後、管制から無線が飛んできた。


「こちら管制、タリバリン中隊良くやった。約束通り報酬の上乗せをしよう。こちらのレーダーでも敵機の反応は無いので優雅に帰還して欲しい。以上だ。」


タリバリン中隊「了解!」


これで最初の防衛戦が幕を下ろしたのだった。

しかし戦争はまだ始まったばかりだ。

油断は禁物だ。


タリバリン中隊が第1空軍基地へ帰還すると空軍基地のパイロットから賞賛の声が響いた。


中隊員たちは賞賛の声を十分に受け取ったあと、司令室に足を運んだ。


そこにはこんにゃくおろしが居た。

こんにゃくおろしとは陸海空軍全てを1人で指導・管理している女性だ。


「タリバリン中隊、全機帰還致しました!」

ラニーニャがそう言うとこんにゃくおろしは微笑んだ。


「まぁ、あの程度の大編隊など簡単に落としてくれると思っていたよ。私のテストに受かっている君達だからね!」


こんにゃくおろしはそう言った後、封筒を彼らに手渡した。


最初に口を開いたのはウェンズ・ディレクティブ・ガルタージョだった。

「これはもしかして、さっきの報酬ですか?!」


「あぁ、そうだ。8分超えるようなら82万アバンサーにするつもりだったが、4分という事で倍の164万アバンサーにした。」


こんにゃくおろしがそういった後、即座にディビィレット・サルターノ・ジェロータが反応した。


「な、何に使っても良いんですよね!!!???」


「あぁ、何に使っても良いぞ。私は特に制限をかけるつもりは無い。」


そう言うと


中隊員全員が微笑ましい顔をした。


「さぁ、私からの用事はこれだけだ。今日はもう休め!自由にしてろ!」

じゃがいもおろしがそういった後、中隊員達は皆

「ありがとうございましたっ!」と行って走って部屋を出た。


興奮しすぎて司令室の扉につまずき、コケた者も居たが皆元気だ。




彼らは今日も夢空に願う。


その夢空が実空じっくうとなる事を。




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