第5話

海に戻ってきた。


もう、すっかり日が暮れている。

風が、心地いい。


「お兄さん」

マリンと並んで海を見る。


「何?」

「海って、広いね」

「今さら・・・」

「そして、深い・・・何もかも、受け入れてくれそうだね」


海は、広い。

そして、深い。

何もかも、受け入れてくれる。


本当にそうならいい。

悲しみも、絶望も・・・

暗い過去も・・・



「お兄さん、私は先に行くね」

「帰るのか?」

「・・・うん・・・故郷へね・・・」


そういうと、マリンは海へと入って行く。

おいおい・・・まさか・・・?


ある程度進むと、マリンはこっちを見る。


「大和さん、これありがとうう。約束通り大事にするね。ずっと・・・」

先ほどのぬいぐるみを、僕に見せる。


そして・・・


海の中へと、消えた・・・

・・・って、助けないと・・・


僕は夢中で、海へと入って行った。

でも・・・


マリンの姿は、どこにもない。

遺体すらみつからない。


まだ、5分と経っていない。


マリンは、どこへ行った?

僕は、探し始めた。



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