雲のように長い廊下で

 明日のことを考えながら、書類を整理していると、

 足が地面から浮ついて、一息にどこかへ飛びだしそう



 首を振り、地に足をつけて生活を続ける。



 上司に予定を確認すると

 昨日が昨日と分からなくなって

 自分がまだ小さくて幼い、無力な学生だった気がしてくる



 帰り道に自分の足がふわっと浮いて、

 どろどろの雲を抜けだした


 足が地面に着いた感触。動かないものへの安心感。

 何年も前の、夕焼けの下、暑い風が吹いている、コンクリートの通学路を歩いている


 一緒に歩いていた友達の顔が思い出せない

 今の顔は分かるんだけど。



 ふと上を見る


 猫が寝ている。肉球を見せている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る