新たな手がかり

「こんにちは!」

「久しぶりだねぇ、零くん。こんなに大きくなって」


ペコリと頭を下げて挨拶すると、谷口さんはニコニコと嬉しそうな様子で居間に招き入れてくれた。


俺は斗真の件を調査するため、近所の谷口さんのお宅にお邪魔していた。谷口さんのお宅はこじんまりとしていて、かつ風格も兼ね備えた素敵な家だ。


畳の優しい香りがとても落ち着く。ふかふかの座布団にそっと座って、出してもらったお茶をゆっくり堪能していると、谷口さんが悲しげな様子で口を開いた。


「斗真くんがいなくなったんだってねぇ…」


「はい、そうなんです…突然いなくなってしまって。斗真を見たり、不審な人を見かけたりしませんでしたか?」


俺の問いかけに首を捻る谷口さん。


「うーん、見てないねぇ」


「やっぱりそうですか…」


返答を聞いて俺はガックリと肩を落とす。やはり斗真を目撃した人はいないのかも知れない。このまま手がかりがないままだと、いずれこの事件は時間が経って忘れられ、闇の中に葬り去られてしまう。それだけは避けたい。小さなことでもいい。なにか…なにか少しでも手がかりは……

俺が必死にそんなことを考えていると、谷口さんが何か思い出したように目を見開く。



「一週間…斗真くんに似た、白髪で青い目をした人を見たよ

ただ、かなり背が高くてねぇ」


別人だと思うんだけどねぇ、と谷口さんは続ける。

白髪で青い目をした人……!?


俺はそれを聞いた瞬間前のめりになる。

そんな特徴のある人、今まで斗真しか見たことがない。


「その人、どんな格好をしてましたか?!」


「スーツを着ていて…青いネクタイをしていたねぇ。あと、黒髪の不思議な格好をした人と一緒に、裏山の方へ歩いて行ったよ」


「谷口さん!!ありがとうございます!!」


これは大きな手がかりだ。山奥に向かっていった、不思議な格好をした男二人組。


斗真となにか関係があるかもしれない。その人達も何者かに"招待"されたのではないか?


俺はいても経ってもいられなくなり、裏山の方へ急いで向かったのだった。

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