ー人喰いの蘿媽那(らぼな)ー

琉華ペングソ先生

プロローグ=あらすじ=

太古の昔、人と竜は一つだった。

人類が文明を築き上げて間もない大空には、六本足を生やした神秘で奇怪な竜が飛び交い、人や物のの文明をその大きな体より支えていた。竜が及ばぬ力には、人類が。その逆もまた然り。そして幾多の歴史において人と竜はともに助け合い、一心同体であった世界だった。

 ところが、人類は文明を築いていく速さは他の動物には真似できぬ異常なことだった。人はいつしか竜の恩を忘れていき、ともに築き上げた文明を自分たちの戦争の道具へと使うと、人を殺し、物資を奪い、家や資源、名誉など全てを手に入れ、知恵をつけ、それは人類が金の欲しさゆえの誘惑だった。

そんな人類に竜は怒り狂い、やがて人類を食らう獣に変貌していった。これにより人類と竜の戦いは現在も尚、戦争は続いていたのであった。その人類がのちに世界最大の軍事国家を築いていく。その国の名は、ウルトア国。



ユーラシア大陸の西の外れに強大な軍事力を誇る国家、ウルトア国は人喰いの竜を、滅ぼそうと長きに渡り、探し続け、殺生をし、国の大黒柱となって治めていた。その残酷なやり方ゆえ、他の国は誰も近づくことはなかった。軍事国家は絶対であり、国に歯向かう者は、民であろうと皆殺しにされる。そんな国のやり方に民はついに怒り狂い、革命というなの暴動を起こすと、独立国家を築き上げると国に宣言。一気に内戦へと勃発した。数年の大戦の末、1つだった国は独立し、ついに民は自由と権利を手に入れ、クルト国という国家が生まれた。クルト国は国家争いに勝利した証として残ったわずかな残骸と資源をかき集め、何百年の時を得て、科学と魔法が融合する文明が発展した。しかし、いまだかつて、2つの国はにらみ合いをし続け、いつ戦争がおきてもいいような緊迫した状態が続いていた。



一方、戦争があった大陸の西側から、遥か東側に位置する土地には、巨大な山々の中に囲まれた美しい大きな国があった。人喰いの竜を神として崇める「神国 ユセ」は、かつてアルトアの国が分立する前に、民の中から、未だ羅媽那を神として、友として信じ続けいた者が、命をかけて国を脱走し、この東側に里を作り上げたのがきっかけ。里は長きに渡り発展し、大きな国となった。ウルトアを脱走し、里を築き上げたのが、のちにユセの女王となる「アシノア」だった。どこからの国とも関わることなく、独自の文明を築き上げていた。民の多くは比較的、穏やかな人種であり、昔のように竜は神聖な生き物であり、人とともにあると信じている宗教国家になっていた。


国を治める女王「アシノア」は強大な霊力や力を持っており、民の中から、比較的、霊感や霊力、精気、それらの力が強い者たちを「竜の子」と呼び集めると、彼らは女王を守る近衛兵となった。のちにアシノアの力を授かり、彼らの事を「那瑛族」(なえいぞく)と呼ばれるようになった。


物語の主人公は、那瑛族に拾われ、育てられた「釵羅」(さら)彼女もまたアシノアの力を授かり那瑛族となった。ところが、ひょんな事から、国から命令を下され、旅に出る…。その理由と、そこで釵羅が待ち受けていたものとは…?



ーこれは羅媽那と呼ばれる人喰いの竜を通して、様々な国で関わった人間たちの苦悩

                         ーと運命を描いた物語ー

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