主人公は愛された記憶がなく、その秤かたがわからなかった。
そんな彼女を「愛する」と言い、彼女の望むままに生きる男がいた。
彼の愛は一方的で果てしなく深いものだったが、彼女にはそれが愛なのかやはりわからない。
最後、彼は何も言わず彼女の前から姿を消す。
それは彼の愛が尽きたからなのか、それとも彼女に「愛の秤かた」を教えるためだったのか。
「愛の秤かた」を知っていれば、愛を実感し同時に相手を愛することも学べるのだろうか。
私には何一つわからない。まさにこの物語の主人公と同じだ。
でも、愛の秤かたなんて知っている人などいないのだろう。
愛の秤は、相手の愛の重さと自分の愛の重さをはかるためにあるのだから。
そして、一方のおもりがなくなったとき、はじめて愛の重さを知るのだろう。
この物語の主人公のように。