三節「愛する人との関係性」
最後にしおりとの関係性だ。
僕はしおりにたいしてどのように思っているのだろう。
その翌日、もう一度考えてみることにした。
僕には時間はいくらあっても足りない気がしていた。
僕の中でしおりを思う気持ちはどれくらいの割合を占めるのだろう。
よくしおりのことを頭に思い描く。
しおりに会うと心が暖かくなる。
それはあまりにも当たり前になっていて、今まで気づかなかったことだった。
人はどうして特別なことをいつの間にか普通なことと思ってしまうのだろう。
僕にとってしおりは大切な人で、これから先も一緒にいたいと思える人だ。
僕の中でしおりを思う気持ちは大部分を占めていることに気づいた。
どうしてこんなにも熱い思いを今まで信じてこなかったのだろう。
そして、SNSで教えてもらった信じるとは自己開示という考えを思い出した。
僕はこの気持ちや思いをしおりに伝えたことがなかった。
しおりにすぐに連絡した。
すぐに伝えたいと思ったからだ。
その日の夜に、僕たちはいつも行くカフェで待ち合わせをした。
時間的にどこかのレストランの方がよかったんだけど、僕は初めて行くところはあまり得意じゃない。だから、いつも行っているところにした。
待ち合わせ場所に来たとき、しおりはぎこちない笑顔を浮かべていた。
カフェはあまり人が入っておらず静かだ。
「しおり、この前は突然ごめんね。実はこういう理由があったんだ」
僕は、しおりに包み隠さず美月の話、僕の未来の話をした。
僕が話したいと思ったからだ。
しおりはしっかり聞いて、受け止めてくれた。
「そういうことだったのね、私勝手に勘違いしてごめんなさい」
「いや、僕も一方的でごめん。それに普通はわからないことだし。そのことなんだけど、僕はしおりに自分の気持ちを今まで言ってこなったと気づいたんだ。聞いてくれるかな?」
どうしょう、汗がどっとでてきた。
「うん、いいよ」
「僕はしおりのことを誰よりも大切に思っている。これから先も一緒にいたいと思っている。ただそれを恋愛ととらえたことがなかった」
こんなにドキドキするなんて知らなかった。
「でもお今更だけど、これが恋だって気づいた」
僕は立ち上がり、彼女の前で膝をつき、花束を差し出した。
「僕と付き合ってください」
「はい、よろしくお願いします」
しおりは大粒の涙を流した。
「大丈夫?」と聞くともう会えなくなるかと思っていたから。予想外の話でびっくりしたとまた涙を流していた。
僕は頭を撫でた後、そっとハンカチを渡した。
「しおりにも教えてほしいんだ。しおりにとって信じるものは何で、信じるとはどういうこと?」
僕はそれから本題にはいった。
僕は未来のために信じるものを見つけなければいけない。
「うーん、難しいね。そうだなー、信じる者は愛する人」
確かにいきなり難しい質問だと思う。
そこでしおりは僕の方を見て、顔を赤らめた。
かわいいなあと思った。
「信じるとは、どんなことがあっても心からその人の幸せを望めることかな」
なんだかしおりらしい答えだなと思った。
いつも飲んでいるココアがなんだかいつもよりずっと美味しく感じたのだった。
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