「読まれないから」といって、消すのはもったいない。

 先程、


「読まれないので、作品消します」


 というツイートを見かけた。


 オレ個人としては、実にもったいないと思う。


 そもそも、何十万文字も書いて読まれないなんて、プロですら経験している。

 プロがプロたらしめるのは、そこからどうやって読んでもらえるか戦略考えて、第一話の段階から何度も改稿して、ランキングの癖なども把握して、など、いろんな工夫をしているかどうかである。


 だが、アマチュアに

「こういうことをしてPV伸ばしましょうねー」

 と強いるのは、あまりに酷だ。


 それは、小説を書くこととは別の能力が必要だし、第一書籍化プロを目指している人用のアドバイスだ。

 アマチュアは「とりあえず読まれたい」が先に来ているので、「具体的なPV戦略」はアドバイスとしては適さない。

 ムダな労力だけを使い、そのうち書くのをやめてしまう。



 オレは「ピューと吹く!ジャガー 」で、


「お前はミュージシャンになるために音楽をしているのか?」


 というセリフが一番好きだ。


「そもそもお前、音楽好きか?」


 と、音楽をする相手に問いかけるのだ。



 順序を間違えてはいけない。



 では、PVをちょっとでも伸ばすにはどうすればいいのか。


 人の作品を読んで見る?

 

 違う。

 それはたしかに、伸びるかもしれない。

 が、

「読んであげてるんだから、自分のも読め」

 という思考になり、別の地獄になる。




 読みますRTに反応する?

 これはもっと地獄で、「読んだんだから読め」思考がさらに強まる。

 ある意味、最悪の一手だ。


 ではどうよ?


「数字にこだわらず、読まれなかろうが続けること」

 

 である。


 種類を増やすっていうのかな?


 PVを増やすといった、数字にこだわるとどうしても落ち込んでしまう。


 オレもFantiaでエロを執筆してみたが、ウケが悪い。


 だが、数字にこだわると終わりが見えなくなる。


 とはいえ、数字は基準でしかない。


 蓄積だろうし、戦略かもしれない。


 かといって、下げてしまえばすべてゼロからのスタートになる。


 こういうのは積み重ねなので、やめグセをつけずに続けた方が、本当はいい。

 

 オレだって、なろうでは散々なPVだった。まったく賞も取れなかった。

 しかし、ノベプラに活動の場を移したらそれなりに火がついた。


 そんなもんだ。



 第一、「読者にどんな気分になってほしいか」ではなかろうか?


 そもそも、あなたは「書いていて楽しかった」のだろうか?


 数字しか見ていなくては、楽しいワケがない。




 


「掃除道具入れに隠れてちゅっちゅするシチュエーションなんて、エロいよね。教室に誰が入ってくるか、入ってきたときにちょっかいかけられるとか、たまんない!」


「大好きな人とお鍋を囲みながら、こたつで足を絡ませるとかエモいよね!」


 それ以上に、


「大好きな人と腕を組んで歩く描写だけでも、ほわんとなるよね!」


 こういった脳内で黙々と湧いてくるネタを、下手でもいいから書いていく。発表していく。



 自分の読みたい妄想が見えている限り、アイデアなんて無限に湧いてくる。



 そうやっていって、まあ気が向いたら「自分に刺さる自主企画」に参加して、「自分を好きになってくれる人を探す」ことに集中すればいいのではなかろうか。


 兎田ぺこらさんも

「有名になりたいからではなく、配信が楽しいという気持ちがないと楽しく続けられんぜ」

 と、『有名になりたい配信者をテーマにしたゲーム』で発言していらした。


 また、とある漫画家さんも

「弁当屋のように毎日商品を陳列し続けた結果、チャンスを得た」

 とツイートしている。

 あとは、刺さる人が現れるのか待つのみ。


「大量に商品を陳列したほうが、なにかに刺さってくれる人がいるんですよね」

 と。

 

 コンサルタントの今井孝さん著『誰でもできるのに9割の人が気づいていない、お金の生み出し方』によると、


「数多くの、全員から好かれる必要はなく、ターゲットを絞って、あなたを必要としてくれる人のために動けばいい」


 と書かれている。


 なので、あなたの作品を必要としてくれる人のために書けばいい。


「どんな人、どこにいるんだ?」

 という問いを解消するために、大量に陳列してみるのだ。

 


 自分の良さなんて、全部さらけ出さないとわからないからだ。


 そのために、惜しみなく自分の作品を大量投下し、刺さってくれる人を探すのだ。

 宣伝は、そのためにやればいい。


「非モテのために」

「失恋して辛いぴえんな人のために」

「成功したい人のために」


 動機は何でもいい。


 自分がなにに悩んでいて、同じ悩みを共有している人に刺さればOKとする。

 人数なんて関係ない。


 炎上するかもしれないが、

「現状の、ペラペラなろう文化に辟易している人のため」

 という強気な姿勢でもいいだろう。

(オレは、なろう作品のすべてがペラペラ文体とは思っていないが)


 このように

「これこれこういう人のために書いた」

 など書いておけばいいだろう。


 ファンなんて、ドンと増えるわけじゃない。


 まずは好きなジャンル三つほど用意して、短編なり長編で続けてみて、反応を見ればいい。


 自分的にもイマイチで反応が薄ければ、早々と完結させればいい。


 いい感じのジャンルが見つかれば、たとえ人気がなくても続けたらいい。

 

 反応も良くて自分も好きなら、ようやく自分の好みと相手の好みが合致したので、そういった商品を増やしてみる。


 このように、ウェブ小説市場は生き物なので、陳列していないと自分がどういう者が得意で、相手がどんなものを求めているかなんてわからないのだ。


 プロを目指さない戦略を立てるなら、こんなカンジだろうか?

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