え、森博嗣先生、集中力っていらんの?

『すべてがFになる』の作者・森博嗣さんの著書、

『集中力はいらない』

 という本を読んでいる。


 みなさんも、興味があったら、キンドルアンリミテッドでタダなので読んでみるといい。




 ひとことでいうと、

「SNSで情報爆発! とか言ってるけど、いちいち自分で拾いに行ってるだけじゃん。無視すれば」

 という本である。

 切り口が、いかにも森博嗣さんらしい。



 ただ、本書は

「集中力が必要と言われている社会現象において、待ったをかける」

 内容も書かれていた。


 これはマジでビビる内容なので、ぜひ読んでいただきたい。



 その著書によると、

「自分は『一時間で六〇〇〇文字打つ! 速筆!』って言われているけど、集中力なんて一〇分程度よー」

 と語っている。


 集中力が続く一〇分の間で、一〇〇〇文字書くのがやっとだそう。

 一〇分間書いてはグッタリして、ムダな時間を過ごすらしい。

 工作をしたり、犬と戯れたり。

 三時間くらい時間を潰し、また一〇分書いてを繰り返すそうだ。


 結果、一〇分×六回で、

『一時間で六〇〇〇文字』

 という計算だという。


 ポモドーロなんてレベルではない。


 また、先生は『集中思考』より『拡散思考』の方を重視している。


 要するに

「気が散っていい」

 と考えているのだ。


 集中思考は「何時間もがんばって机に貼り付ける」力だ。


 対し、拡散思考は

「あっちこっちに思考を飛ばし、アイデアをかき集める」

 力である。


 で、集めた思考が入浴や睡眠時など、完全リラックスした状態の中で素晴らしいアイデアとなるという。


 とはいえ、そんなすごいアイデアなんて、

「五年に一度ひらめいたらいい方」

 らしい。


 あの森博嗣と言えど、そんな感じなのだ。


 だから、我々のような素人がいくらアイデアをひねっても、大したヒラメキが得られないのは当然だと言える。


 作家業に置いても、雑誌のインタビューで先生は

「集中力よりも大事なものがあります」

 と語る。

「記者や編集が、集中する方法を聞きに来ている」

 とわかっていながらだ。


 こうした思考には、

「森博嗣は学者」

 という背景も関係しているだろう。



『タイムズ』紙のコラムニスト、マシュー・サイドさん著『失敗の科学』において、


「ユニリーバ社は、洗剤精製用のノズルを開発するのに、わざと四五パターンも失敗を重ねた」


 と書いている。


 要するに、学者は「一つのことに固執したら、死ぬ」のだ。


 ひたすら他の可能性も示唆して、一つの可能性にこだわらず、何千ものパターンを調査する必要性がある。


 実験と失敗、アウトプットとヒードバックを怠ると、可能性がわからないまま研究成果が死ぬのである。


 学者にとって、「何がダメだったか検証しない」ことは、ヤバいリスクなのである。

 

 たびたび執筆に置いても「ゾーンに入るには?」とか「集中できない!」とか言われている。


 しかし、集中できない人は、その人なりの解決策を見つければいいのではないだろうか。


 そういう方は、ぜひとも森博嗣さんの著書で解決策を見出していただきたい。

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