第14話 オタク特有の肥大妄想
(皆んなこんにちは! 私
「とーりーのーみさきぃぃぃ!!!」
狙ったかのようなタイミングで侵略者はそう言った。
怒りが
(私の妄想に入ってくるな!)
私は腕を組んでこう言った。
「邪魔しないで!」
すると侵略者は、わざとらしくこう言った。
「とーりー」
堪忍袋はついに破れた。私は怒りに任せて言った。
「うっさいな!!……というか、君普通に喋れるよね!?」
私がそう言うと、侵略者は大人しくなり言った。
「ごめんなさい……」
私は腕を組み、言った。
「たく!」
だがその時、私はある事に気づいた。
(あっ!……キャラを忘れていた)
私は気持ちの悪い汗をかきつつも、どうにかキャラを治そうと思い、バックにくっつけてあるぬいぐるみを手で
「それにしても、先輩はどこへ行ったのじゃのうか?」
私に向けられた体に突き刺さるような視線。泣きそうになる。
私が目を逸らすと、侵略者は困り顔で呆れたように言った。
「普通に喋れないのですか?」
「……」
絶句した。
「……別にいいでしょ! 私がどんなキャラでいようと!」
(なによ! 『あっれぇ? なんでそんな喋り方ぁなのぉ?』みたいな顔しやがって! そんなに女の子をいじめるのが好きなの? もしやコイツ……ドSキャラだったりするのかな!?)
などと、私は陳腐な、愚痴に近い妄想をしてみる。
すると、侵略者はこんな事を言い出した。
「あの。おこがましいと思いますが、早くここから逃げた方が良いと私は提案します」
私は相槌を打つ。そして言う。
「そうじゃな。そうと決まれば早く逃げようぞ!」
またも、侵略者は痛い視線を実流黒に浴びせる。実流黒は思う。
(そんな顔で私をみないでよ……)
私はその視線から逃げるように言った。
「早く行こ!」
「……わかりました」
私はその場を離れた。
だが一つ、悩みがあった。
私の後をついてくる侵略者。この人をどうすればいいのか悩んでいる。
だから実流黒は、楽観的な答えを示した。
(まあ、いいや)
実流黒は前を見る。
(先のことは未来の私に任せよう! だから今は、早く酉乃を……いや、先輩を探さなきゃ)
実流黒は侵略者を連れて歩く。
自身の汗の量が、異常な事に気づかず。それはまるで、体がもう限界だと訴えているかのように。
実流黒はハンカチで汗を拭き、「まだ大丈夫」と呟いた。
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