最終部最終話「一万年の夢の終わりに」
墜落を免れた空中都市タージを再起動し、世界の最果てへ。
アルフレイム大陸の北端、奈落の壁の向こう側へ行った”戦神”ダルクレムを追う”星月巡り”一行。
ダルクレムが魔神王と戦えば全てのはじまりの剣が失われ、この世界は消えてなくなってしまう。
“自由なる風”レヴィン=プラデッシュを伴い、タージの航路を奈落の壁の向こう側へと取る。
420年前、12人の聖戦士たちは魔神王を打ち倒した。ル=ロウドがカルディアを用いて魔神王と戦ってからは、5000年以上が経過していた。今回の経過時間はその1割以下だ。
この期間の短さを考慮に入れれば、魔神王の力は未だ封印状態にあると言える。極めて楽観的ではあるが、”星月巡り”一行の実力でも勝算があるかもしれない。
だがもちろん、それは只の希望的観測であり、一行はタージを犠牲に討死するだけかもしれない。
しかし既にダルクレムが向かっている以上、他に方法はない。この世界を在り残すためには、このメンバーで戦い、勝つしかないのだ。
魔神王の傍らに使える
だが、オーブレイは1度魔神王と戦った経験から、対策を用意していた。奈落の魔域の内部の次元を切り分け、小規模な奈落の魔域を恣意的に発生させる技術を用いて、
レヴィンはその魔術を解析し、タージの魔力炉で術式を増幅させることで3種の次元の狭間を作り出し、奈落の壁の向こう側への突入から程なくして解放した。
“星月巡り”一行は3つのチームに別れ、魔神王から分断された3体の
・魔域「阿壬羅」突入組
突入メンバー
セルゲイ=ゲラシモア
マリア=エイヴァリー
シアン=ノウフェイス
サフラン
そこは修羅が終わりなき闘争を繰り返す世界であった。
力が全てを支配するという理を否定するため、彼らは戦いに臨む。
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「セルゲイ、あなた、神器は使わないの?」
「俺は止めておくよ。あまり使いこなせそうにないし…クリスに遠慮してるわけじゃ、ないんだが」
「そう。優しいのね」
「別に…力があっても、虚しいだけさ」
―マリアとセルゲイ
「私の方が、よほど薄情者よ。だって、力がなかったから…姉さんを救うほどの力が」
「この剣に期待しても虚しいだけかもしれないけど、それでも」
「たおやかなる指よ、握りて拳に意志の力を。汝は”蒼玉の剣グレイプニル”。世界に、慈愛を齎すものなり」
―マリア=エイヴァリー
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===ボス戦闘===
魔神将ゲルダム
ルンゼマーゼ*2
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・魔域「毘陀羅」突入組
突入メンバー
ライエル=クラージュ
バル=カソス
エノテラ=テトラプテラ
ルーヴ=デルタ=ヴォランティス
この世界は皆が目先の利害に囚われ善悪の判断が出来ない世界であった。
一行は過去のやわらかな傷跡を塞ぐために、戦いに臨む。
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「結局、イオもクリスも、救えなかった」
「ワシらの戦いは、無であったか?」
「いや、人は人の為に生きることが出来ると、信じていたい」
「レヴィンが持ってきたこの竪琴。呪歌を増幅する効果なれば」
「老い先短い身ではあるが、かき鳴らそう、我が魂!」
―エノテラ=テトラプテラ
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===ボス戦闘===
魔神将ゾーンネル
メルビズ*2
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・魔域「迦楼羅」突入組
突入メンバー
ドラコ=マーティン
オリヴィエ
シガレット=カルカンスキー
パルフェタ=ムール
この世界は常に満たされぬ欲望に苛まれ、苦しむ世界であった。
一行は手の届かぬものをその手に掴むため、戦いに挑む
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「随分上空を飛び回るンだな。俺たちが手が出せないとでも思ってるか?」
「生憎、俺たちも空中戦はお手の物なんだ」
「オルエン…まさか、くたばったわけじゃないよな」
「いや、あいつは死なん。この銃のように」
「混沌の世界を閃光のように撃ち抜かん。汝は”神滅の銃ラグナレク”。世界に、自由を齎すものなり!」
―シガレット=カルカンスキー
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===ボス戦闘===
魔神将ディリーダ
サリティガーン*2
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全ての魔神将を撃破し、一行は全員が合流してさらに奥へ進む。
奈落の壁の向こう側の、さらに底の底。暗い空間に、魔神王は居た。
人間と魔神と竜が一体化したような巨大な体躯に、人間の青年が剣で貫かれるように縫い留められている。それは400年以上前に戦った聖戦士のリーダー、”勇者”ライフォスであった。
魔神王が打ち倒されてから400年と少々。どうやらその力は封印されている部分も多いようだが、魔神王はゆっくりと身を震わせた。動けるのだ。
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「吾ははじまりの剣に生み出されたモノ」
「吾ははじまりの剣と共に在るモノ」
「世界の意思そのものである」
「剣の理に従い、剣を抱いて眠るだろう」
「剣の末裔よ、はじまりの剣を持たずして奈落を越えるに違わず」
「世界の意思に背く者は悪し」
―魔神王シファール
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魔神王は自らを始まりの剣の意思が生み出し、始まりの剣と共に存在して消滅する、世界の意思そのものだと宣言する。自らは滅ぶべき存在だが、それは始まりの剣と共にあらねばならず、始まりの剣を持たずにここまで来た一行を、世界の意思に逆らう悪しき存在として糾弾する。
人は世界の意思から独立し、新たな道を歩むことが出来るのだろうか…聖戦士の中でも”賢者”オーブレイ、”剣聖”クラウゼ、”魔動機士”オルエンはその答えを求めたが、果たせなかった。答えは出ないまま、”星月巡り”一行は最後の戦いに臨む。
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「世界がどうなるとか、私たちが決めるには重すぎるよ」
「私たちに出来るのは精一杯生きることだけで」
「だから、もし、私たちが勝てるのなら」
「それはきっと、世界の選択なんだ」
「最後の聖戦に、団結と勝利を。汝は”真理の杖ル=ニィダ”。世界に、叡智を齎すものなり!」
―サフラン
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===最終戦闘====
魔神王シファール
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激しく長い戦いとなったが、とうとう魔神王に対して有効なダメージを与えると、魔神王は世界の底からさらに底へと、沈みつつ消えていった。
消滅したわけではないが、さらに深く封印されたのだろう。
そして後には、”勇者”ライフォスが遺された。
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「ありがとう。君たちは人族か。まさか、はじまりの剣なしでここまで来るとは…」
「魔神王を倒せたわけではないが、どうやら奴はさらに力を削がれたようだ」
「もしかしたら、この世界はこれ以上はじまりの剣を失わずとも、存在出来るのかもしれない!」
「遠い昔の仲間だったクラウゼが呟いていたんだ。剣の欲望から生まれた
「それをクラウゼは『誰かを護る剣』だとしていた。彼女は求道者で指導者向きではなかったから、それを広く理解してもらうことが出来なかったみたいだが…」
―"勇者"ライフォス
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ライフォスは一行に感謝を述べ、はじまりの剣が無くとも不完全な魔神王であれば退けることが出来たことは、世界が存続する希望があり得るという認識を示した。
この認識は当時の仲間”剣聖”クラウゼが漠然としたものながら抱いており、剣の「使われたい」という欲望から生まれた世界の中で、その世界の構成員が「何かを倒す剣」ではなく「誰かを護る剣」を求めることで世界のルールが変化していくのではないかと。
そこに、上位魔神の群れを蹴散らしてきた”戦神”ダルクレムが追いついてきた。彼女は自らが戦うべき運命として定められていた魔神王を逃がしたことに立腹し、最後のはじまりの剣イグニスの力を一行に向けて振るおうとする。
“勇者”ライフォスは一行を守るためダルクレムとの一対一の対決を提案する。
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「ルミエルは……ないんだ。魔神王の封印と共に失われた。それは確かだ」
「ライエル君、君の剣を、貸してもらえないか」
「やはり、クラウゼの剣だ。これも運命と呼べるものなのだろうか?」
「私はこの
「キルヒア、我が友よ、いるのだろう!」
「彼らの脱出を助けてあげてくれ!」
―"勇者"ライフォス"
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一行は、戦いを始めるライフォスとダルクレムを置いて奈落の海に浮かぶタージへと戻った。神代の戦いが、目の前で再現されている。
先の戦いで解放された”賢神”キルヒアの精神体が、タージの動力炉と一体化してしまったクリスの肉体を復活させ、タージを再起動させた上で制御を担当し、魔界からの脱出を支援する。
眼下で伝説の戦いを目の当たりにし、その決着を見届けることなく、古の都市は地上へと復帰した。
”鋼鉄のギルド長”ハドルカ=ガドガリスの組織した支援隊の飛空艇が、夜明け前の僅かな日の出と共に駆けつけてくるシーンを最後に、この物語は終わる。
完結
【今回の登場人物】
セッション参加キャラクター
エノテラ=テトラプテラ(バード13スカウト9)
オリヴィエ(フェンサー13ライダー10)
サフラン(ソーサラー13セージ9)
シアン=ノウフェイス(ファイター13ソーサラー11)
シガレット=カルカンスキー(シューター12マギテック11)
セルゲイ=ゲラシモア(アルケミスト13プリースト8)
ドラコ=マーティン(コンジャラー13レンジャー9)
バル=カソス(グラップラー13エンハンサー10)
パルフェタ=ムール(フェアリーテイマー13コンジャラー7)
マリア=エイヴァリー(フェンサー13フェアリーテイマー11)
ライエル=クラージュ(ファイター13エンハンサー9)
ルーヴ=デルタ=ヴォランティス(プリースト13セージ10)
“勇者”ライフォス
種族:人間 性別:男性 年齢:24歳
400年以上前、復活した魔神王に蹂躙される人族を見捨てることが出来ず、その後の様々な世界の歪みに目を瞑り地上に降臨し、魔神王をルミエルの力で打ち倒した聖戦士のリーダー。
自分たちが世界を救ったあと、世界をどのようにするか、仲間たちと多くの議論を交わしたが結局結論は出ないまま、魔神王を徹底的に打ちのめすことに集中した。
魔神王を封印したあと、その躯体に取り込まれ一体化し、同様に封印されており、他の神々と違い帰還できていなかった。
変わっていく世界で同族を救おうとして他と衝突してしまったノヴァ
世界のルールそのものを強権的に変えようとしたオーブレイ
理想と価値観を持っていたが実現する指導力を持てなかったクラウゼ
思い悩み、現実的に世界の味方をすることにしたオルエン
そういった人族の仲間たちを束ねるだけのカリスマと実力を持っていたが、始まりの剣の意思という呪いからは逃れることは出来なかった。
不完全な状態とはいえ、はじまりの剣を欠きながら魔神王を退けた”星月巡り”に感謝を示し、旧き神々の代表としてダルクレムの足止めをライエルから借りた聖剣と共に引き受け、魔界に残る。
その戦いの結末は、誰も知らない。
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