第一部第3話「聖剣の護り手」

 ハーヴェス王国の冒険者の店にて。


 ”聖剣の護り手”の二つ名で有名なエルフの老剣士、ヴィオラ=カルティは、蛮族の襲撃に遭った隠れ里への手紙の輸送の依頼について、遅きに失したことをまず一行に詫びた。


 一方で弟子のライエル=クラージュには、目の前の状況に心を乱され、勝てない戦いの中に身を置き、本来守るべき者のために剣を使えていないとして厳しく叱責した。


 ライエルは師匠のヴィオラに対し、両手に剣を持って戦う技術、《二刀流》を今こそ習得し、再戦に備えたいと訴えるが、ヴィオラは自らの剣をいたずらに真似ても、それは弟子の糧にならないと諭した。


 また、何故隠れ里が襲われたのか、”オーブレイの遺産”と呼ばれた遺物は何だったのか、という問いに対しては、ヴィオラは言い淀んだ。


 ヴィオラは説明にあたって少々の準備の時間を所望した。丁度冒険者の店に”奈落の魔域”を解放する依頼が入っていたこともあり、ライエルら”星月巡り”一行はその依頼を請けることにした。


“奈落の魔域”は、発生した場所や、突入した者の心象風景に影響されることが多いという。”聖剣の護り手”ヴィオラは、一行に古びた小さな守り刀を手渡し、探索の助けになる可能性を言及した。


 ハーヴェス南部の湾岸地帯に現れた”奈落の魔域”排除のため、闇の領域に突入した”星月巡り”一行。

 魔域の内部は一見して普通の人里であったが、そこは異界の魔神デーモンが跋扈し力なき人間を蹂躙する世界であった。一行は幻と判りつつも、人間たちを助けるために奮闘する。


 内部の”人々”は口々に語る。この世界は異界の魔神が支配している。大陸北端にある世界の果ての壁からこの世界に侵攻してきた異界のデーモンたちは、人族蛮族問わずこの地上に住む全ての者の敵である。その首魁である魔神王の力はあまりにも強大だが、12人の受肉した神たる”聖戦士”が降臨し、世界に平和を取り戻すべく戦っているという。


 魔域内部の様々な手がかりから、この世界を解放し脱出するためのキーアイテムは、聖戦士にまつわる品物であろうと”星月巡り”一行は当たりをつけ、神殿のように見える建物で謎掛けとガーディアンによる試練を乗り越え、”聖戦士の武器”たる聖剣のレプリカを入手する。


 しかし、聖剣のレプリカを入手した途端、今まで魔神から逃げまどっていた幻覚の人々の態度が豹変し、聖戦士の力を巡って多くの者が人間同士で争い合うようになってしまった。魔神の脅威が去ったわけでもないのに醜い争いを続ける人々に思わず顔をしかめる一行。


 キーアイテムの聖剣のレプリカを人々の欲望から遠ざけながら、一行は奈落の領域の最深部へと突入した。


 ===ボス戦闘===

 ザルバード

 タイガー

 ホムンクルス

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 魔神との戦闘時、”星月巡り”のひとりライエル=クラージュは、今こそ鍛錬の成果である二刀流を試すべき時と、元々の愛剣と、奈落の魔域内部で手に入れた聖剣のレプリカの両方を構える。師匠の教えを思い出すかのように、預かっていた古びた守り刀に手を触れたとき、ライエルは幻覚を見る。


 ===

「身を護るとき、この小刀を使いなさい」

 頬に傷のある人間の女性が、まだ幼いエルフの少女に小刀を渡した。

「剣には意思がある。敵を斬り、時代を切り拓き、運命を剣によって掴みなさい、と。」

「でも、私があなたに教えた剣術は違うわ。それは剣を操るすべであり、剣を使う理由を定めるもの。敵を斬るのではなく、誰かを守るための剣であること。それを忘れないで…」

 ーセッション内描写より

 ===


 デーモンを倒し、奈落の魔域のコアを破壊してこの世界を脱出する”星月巡り”一行。聖剣に見えた剣は、戻ってきたときにはただの剣になっていた。


 街に戻り、”聖剣の護り手”ヴィオラと再び会談した一行は、旧き時代の戦いの存在を知る。


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「あなた達がいつぞや見かけた碑文。あれは忘れられた時代の事実よ」

「400年以上前、世界の果ての壁から魔神が溢れ、多くの国が滅ぼされ、世界に危機が訪れた時」

「この世界に、12人の聖戦士が降り立ったの」

「聖戦士たちは力を合わせて、魔神王を打ち倒したわ」

「でも、世界を救った後に残されたのは、魔神王を倒した強大な力をこの世界でどう制御するか。終わりのない議論が待っていた」

「……多くの争いがあったのだけど、最終的にその力は封印されることになった」

「12人の聖戦士と、彼らが使っていた神器は、世界を救った後はこの世界にあってはならないものになった」

「私は、12聖戦士の一人”剣聖”クラウゼの弟子だった。……遠い遠い、過去のことよ」

 ー"聖剣の護り手"ヴィオラ=カルティ

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“聖剣の護り手”ヴィオラは、隠れ里を襲った蛮族たちは、聖戦士たちの失われた遺産を集めているようだと告げ、その野望を止めるために遠国に渡ると告げる。


 ”星月巡り”一行は協力を申し出るが実力不足として、申し出を辞して、彼女はハーヴェス王国を去っていった。


【今回の登場人物】

 セッション参加キャラクター

 ライエル=クラージュ(ファイター5)

 ドラコ=マーティン(コンジャラー4)

 マリア=エイヴァリー(フェアリーテイマー4)

 フィール=ニルヴァレン(プリースト4)



“聖剣の護り手”ヴィオラ=カルティ 

 種族:エルフ 性別:女性

“星月巡り”の一員、ライエル=クラージュの剣の師匠。老齢で冒険者としてはほとんど活動していないが、その剣の腕は誰もが知る高名な女剣士。導きの神ハルーラの神官でもある。

 歴史の陰に埋もれた”聖戦士”を直接知る人物の1人であり、彼女は”剣聖”クラウゼの弟子であった。

 魔神王の復活と討伐、その後の世界の混乱、さらにその後に起こり魔動機文明を滅ぼした《大破局》を見てきた歴史の証人だが、彼女は多くを語ろうとはしない。

 一連の事件から、聖戦士たちが残した遺産を蛮族が狙っていると判断し再び旅立つ。




【今後も使用する設定】


 聖戦士

 400年以上前、魔動機文明時代末期。アルフレイム大陸の北端にある壁の向こうから復活した魔神王により幾つもの国が滅ぼされ、世界に危機が訪れた。

 その時に世界を救わんと降臨した、人の肉体を持つ神々。彼らを聖戦士と呼んだ。

 聖戦士は12人おり、力を合わせて魔神王を打ち倒したらしい。


 聖戦士の武器

 12人の聖戦士が手にしていた武器。魔動機文明時代のアーティファクト。

 聖戦士のひとり、”賢者”オーブレイが生み出し、最高のドワーフ職人達が鍛え上げた12の武器。その力は”神器”と呼ばれるほどのものだったらしい。

 しかし聖戦士たちが魔神王を倒したあと、聖戦士の力の結晶たる武具を巡って人間たちは争いを起こしたようだ。結果として聖戦士の存在とその武具は封印され、歴史から忘れ去られている。



【次回予告】

“聖戦士の遺産”を狙う蛮族の跳梁を重く見た


 ハーヴェス王国の若き国王ヴァイス=ハーヴェスは、


 東方のユーシズ魔導公国へ、トーラス=ブロフィード公爵を全権とする外交使節団を派遣した。


 ”大魔導公”ヴァンデルケン=マグヌス公爵は《大破局》を生き延びた数少ない公人と目されており、情報の共有と善後策の相談を行うためだ。


 平和なはずのユーシズ魔導公国で、聖戦士の伝説とその”聖地”を巡り蠢く陰謀。


 信じあうことは、かくも難しく尊いものであるのか…


 ソード・ワールドRPG第一部第4話「旧世界より」


 冒険者たちよ、剣の加護は汝と共に。


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