第141話 ミニアルカのミルカ。
「はい。じゃぁ今度はこっちまで飛んでみてください」
ボクはその声に頷くと、意識を集中する。
インナースペースの内側から手を伸ばす感じ?
で、目視した空間を心で掴む。
そのままグネンと空間を反転し飛ぶ。
指示された場所まで短距離だけれども空間転移の成功だ。
相変わらずバトラさんの声はドキドキするけれど、こうして一緒に居られる時間は貴重なので頑張る。
「よく出来ました。では次は魔法を使ってみましょう」
「でもボク、魔法って使った事なくて……」
「大丈夫ですよ。その身体はアルカ様の身体ですからね。身体の中の魔力回路からマナが溢れていますから。それを上手く制御すればいいのです。まあアルカ様ももう少し制御の訓練を積んでくだされば一流の魔王になれるのですがねー」
「あたしもこの身体で訓練するかなー。その身体の時は魔力が多すぎて制御が難しかったのだ。いまのミニアルカなら制御もし易い感じがする」
ミニアルカかぁ。もっと可愛い名前はないかな。
「ミルカ、とか……」
「ああ、それ良いですね。これから小さいアルカ様の事ミルカ様って呼びましょうか?」
「ミルカかぁ。良いかもだ。よーし。これからあたしはミルカだ!」
えー。もう。
「じゃぁアルカ様の方はアルカ様で良いですね。対外的にもその方が良さそうですし」
「そうだよなー。それでいいな」
「もう、アルカ様もそんな」
「しかしなロイド、今そうやって呼んでおかないと他の者がいる時に困るぞ?」
「それはーそうですけどー」
うきゅう。
「じゃぁ最初から。光の魔法」
手のひらを上に向け。
バトラがまず見本として光の玉を作る。
ミルカも簡単に作ってみせ。
ボクも……。
うう、できない……。
うーくー、っと力を込めて見るけどなかなかで。
ふっと気がつくと背中側にバトラが立ってボクの両手に手を添えて、
「私が補助しますね。アルカ様は気の流れを感じてみてください」
と、耳元で囁いた。
ゾクゾクゾクソク
ああん……。
もう、立ってるのを我慢するのが辛い。膝が震える。もう泣きそう。
バトラがボクの背中を抱くように覆いかぶさって両腕を添えてマナの流れを補助してくれる。
身体の中を温かいものが流れていくのがわかる。
そして。
上を向けた手のひらの上のぼんやりと溢れていた魔力が段々とまあるくなり、光の玉になるのが分かった。
あは。出来た。
「それで良いのですよアルカ様」
背中からそう声が聞こえてボクはもう我慢できずにしゃがみ込んでしまった。もう……、ダメ……。
三度目の転生は猫でした。 友坂 悠 @tomoneko299
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。三度目の転生は猫でした。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます