第129話 ギルド街で。
でも。まぁ。
魔力紋の事もあの時の様子を見てたって事も言い辛いよね。
どうしよっか?
「んー。ミーシャさま? どうかなさったのです?」
こんどは逆にミルカがあたしの前で小首をかしげ覗き込むようにそう言った。
かわいいけどさぁ。この子、年齢よりも上に見えるよね? どうしても。
「ミルカさまはしっかりなさってるんですね。まるで大人の方みたいに見えますわ」
一瞬、動揺の色が見えたけどすぐおさまった。彼女、やっぱり年相応の幼女じゃないよね。
「まあ。大人っぽいというのは良い意味として受け取っておきますね。それではわたくしたちは用事がありますのでこのへんで。ごきげんよう」
さあ、いきますわよお姉さま。
そうアルカの手を引いて立ち去ろうとするミルカ。
「またおはなしできると嬉しいです。ありがとうございます」
そう当たり障りなく挨拶だけかえして。
あたしはとりあえずもう一度椅子に座り直し、背もたれに寄り掛かった。
☆☆☆
「面白そうな話だけど、あんまりよそさまの事情に首突っ込まない方が良くない? 姉さん」
デュークにアルカとミルカの話をしてみたらこんな返事が返ってきた。
まあそうだよねぇ。
あたしたちの目的は外の世界から来た勇者の情報と、昔移住してきたっていうデイモン族の話。できれば外の世界の穴が空いた時にすぐ対応できれば。みたいなところ。
できれば向こうの世界に行ってみたい。外の世界を見てみたい。そんな好奇心でこんなところまできてるのに過ぎないし。
別にこの世界のいろいろに関わる気があるわけでもないんだけどね?
っていうか関わり過ぎはいけないよねとも思ってる。
自重しなくちゃって。
あたしの産まれたマシンメア・ハーツの世界はあれはあれでちゃんと故郷って認識だしすごく愛着あるし。
あそこはいちおう別格、だけど。
他の世界にまで干渉しすぎるとふにゃぁだって、ね。
あたしとデュークはこのランクルサードの王都の城下町の観光としゃれこんだ。
明日にはまた第二次お食事会があるらしいけど、
(って、晩餐会って言ってたっけ)
その前の自由時間みたいな感じ?
他の国の魔王様は街を歩くのにもお供をたくさん連れ歩かないといけないっぽいけどあたしたちはこうして身軽に歩けるのが良いよね?
ツノ引っ込めて猫耳にしていれば周りからも魔王トーナメント出場者だなんて思われもしないしね。
っていうか前回の晩餐会? なんだか20世紀の日本の結婚披露宴みたいなハデハデだったなぁ。
雛壇にちょこんと座ったアルカ様が何度かお色直しに立ってたし。
まあ、あれはあれでショーだと思って見ていれば楽しい。
次はいよいよ10ヶ国全て出そろうわけだし、それも興味深いかな。
そんな事を考えながら歩いていたらギルド街に着いたっぽい。
たたたって子供が走って来たのが見える。
んー。よろず請負ギルドに子供向けのギルド? child'sって看板が見える。
その走って来た子が飛び込んで行ったから、やっぱり子供向けのギルドなのかな?
実はここに来たのには訳があった。
あのミルカのアルカが異世界勇者と戦った場所、例の現場だからね。一度見ておきたかったのもある。
異世界の穴の形跡も確かめておきたかったしね。
と、あたしとデュークが立ち止まって遠目にそのギルドの入り口付近を眺めてると。
ふらっとフードをかぶった人物が現れた。
って、あの子アルカさまじゃん。顔隠しててもバレバレだよ。
ふにゃぁ。
まあ、でも、いったいどうしたんだろう?
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