第128話 この二人、入れ替わっちゃってる?
「その口ぶりだと、アルカさまはトーナメントに出たくないように聞こえますよ?」
あたしがそう言うと、アルカさま、両手を口にあてて、ああしまった、みたいな顔をして。
「いえいえ、そういうわけでもないのですけど……」
と、くちよどむ。
まあ、そういうわけもどういう訳も、わからないけどね。
彼女が本心からこういうトーナメントに意欲的で無いことはわかる。
あたしはこっそりマギア・キャッツアイを装着して、その権能の一つ、マインドリーディングを使用する。
あたしもともと相手の感情とか心の動きとかが色になって見える方だったんだけど、この権能を使うとそれがもう少しはっきりわかるようになるのだ。
思考そのものを読み取ってしまうわけではないのだけど、ある程度の感情の流れはわかる、かな?
「んー。失礼かもですけどアルカさまってほんと大人しすぎて。闘いとか似合わないような気がしちゃうんですよねー」
あたしはちょっと小首をかしげ、下から覗き込むようにアルカさまを見る。
あたし、身長低いから。彼女は男の方並みに高いしね?
どうしても覗き込むような感じになるだけで。
別にあざとい少女風を演じてるわけじゃないよ?
でも。
まあ。
はたからみたらそう見えなくも無いシチュエーションかな?
アルカさま、なんだか真っ赤になって。
なんだかウブな男の子みたいな反応をしてくれた。
困惑、と、羞恥、と、そして甘酸っぱいドキドキな感じ。
あは。
かわいいかも。
「確かにわたしは闘いはあまり……」
「姉をいじめるのはそこまでにしてもらえません? ミーシャさま?」
アルカの言葉を遮るように現れたのはちょっときつめの幼女。グレイの髪でツノは黒。ツノの色合いとか形はアルカさまとそっくりかな。
「ミルカ……」
「もう! お姉さまもちょっとお口が軽すぎますよ。そんなことそう簡単にペラペラ話さないでくださいな」
「ごめんなさい……」
なんだかアルカを嗜めるような物言いのミルカ。
妹だっていうけどちょっと違う。
アルカは本当に申し訳ないって思ってる色だしミルカは普通に怒ってる。
余計なこと言うな!
そんな色だ。
ふむむ。
ちょっと興味深いよね。この姉妹。
っていうかほんとの姉妹?
って思ったところで気がついた。
ああ。顔は違うけどこのミルカの方だよ。あの時の勇者と戦ってた魔王の魔力紋の持ち主。
ってことは……?
まさか、ね?
この二人、入れ替わっちゃってる?
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