第4話



 部屋を出た洋はリビングに向かった。

 

 入ってすぐにベビーベットにいる赤ん坊を見つける。

 

 その無垢なはずの顔を見ているとかすかに面影ある。

 

 ああ、なんて事だ紛れもなくあいつの子じゃないか。

 

「かわいそうに」


 洋は赤ん坊を抱きあげる。

 

 腕に重さを感じながら床に赤ん坊を置いた。

 

 そうして、持ってきた荷物からバットを取り出した洋は

 

 額にバットを押し当てて何かに祈りを捧げる。

 

 儀式を終えた洋はバットを真っすぐ振りかぶり

 

 赤ん坊めがけて一気に振り下ろした。

 

 ぐちゃりと手に衝撃と感触が伝わる。

 

「かわいそうに、かわいそうに、かわいそうに、かわしそうに


 かわいそうに、かわいそうに、かわいそうに、かわいそうに」

 

 洋は何度も、何度もバットを振り下ろし続けた。

 

 原型が無くなる程にそれは続けられやっと終わる。

 

 そうして血まみれになったバットを流しでしっかりと洗った。

 

 ゴシュゴシュゴシュゴシュとたわしを使って

 

 汚れが落ちていく様を洋は見るのが好きだった

 

 

 

 洗い終わると浴室に向かった。

 

 汚れた服を脱いでシャワーを浴びる。

 

 水が身体を流れていく。

 

 なかなか温かくならないので温度を上げた。

 

 

 新しい服へ着替えると木崎がいる部屋の前で座って待つ。

 

 ドアが開いて木崎が出て来た。

 

「行くか」


 洋は頷き、木崎の後をついて行く。

 

 

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