第7話 白の感情(後編)
あの後、小説フロアに来た。
(“愛する人のために同じ時間を繰り返して幸せな結末を目指すラブストーリー”…)
色々吟味していると隣には涙を流して本を読んでいる少女がいた。
(あの人…うん、そうだ。)
ミコはその少女に話しかけた。
(あの…)
「へっ?あっ、なな何でしょうか!」
少女はかなり動揺している。
(少し聞きたいだけ…)
「えっ?あ、どうぞ…」
(悲しい事にはどう抗えばいいの?)
「うん、そっか。それはね、記録すること。全部無駄にはしたくない。」
(そっか、やっぱり…ね。私の考えは間違ってなかった。でも、一応…ね。)
ミコは自分の使命のまま、適当に気になった本を買い、帰路についた。
帰り道の途中、少女から声をかけられた。
「君、1人でおつかいなの?偉いね。」
狙い通りだった。
(1つ尋ねてもいいですか?)
「うん、いいよ!お姉さんにじゃんじゃん聞いちゃって♪」
(どうして笑っていられるの?)
「うんとね、昔はいつでも笑っていられたけど今は違うの。」
(えっ?聞いていた話と違う…)
「私ね、喜ぶだけの私よりもね、いつかの幸せを願っている毎日の方がいいんだ。でも、みんなに笑っていて欲しい。最後のは私のわがままだけどね。」
その時、先日にミロクという人から聞いた言葉を思い出した。
(ああ、そういうこと…なの)
(お姉さん、もう大丈夫。私帰れるから。最後にお姉さんの名前を教えてくれる?)
「私?私はね、エクステラって言うんだよ。」
(ありがとう、お姉さん。喜びよりも幸せ…うん、希望が見えてきた。)
ミコは走り出した。
「あの子…もしかしてね。」
「おかえり、ミコ。」
(ただいま、お姉ちゃん。)
「…むむむ!」
ミコトはミコに近づき、睨んだ。
(えっ…何か変かな?)
「口調も態度も声のトーンも…うん、何か吹っ切れたみたいだね。」
(うん、落ち着いたの。ねぇ、前言ったこと覚えてる?)
「何?」
(私の事教えてあげるって…)
「うん、そうだね。」
(お姉ちゃんになら…話してもいいかなって思えてきたの。ねえ、私が何者でもどこから来ても…受け入れてくれる?)
「もちろん。だって、ミコはもう私の妹だから。」
(ありがとう…私は幸せだよ。)
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