第6話 白の感情(前編)

「むむむ…」

ミコトは本棚を睨み悩んでいた。

(ミコトお姉ちゃん…何かあったの?)

「ミコのために何か本を買おうと思ってね。うむむ…何がいいと思う?」

(私が買うからいい。)

「あっ!私これから勉強だから…待ってる?」

(いい、1人で行ける…多分…)

「おっ、偉いね。ふふ、頑張って。」


ミコは1人で街を彷徨っていた。

(見栄張っちゃった…ここどこだろ…。あっ!)

ミコはパーカーの人物とぶつかってしまった。

「まったく…お前、どこ見てるんだ…って、お前1人か?」

ミコは頷いて尋ねた。

(本屋ってどこにあるんですか?)

「はぁ、この辺は危ないから案内してやるよ。安心しな、怪しいもんじゃない。ただ少し嫌われやすい性格なだけだ。」

(本当…?)

「あまりこれを見せたくはないが…」

パーカーのフードを取るとその顔は少女のものだった。それはどこかで見たことがあるものだった。

(うん、信じることにする。)

その人について行くことにした。


(どうして不機嫌そうなの?)

ミコは気になったことを聞いた。

「どうして…だろうな。ただ俺は自由でありたいだけ。言いたい事言ってそれを貫きたい…って何言ってんだろ。お前はなにか親近感を感じる。はっ、気に入らねぇな。」

そして、本屋に辿り着いた。

「じゃあな。ま、お前とはまた会えそうな気がするが。」

(ばいばい)



ミコは本屋に入って、参考書のフロアに行った。

(“多様化する未来への不安”…)

考えていると声が聞こえてきた。

「そうだな、私的にはこういう参考書はどうにも否定したくはなるが発展のため受け入れるべきか…」

(あっ、あの人見たことある…)

そこには移動式の椅子に座っている少女がいた。

(あの…少し静かにして貰えませんか…)

ミコは勇気を振り絞って注意した。

「ああ、すまないな。興奮すると止まらないのが悪い癖でね。」

(少し聞きたいですけど、どうして熱中できるんですか?)

「そうだな、後悔しないようにしたいからってところか。楽に楽しく過ごすのが私のモットーだからな。」

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