第二回 映画「銀河鉄道999」

 松本零士による不朽の名作SF漫画、銀河鉄道999。私は原作をよく知らない。知っているのは概略的ストーリーくらいか。小学生の頃、少しだけ読んだ事があるが、当時の私は理解しきれず、すぐに読むのをやめてしまったような覚えがある。

 テレビアニメ版は何話か見た事がある。多分、BSか何かの再放送だったかと思う。途中の何話か、と言うレベルの話だったので、それ程印象に残っていない。私がここで取り扱う「銀河鉄道999」は、映画版、ゴダイゴによる同名の名曲が主題歌として有名な、映画版の「銀河鉄道999」である。


 映画版の「銀河鉄道999」には些か強引さもあるが、全体的に見れば長いストーリーを限られた尺の中、上手くまとめ上げていると思う。不老不死の機械の身体が引き起こす悲劇や、限られた生命だからこそ人の人生は輝くと言う真理を主人公の星野鉄郎が理解するまでに至る過程を、生身の身体に戻りたくても戻れない人々、クレアやシャドー、機械の身体を手にしてしまったが故に豹変してしまった人々、機械伯爵やプロメシューム等の姿と言葉を通じて描いている。この映画を観れば、誰しも思うに違いない。人間は限りある生身の身体だからこそ、その生命は輝きを持つのだ、と。


 そして、この映画には他の松本零士作品にも登場する魅力的なキャラクター、キャプテン・ハーロックやクイーン・エメラルダス等が登場する。彼らと協力し、プロメシュームと戦う展開になるのだが……痺れるような格好良さがそこにあった。これに関しては、是非映画を視聴して確認して欲しい。少年心がくすぐられる展開となっている。思わずガッツポーズを握りたくなるに違いない。


 一方……「残念」と言える点としては、やはり尺が足りていない。原作のエピソードを短い尺に収める為に、端折っているのだから仕方ない。やや粗く見える展開が幾らか見られる。例えば鉄郎が「機械の身体をただでくれる星」を破壊すると決意するシーンには唐突感が否めなかった。もう少し熟考するようなシーンは無いのか、と言いたい所だ。また、少し観たテレビアニメ版でも見られた、車掌との人間味溢れる交友が殆ど描かれていなかったのも残念だ。


 この様に、少々粗い所も見受けられる映画ではあるが、全体的に上手く見せ場を作ったストーリー展開をしており、とても面白く観る事ができた。Netflixでの視聴が可能である為、加入している方は是非とも観て欲しい。生命の輝きについて、一考できるに違いない。

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毒にも薬にもならない作品レビュー 加藤ともか @tomokato

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