金鳥玉兎 一話完結
『金鳥』は太陽に三本の脚をもつカラスがいるという伝説から、太陽(日)を言い『玉兎』は月に兎がいるという伝説から。
私は確かにその鳥を見た。
夕暮れの繁華街で金色のカラスがネズミを襲うところを。
金色のカラスは青い目をしており、抵抗し暴れるネズミをその爪で掴んでいた。
私はそのカラスに青い目で睨まれている気がした。
私は頭の中で計算した。
何とかしてこの黄金のカラスを金に変えたかった。
私は金がなかった。
見るからに珍しいこの鳥を誰かに売ると言えばそれなりの値が付くと思った。
私は自分の意識をカラスに近づけた。
私の意識と黄金のカラスの意識を交換しカラスの身体を乗っ取り、私の身体の手元に引き寄せるつもりだった。
その瞬間、私の中に熱い何かが流れ込んだ。
それは太陽だった。
意識を乗っとるだと?何を言ってるんだ私は。。
そんな事は出来る訳がなかった。
しかし、あの瞬間私は確かにはっきりとそう考えていた。
私は狼狽した。
狼狽する私をカラスは青い目でジッと見つめ捉えたネズミを咥えて飛んで行った。
私はあの黄金のカラスに意識を乗っ取られていたのかも知れないと思い背筋が寒くなった。
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