深海 一話完結

私は夜の街を徘徊していた。

街には人気が殆どなく、たまに見かける男はとてもじゃないが関わり合いになりたくない感じだった。


私は注意深く夜の街を進んだ。


盗人に目をつけられたり浮浪者にすごまれたりして心を縮める思いをするのはまっぴらだった。


あなたは思うだろう、何故私が夜の街を徘徊するのかと。


私は夜が好きなのだ。


人々が姿を消した夜のオフィス街はまるで深海のようで、私は大きなクジラになったような気分でロードバイクで回遊した。


私は夜の海を泳ぐ、大きなクジラ。

私は幸せだった。


私は遠くに住む友人に叫んだ。


『地球は最高だぞ!お前も早く来いよ!』


私は叫びをあげ夜の街を進んだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る