第3話 ピラミッドの頂点


いつもなら家の中のあちこちで見かけるクモを、近頃とんと見かけません。

しばらく前、階段の上でデカイのと目が合って、ワォ、と声を上げていたら

「ああ、それ、Gハンターで有名なヤツだよ」

と長男が教えてくれました。

「検索したら、Gを捕食してる画像が結構、出てくるよ」

ってアナタ、何、検索してんのよ、と突っ込みたくなるような説明付きです。

そのGハンターはもちろん、

そこらをちょろちょろしているような小さいのも、姿を見ないのです。


代わりに出てきたのが、あの、例の、長いの。

肉食系、人間も刺されると腫れちゃう迷惑千万なヤツ。

一度目に出てきた時は、バトルは長男、死体処理は私が担当しましたが、

その後、2回出てきて、どちらも全て処理済み、とは長男からの報告。

他の人間が寝ている時間に起きているのは彼だけなので、

夜行性生物との遭遇は彼の専権事項みたいなもんですね。

肉食系だけに、ソイツらがクモをエサにしていたのかもしれません。

もちろんGハンターでもあるらしく、そのことを教えてくれたのも、長男です。


Gが例の長いのを捕食するかは知りませんが、

Gが出た!と騒いだのは長男です。

例の長いのは処理できたクセにGはできないのか?と尻を蹴飛ばしたくなりますが、

仕方ない、ここは私がバトルも死体処理も担当しました。

二刀流でスプレー噴射、弱ったところをトイペで潰し、そのままトイレに流す。

我ながら完璧です。ゴルゴ並のスナイパーです。



さて。ではここで振り返ってみましょう。


クモ→ムカデ→長男→G→ワタシ

または

クモ→G→ムカデ→長男→ワタシ


これが我が家のピラミッドのようです。


全然、嬉しくない。

うん。全くもって、嬉しくない。

なので、頂点を譲ることにしました。


頂点は、

ブラックキャップ、コンバット、ホウ酸ダンゴ、バルサン。


いまだにG対策できてませんからね。

梅雨明けしたら、絶対やろう。

2時間避難できる場所がなくても、長男が寝ていても、絶対やろう。

G対策すればついでにムカデも出なくならないかしらん。

なってほしいなあ。


ちなみに。

オットは、Gバトルを頼むと、露骨にイヤな顔をします。

戦闘能力0です。

「えー?どうせ、これ一匹殺したところで、ふつうに何匹も外、歩いてるじゃん」

いやいやいや、そうかもしれないけど、そういう問題じゃないでしょう。

そういうこと言って、うっかりを装って外に逃がすなんてナンセンス!

そういう人は、Gの味方、全女性の敵、とみなします。


次男は、「うわ、マジ、オレ苦手だからムリムリムリ」

と言いながら、食べた菓子のゴミを放置し続けるだらしなさ。

それはこっそり餌付けしてるのと変わらないんだからね、

そういうヤツは女の子にモテないんだよ?といくら言っても馬耳東風。

戦闘能力マイナス100です。


あー、ほんとウチのオトコ共って使えない……。

薬物類が頂点、って、どんな家、よ?

頼りになる頂点が欲しい、と切に願う今日この頃、なのでした。





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