ミドルフェイズ:シーン9「変わらぬ決意」

GM:では2人が話を終え、支部跡地に向かう羽衣達と合流します

 まだ晶は来ていないですね

昴:「ここが……あの支部か……」

 瓦礫の山を前に、眉をひそめてやるせなさげに呟く

GM:舞香は瓦礫に腰掛け、膝を抱える。

朱崎舞香:「で、どうするつもり?」

一行:「さて、どう攻めるのが効果的でしょうなぁ?」

朱崎舞香:「馬鹿正直に再戦?」俯きながら

一行:「このままですとそうなりますな」

昴:「いずれにせよ焔は殺す。馬鹿正直だろうとなんだろうとな。ヤツをやるのにうってつけの策があるってんなら喜んで乗るぜ」

羽衣:「でも、出来るんでしょうか、あんな……あんなのを相手に……。わたし、正直……」

 と自分の感情を言おうとして、でも、続きが言えない。

 言ってしまったら、それを認めなくちゃいけない気がして。

朱崎舞香:「…腹が立つの。あんた達を見てると本当に腹が立つ」

GM:舞香は天を仰ぎ、ぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。

朱崎舞香:「なんでこんなことになるの…? 馴れ合って縋りついて、一人じゃなんにも出来ないくせに…なんで肝心な時に離れていこうとするわけ? 何が一番大切かなんてわかり切ってるのに…! いつまでも…どいつもこいつも御託ばっかり並べて…!! なんで…なんでよ! 私より知ってるくせに! 私より持ってるくせに! 私より…強いくせに」

GM:舞香は叫ぶようにそう言い放ち、膝に顔をうずめる

香凜:「……大切だからよ」ぽつりと、口を開く。

 「大切だからこそ、傷つけたくないからよ」

 舞香の正面に立って、膝を抱える腕に手を添える。

 「誰だって、なんだって、思い通りにいかないから。だから、自分の手で傷つけてしまう前に……」

 そこで言葉を止めて、添えていた手を離すかな

GM:舞香は返事せず膝をさらに強く抱きしめる

昴:「俺もまあ、同じ穴の狢だからな、その辺はよくわかる」

 カリンちゃんたちのほうを向きもせず、燃え落ちた支部を眺めながら続けます

 「どうせ失うんだから、持たない方がいい。失ったら辛いだけだ」

 瓦礫の山の中に手を伸ばす。おそらくは、かつて自分の私物が置いてあった場所。

 まだそれが存在していたのは、余りにも幸運だったかもしれない。

 小さな写真立てを拾い上げた ガラスは砕け、煤と砂に汚れてはいるが

 「でもさ。それだけでやってけないじゃん。どんなに独りになろうと頑張ったって、そう簡単になれるもんじゃない。俺には無理だった。だから、今度は、って思うんだ。たとえ全部燃えてなくなるとしても。だから、たぶんどっちも正しいんだ。きっと。大切だから、離れようとすることも。大切だから、傍に……居たいことも」

朱崎舞香:「何よそれ。結局、好きにしろってことじゃない。だったら私は…ぶん殴らなきゃ気が済まないわ」

GM:舞香はそう言いながら立ち上がる

昴:写真立てに入れられた写真は半ばから燃え落ちていた。

 五人が映った、それほど多くもない、それでも確かな日常

 「上等。俺もこんなもんに左右されるつもりはない。俺の欲しいもんを奪い返す。アイツをぶん殴るのも、アイツをぶち殺すのも、そのついでだ。……手を貸せ、舞香」

朱崎舞香:「…言ったでしょ? 腹が立ってるの」

一行:「まったく成長しましたな。舞香さん。さて、あのときはきちんと答えがもらえませんでしたが、また聞きましょう。貴女はどうしたいですか? 朱崎舞香さん」

舞香:「私は──」答えようとして開いた口を、なにも発さないまま閉じてしまう。

 その視線はどこか迷いを帯びていて、今までの彼女には見られない物だった。

香凜:舞香が視線を泳がせていると、不意に香凜が舞香の手を取る。

 「……私はもう、決めたから。自分にとって何が大切なのか、決めたから」

 離れないようにギュッと手を握りながら、視線を交差させて問いかける。

 「舞香は……舞香にとって、何が大切なの?」

舞香:数刻の沈黙の後、力強く手を握り返しながら、舞香は口を開く。

 「私は──私は、ずっと変わらない。私を縛り、邪魔するやつを。私の欲しいものを奪っていくやつを。絶対に、許さない」

 ハッキリと言葉を紡ぎ、支部長に視線を返すかな

一行:「似た者同士ですなぁ、お二人は。ですが、前は聞くことができなかった答えを聞けたから私はよろしいでしょう。お二人はどうですか。羽衣さん、昴さん」

昴:「言うまでもあるか? 支部長。アンタには散々情けないところ見せたからな、もう被害者ぶって泣き喚くのはやめにした。俺はこの手で、俺の大切なもんを奪い返す。邪魔する奴はたとえ誰だって容赦はしない。なんせまだ燃え残ってるみたいだからな。後悔すんのは全部なくなった後でも遅かねえ……だろ?」

一行:昴のその答えを聞いて頷きを返す そして羽衣ちゃんの方に顔を向けよう

羽衣:「わた、し、は」支部長の視線に、しばらく閉ざしていた口を開きます。

 「……自分の、やるべきことをやればいいって思ってます。きっと、最初からずっと、それは変わらないんです。……って、分かってる、はずなんです。でも、わたし、」俯いて、自分の足を見て。

 「今になって、足が、すくんじゃうんです。晶ちゃんの言葉が、頭から離れないんです。"近付ける"のか、分からないんです。きっと、わたし──」

 もう、認めなくちゃいけない。

 「こわいんです。わたしががんばらなきゃって、決めてたはずなのに……!」

GM:ミードがそっと寄り添う

香凜:羽衣ちゃんに向き直って、歩み寄っていくかな。

 舞香ちゃんとつないだ手は意地でも離さずに。

 「……いいんですよ。無理にがんばらなくて、いいんですよ。せんぱいが辛いなら、私が連れて行ってあげますから。だからせんぱいは、あの人に言うだけ言っちゃってください」

 混じりけのない笑顔を浮かべて、羽衣ちゃんの手を取ろうとするかな

羽衣:手は取られるままになりますかね「……頼っても、いいの?」

香凜:「はい!」いつも通りの……元気な笑顔で、大きくうなずく。

 「今までいっぱい頼ってきましたから。だから、私からのお返しです。可愛い後輩のこと、存分に頼ってください」

羽衣:「かりん、ちゃん、」頼って、よかったんだ、わたし。

 「香凜ちゃん、うん、うん……!」

 そのまま胸に飛び込むようにして泣いても……いいですか

香凜:来いよ……

 そのまま羽衣ちゃんを抱きとめて、涙を流すままに受け止めますね

一行:(「晶ちゃん、そろそろ来てるよね」という会話を受けて)《声なき声》で晶に

 『すいませんが、少し待ってもらえますかな? 羽衣さんとしてもあまり見られたくはないでしょうし』と投げておこう

結塚晶:『…』沈黙で返すが、伝わっているのはわかる

一行:とまぁ少し落ち着いてもらうまで待ってもらって

 「さて。では、晶さん。貴女の話を聞かせてくださいますかな?」と声をかける

GM:では、何もない空間に光の粒子が集まり晶の姿を形どっていく

結塚晶:「私の負けだ。…まぁ、勝てる見込みは最初からなかったが」

GM:彼女はそう言って苦笑を浮かべた

結塚晶:「私は…本当は皆と一緒にいたい。離れたいわけがないだろう? …でも駄目だ」

GM:彼女はそう言い、背後の燃える街を指す。

 事件が起こり被害が出ることがあれど、それでも平和だった紫藤市。

 今はそれが嘘だったかのように赤く黒く照らされている。

 燃える街を眺める晶の目は諦観に染まっていた。

結塚晶:「全て私が招いた事態だ。取り返しはつかない。許されることではない」

GM:晶は寂しそうに目を伏せる

香凜:じゃあ、背後でため息をつきますかね。

 「……なんていうか、相変わらずマジメですよね、そういうとこ」

 そう零してから、晶に向かって歩みを進める

結塚晶:「真面目が取り柄…だからな」ちょっと自慢げに 特に逃げたりはしない

香凜:「まぁ、私はそういうとこ、あんま好きじゃありませんけれど」

 茶化すように言いながら、晶の隣に立って街を見下ろす。

 「……不幸話っていうのも、あれですけれど。私はセンパイと違って、なにも思い通りにならなくて。だからセンパイのことは……まぁ、色んな意味で嫌いでしたよ。正直、任務だとか、せんぱいの手前だとかで仲良くしてるとこだってなくなかったですし」

 静かに街を見下ろす視線はどこか冷めていて、彼女がやはり、FHであったことを認識させるものだった。

 「でも、最近の……センパイを取り巻くことが色々と起こって、意外とセンパイも、大して変わらない、バカなんだって思えるようになったんですよ」

 目をつぶり、これまでのことを思い返す。

 それまでの1年を塗り変えるような激動の日々を思い出しながら、それでも香凜の表情は、どこか楽しげなように笑みを浮かべた。

 「私はいろいろと思い通りにいかないバカでしてね。センパイみたいに、責任がどうだかって考え始めたら、気が滅入ってくるんですよ。正直、自分には荷が重すぎる事も多いですからね。アイツのことも、アナタのことも」

 そう言いながら、視線を晶に移す。

 「センパイは……どうなんですか? 口ではそう言ってますけど……責任を背負う覚悟、あるんですか?」

 追求するのではなく、あくまで問うように。穏やかな声音で、言葉を投げかけますね

結塚晶:「お前の生意気さは…とどまるところを知らないな」

GM:少し肩をすくめ、短く息を吐く

結塚晶:「覚悟なら出来ている。そのためにここに来た。…私には最期まで見届ける義務が、ここまで放っておいた責任がある。それを果たすため…一つ頼みを聞いてくれ」

GM:香凜の頭をポンと撫で、全員に向き直る

香凜:まだ言うかこやつ、みたいな顔で後ろから見てますよ

結塚晶:「もう一人の"私"。焔は…お前達と出会えず"結塚晶"になれなかった私だ。全てから目を背けた…もしもの私なんだ。焔の意思は変わらないだろう。私にはそれを否定することは出来ない。日常を羨み、己を嫌う気持ちは…痛いほどにわかってしまうからだ。…だから今度こそ向き合いたい。焔をどうか…楽にしてやってほしい」

GM:彼女はそう言い深く頭を下げる

香凜:では、背後でちょっと呆れた顔してた後輩がですね。

 「ほんとセンパイは、そういうところがバカなんですか、らっ!」

 そういって後ろから晶ちゃんをみんなに方に蹴っ飛ばしますね!

 (主に羽衣ちゃんに向けて)

GM:驚いた顔をして香凜を見るけど結局よろめいて羽衣のとこにこう…ぼすっと

羽衣:「え、わ、香凜ちゃん……!?」

 びっくりするけど晶ちゃんを抱き留め……抱き留めでいいのかな、します

 とても嬉しくて、でも、ほんの少しだけ、気まずくて。

 まだ、どこかにあの言葉が刺さっているのかな、って考える。

 棘は刺さると、なかなか抜けてくれないから。

 「えっと……あきら、ちゃん。今は……ちゃんとお話できるほう?」

GM:晶も少し気まずそうに、目を泳がせる

結塚晶:「え、あ、まぁその…最後に…話そうと思って…来たから…な。罵倒でもなんでも…受け止める覚悟はある」

GM:肩に手を置いてちょっと下がろうとする

羽衣:手を取ってそれを止めます。離れていかないように。

 「……罵倒なんてしないよ。ただ、お話がしたかったの。言葉が届かなくて離れ離れになっちゃうのは、とても、つらいことだから。実際ね、街中で晶ちゃんに会った時、その……すごく、つらかった。つらくて、痛くて、悲しくて、どうしたらいいか分からなかった。だから、今こうして向き合えてることが、とても嬉しい。晶ちゃんは、どう?」

結塚晶:「私は…向き合うことからずっと逃げてきた。でも私は…お前達の傍に居たい。お前の隣で、お前の笑顔を見ていたい。でも…それは違う。ここでお前達のもとに戻り、共に焔に立ち向かうことも出来るかもしれない。だが、それは私が…"結塚晶”が絶対にしないことだ」

GM:羽衣の手をそっと握り、目を見てそう言う

結塚晶:「私はどこかの生意気な後輩に言わせればバカだそうだからな。出来ることなら…バカのままでいたい。お前達がここに居ていいと言ってくれた。結塚晶のままでいたい」

羽衣:「……ふふ。やっぱり、"晶ちゃんは、晶ちゃんだね"。前からわたしが言ってる通り。一緒に戦えなくても、そう言えたなら。きっと、この先どうするかは、選んでいけるよ」手を握り返します。

 「わたしも、あなたの隣で、笑顔が好きって言ってくれたわたしのままでいたい。……でも、ね。わたし、"怖い"って気持ちを持ってるって、分かっちゃったから。だから、勇気がほしいの。立ち向かう勇気が。だってわたし、怖いから。あなたがいないと、寂しいから。あと……少しだけ、わがままだから」

 目をまっすぐに、見つめ返して。

 「ねぇ、晶ちゃん。言いづらいのもね、分かってて言うよ」息を吸って、吐いて。

 「苦しいなら苦しいって、つらいならつらいって、言っていいんだよ。"助けて"って、言っていいんだよ。声を出して、名前を呼んで? そうしたらわたし、きっと、どこまでも頑張れるから」

 にこりと、笑顔を。好きだって言ってくれた、その顔を

GM:晶は目を見開き、言葉を失う そして、しゃがみ込み肩を震わせる

羽衣:同じくしゃがんで、肩を優しくさすります

結塚晶:「いや、違う。違うんだ羽衣。ふふ。ふふ、そうか。そうだったんだな」

GM:彼女は何処かスッキリしたような笑顔を見せる。

結塚晶:「考えてもみなかった。助けを求めれば良かったのか。そんな簡単な事、思いつきもしなかった。いや、私にとっては簡単ではないな。あぁ本当にバカだ。わかった。わかったよ羽衣」

GM:晶は立ち上がり、胸に手を当てる。そして昴を見つめる。

結塚晶:「昴先輩、貴方には迷惑をかけたな。先輩はそうは思っていないかもしれないが…私は随分助けられていたんだ。境遇が近しい…と言うと失礼かもしれないがな。付け焼き刃でも前を向こうと思えたきっかけは先輩だ」

昴:「ん? おお……」俺の出る幕ねえなと思っていたのでちょっと面食らった

 「……礼を言われる筋合いはない、な。形は違うけど、俺だってそうだった。こちとらお前にいわせりゃ死んだ方がマシじゃねえかってレベルで逃げまわってたからな。全部俺のせいだって強がって、でも責任の取り方なんてわかんねえから、言い訳重ねて同じことの繰り返し。……この支部にくるまで腐ってた俺が、どうにかまあまともになれたのは、大半お前と支部長のおかげだ。バケモン同士、お互いさまってとこかな」

結塚晶:「お互い様…か。そうだな。私も最初は酷く荒れていた。支部長には迷惑をかけたな」

 支部長に気まずそうに視線を向ける

 「来たばかりの頃、失礼な態度をとってすまなかった。ずっと…謝りたかったんだ」

一行:「なに、皆さんかわいいものでしたよ」

昴:「あの頃は傑作だったな。とんでもねえ奴もいるもんだと思ったね俺は。なんか異様に頑固で変なところに拘る。生意気なもんで喧嘩になってみたらまあ強い強い。じっとしてりゃまあ可愛いのにやけに絡んでくる! おまけに飯がまずい。終わってんな」

一行:「皆さん反抗期でしたからね。皆さんの中でそのような期間が無いのは羽衣さんくらいでは? ですが……皆さん立派になりましたね。知っての通り私だけでは脅威を無くすことはできません。この街を取り戻すには皆さんの協力が必要です。協力していただけますか」>晶に

GM:晶は一瞬目を閉じた後、背を向け瓦礫の上に飛び乗る。

結塚晶:「私は今はお前達の敵だ。協力は出来ない。今は。だから助けてほしい。ここまでバカな私を見捨てられない、本物のバカであるお前達にしか頼めない。私と焔を…助けてくれ」

GM:顔は見えないが、少し震えた声で晶はそう言うと少しずつ水晶の粒となり塔の方角へ消えていく

香凜:最後に残ったひとかけらの輝きを、そっと右手で受け止め、握りしめときます

GM:輝きは香凜の身体に吸い込まれていくでしょう

舞香:「……あんな石っころに、救われたのね、私たち」

香凜:「……癪だけど、ね」2人並んで塔の方を眺めておきます

羽衣:「任せて、晶ちゃん!」少しずつ消えていく粒を見送りながら

 「だから、待っててね!」と精一杯声をあげます

白藤ミード:「…責任、と言うのなら…あの時“私達は仲間だ”と言った責任も取っていただかなければ。ですよね、ご主人様」首を傾げ、鈴がなる

羽衣:「もちろん。忘れてたって言われたら、ちゃんと教えてあげようね」

 みぃちゃんに笑顔で返します

GM:ミードはにやっと笑う キミ達は晶の後を追い、塔へと歩みを進め…る!

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