後書き

以下ネタバレや私の脳内設定を含みます。


感想

このように流れが決められている作品を書いたことが無かったので新鮮でした。まずお題を見た際に2通りの話がぼんやりと浮かびました。作品として上げた近未来的なポストアポカリプス系の話と、リアルな恋愛物。私はリアルな恋愛物の方が比較的得意ではありますが、あまりに無難過ぎて他作品に埋もれるであろうことは目に見えていました。そこで、前者を選びました。書いている途中で第二次世界大戦の赤紙の話もありだなと思ったのですが、冬という舞台にする上でパナマへ行くのか正しいのか、中国へ行くのが正しいのか分からなくなったので辞めました。やっぱりそこを雑にしたらいけないと思うので。


さて、雪、冬、核の冬とお題を見た際に一瞬で閃いたので、あとはシチュエーションを考えました。同じシェルターからスタートして秋人が出ていくパターンと、美冬に会いに行くパターン。後者は更に別れのシーンが必要になるので避けていたのですが、前者では余りにつまらなく、またシーンもかなり少なくなりそうでした。お題を考えると字の文でゴリゴリに攻められる前者の方が良かったのかもしれませんが…。



以下つまらない解説。解釈違いを起こす可能性があります。


エピローグは本当に蛇足です。3ヶ月で彼ら二人はかなり狂いました。

主人公である秋人は痛みと、それを緩和するためのモルヒネ、そして愛によって。

ヒロインの美冬はあまりの長期間日の光も浴びられない閉鎖空間において、家族と会うことや連絡を取ることもできずに毎日他人の子供を相手し続けたストレス、そして秋人の存在を失った苦しみや悲しみによって。


秋人は別れの際に、自分を忘れてほしいという気持ちと忘れてほしくないという気持ちがせめぎ合っていたから捨てられやすい物に想いを書き、第三者へと渡します。そういう青臭い感じだったのにも関わらず、3ヶ月の苦痛でかなり自分勝手な意識に変わります。英雄と持ち上げられ続けたのも大きい。その結果、秋人は忘れられたくないという強いエゴを抱きます。まああれだけラジオ放送されたら忘れられようが無いのですが、止めようとすれば止められたかもしれない。それをしなかったという事は彼のエゴが彼女への思いやりを上回ったということかもしれないです。ラジオの辺りはふんわりとしか考えてなかったですが。


美冬は割とノイローゼです。通常、勤務時間が終われば仕事との関わりは極めて薄くなります。ですが同じシェルターで暮らしている都合上、毎日が林間学校のようなものです。まあ林間学校とは違い両親がきちんといるのですが、廊下ではよくすれ違うことになります。先生は何処でも先生でいなければいけない。かなりキツイ状況でした。

おまけに強烈な印象を残して消えていった幼馴染の忘れ形見(ちょっと違いますが)である万年筆が常に手元に有り続けました。

あの刻印は果たして誰がしたのでしょうか。

普通に考えたら秋人の私物ですので秋人がオーダーして作った物ですが、美冬が狂っているとするとまた別の視点が生まれます。彼女が掘った、掘らせた可能性もありそうです。

そしてハートの染み。インク染みで歪なハートマークは普通に読めば秋人からの恋心を隠喩していますが、一方で歪んだ恋心のメタファーでもあります。


と言う訳で誰も救われないエンディングという残念なお話になってしまいました。エピローグは蛇足です。読まないほうがキレイに終わっていると思いますが、極限環境での人間の狂い方みたいなのを書きたかったので。上手く書けてはいないと思いますが。



この作品は書き始めたのは7/1でした。そこからダラダラと書いたり書かなかったりを繰り返してこんなに時間がかかってしまいました。その間誰の作品も読んでいなかったので、どれだけ私の作品より上手いのかとこれから恐々としながら読ませていただくつもりです。


2020.07.18

teardrop.

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