廃校編 第7話

五年前 釜ヶ崎小学校、一階 男子トイレにて。昼休み

 

「おい、アイツが本当に居るのか?」

「いるいる。俺このトイレに入って来るところ見たもん」

「準備はいいか?」

 

 コソコソと、ガキンチョが三匹、トイレの前で屯する。

 ここは一階の玄関から一番遠い所にあるトイレ。節電のため、この学棟一体は正午過ぎなのに薄暗く、昼休みとゆう事もあり、この連中以外に人影はない。殆どの生徒共は教室で遊ぶなり、校庭で走り回っている。

 そんな一見すると天真爛漫な小学生達の間では当時、密かにある遊びが流行っていた。

 

「「「人殺し見ーっけ!!」」」

 

 人殺し、なんてゆう物騒なワードが、ハイターのキツい匂いが漂うトイレ内にやかましく響いた。

 三匹は素早く室内に駆け込み、奥にある鍵のかかった個室の一つを包囲する。

「隠れてないで出てきなさーい」

「お前はすでにー包囲されていまーす」

 拡声機の真似事のように口に手を当て叫び散らすガキの表情は実に楽しそうで、実際楽しいらしく表情も彼らの頭のように軽い。

 

 『警察ごっこ』

 ルールは簡単、人殺しを見つけて逮捕するだけ。逮捕した後は牢屋に入れるなり尋問するなり、死刑にしてもいい。

 初めはただの遊びだった。そうゆうルールの、罰ゲームありの鬼ごっこの一種であった。誰が初めに考案したのかはわからない、気付いたら男子の間では流行していた。

 罰ゲームがあるとゆう刺激的な内容なので、四方を森に囲まれゲーム機やカードが持ち込み禁止なこの学校では瞬く間に浸透してもおかしくはなかった。

 これは教員側も「子供のお遊び」とゆう認識しかしていなかった為に見落としていた事が一つある。

 それは罰ゲームのエスカレートについてだ。初めは変なあだ名程度から、次にデコピン、そして缶ジュース一本と。緩やかに、確実にハードルは上がって行き、次第に身体外傷系や金銭を要求するようになってからは加速度的に悪化の一途を辿った。


 鬼ごっこの性質を持っている以上は当然足の速い奴が勝つ。そして行われる場所は主に小学校、小学生と言えば足の速い奴がモテる。

 つまり何が言いたいか?

 足の速い奴=カースト上位とゆう弱肉強食な世紀末な環境下で、ただでさえ今まで強者とゆう立場で優位を保っていた連中がいとも容易く弱者(足の遅い奴)から好きな時に搾取できるとゆう構図が出来上がってしまったのだ。

 奴らは好きな時に勝負をふっかけ、拒否すれば人殺しとして追い回し、ひっ捕らえれば刑罰として好きな物を差し押さえることができる。

 だがそれも長くは続かなかった。

 一人の男子生徒がバカをやらかしたのだ。具体的には女子生徒に対する暴行未遂、教員の一人がそれを目撃し未遂で終わったが、結果的にこの野蛮な「お遊び」の実態が明るみに出ることになった。

 それ以来、校内では警察ごっこは禁止になり、行った場合は教員にしばき回さ……教育的指導を叩き込まれることになり、流行も一時は鳴りを潜めていた。

 表向きにはだ。

 

 警察ごっこがもたらした搾取する側とされる側の構造はそのまま残された。表立ってできなくなっただけであり、実際には形や呼び方を変えて息を繋いでいった。

 そんな中、本物の?人殺しが現れたとゆうのだから、牙を折られた野獣共はこぞってその甘い汁を啜ろうと群がった。

 

「どーする?出てこないよ」

「大丈夫大丈夫アレを持ってきたから」

 一匹がポケットの中からビニールの小袋を取り出す。中にはカラフルなビー玉のような塊が入っており、それを見た他の二匹は黄色い声を上げた。


「「かんしゃく玉だー」」

 癇癪玉と呼ばれたそれは別名をクラッカーボールと言い、勢いをつけて壁などの硬い物に投げつけると大きな音が鳴るとゆう火薬のおもちゃだ。

 この当時、既に製造・販売が共に中止されていた花火であったのだが、何故そんな物を持っているのかは以下の通り。

「それどこで買ったのー?」

「お父さんがくれたんだ。絶対に奥歯で噛むなよだってさ」

「どうして?」

「さぁな、でもちょうど実験台になってくれそうな五年生がここにいるじゃん? 試してみようぜ」

 なかなか酷い事を考えるクソガキだ、そう言えばこの連中は学校の裏にある「瓢箪沼」でヒキガエルに似たような事をしていた。

 その時に使ったのは爆竹だそうで、口に突っ込んで導火線に火をつける遊び。

 五秒後には大抵、カエルの上半身はバラバラに吹き飛んでいる。正に汚い花火。

 

 その五年生とやらも、このままトイレに閉じ籠もっていれば、件のカエル程では無いにしても似たような目に合う事だろう。

 その様子を想像した五年生……少年は身震いをした。自分の頬に裂けて焦げた穴が開き、その中から砕けた奥歯とその破片が刺さった舌の真っ赤な色を、この時ばかりは何故か鮮明に思い浮かべることができたのだ。

 

 奴らにとってはなんて事のない、ただのお遊びにしかすぎないのだろう。

 例えるなら蟻の行列を踏み躙るような、虫の羽を毟るような、そんな感覚なのだろうと少年は思った。

 そう、あれらにとって自分は虫だ。いや決して虫が下等であるとかを言いたいのではなく、あれらにとって自分は暇つぶし感覚で詰られるおもちゃにしか過ぎないとゆう意味だ。

 確かに弱い者いじめは楽しい。それは否定しないし共感もできる。もしも立場さえ違ければ自分もそうしていたかもしれない。

 だが、おかしいとも思っている。

 そもそも何故自分が人殺しなんて呼ばれなければならないのかと、そして人殺しをどうこうできる程この連中は偉いのかと。

 どちらも違う。

 前者に関してはただの誤解なのだ。だから後者も成り立たない。

 この連中も本当はわかっているのだろう。わかっていてやっているのだろう。

 だから少年にとってはこれも茶番だ。最後まで付き合う義理はない。

 

「ねえワタル君これ見て見て」

 クソガキその一はワタルと呼ばれたガキに何かを知らせるように指をさした。

 いつの間にか取り囲んでいた個室の鍵が開いていたのだ。ガキ共は思わず舌舐めずりをする。後はチャンスとばかりにドアを蹴やぶりながらこう言った。

「突入〜!」「逮捕だ‼︎」「大人しくしろ」

 

 だが三匹は興奮を一瞬忘れて目を丸くしてしまう。何故なら、その個室の中に本来は居るはずの人殺しの姿がなかったのだから。

 三匹はキョロキョロと辺りを見回すが見当たらない。

「居ないよ」

「おい本当にこのトイレに入って来たんだろうな?」

「本当だって、ボク見たもんちゃんと」

「……それを見てからオレ達を呼んでくるまでの間は?」

「あ…」

 しっかりしろよと、リーダー格がガキその一の頭を引っ叩く。どうやら少年が既にこのトイレから立ち去ったと勘違いしてくれたようだ。

「どうするどうする」と三つの頭を揃えて相談事をしだした。まだ人殺し探しは諦めてはいないようだ。「三人寄れば文殊の知恵」なんて言葉も知らないわけでもないのだろうが、どうも小学生の割には頭が足りていないようだ。そもそも賢ければ同級生をサンドバック代わりにしようなんて発想はできても、それを実行しようとは思はない。

 

 さてそんな中、廊下から聞き覚えのある音が流れてきた。

 昼休みの終わりを告げるチャイムの音だ。

 

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 キーンコーンカーンコーン……キーンコーンカーンコーン………

 

 チャイムの音で目が覚めた。

 気が付くと洋式便所の蓋の上に腰掛けて涎を垂らしていた。どうやら座ったまま気を失っていたようだ。

 涎でベトついた頬を袖で拭って現状確認。

 尻には硬い感触、そして気分がすこぶる悪い。鳥肌が全身に回っているようだ。目覚めは最悪。

 視界は真っ暗でここが何処だかまるで分からない、と思ったら足元と頭上からはうっすらと光が差している。

 ここはトイレの個室の中か?

 何故か記憶が曖昧だ。ここに辿り着く前までの道筋を思い出そうとしても上手く出てこない。まるで頭が思い出すのを拒んでいるかのようだった。

 取り敢えず立ち上がり、壁を探る。ベニヤ板の感触の中に目当ての金属の突起を見つける。ドアの鍵だ。そこで意識がハッとなり慌てて、声を出さないように鍵に掛けかけた手を離す。

 そうだ、俺はあの甲冑野郎から逃げてきたんだ。

 

 突然追いかけて来た甲冑の男より一足早くトイレに駆け込んだ俺は、まず一番奥から一個手前の個室に身を潜めた。

 そこで一旦は鍵をかけてやり過ごそうとしたのだが、思いの外しつこい変質者はここでなんとドアを蹴破ろうとしてきたのだ。

 これは不味い、と思った俺はある事を思い付いた。小学校の頃にもいじめっ子から逃れる為に何回かやったことがあるテクニックだ。

 別に特別なことはしていない。ただ、個室の上の仕切りを跨いだだけだ。このトイレの仕切りには上の方にちょうど人一人が通り抜けられるぐらいの隙間が空いているのだ。俺はその隙間を便器を足場にして登り抜けたってわけだ。

 この暗闇の中でも案外音を立てずに実行することができた。やはり経験ってものは大事だな。

 男が日本語ではない何かを叫び散らかしてくれていたお陰で、おまけに一番奥の個室の鍵も閉めてやり、後は自分の居る真ん中の個室から抜け出して逃げるかやり過ごすか考えていた時だ。

 突然何かを切り裂くような音がしたと思ったら、続いて隣の扉の鍵が開く音がした。

「……?」

 そう、鍵が開いたのだ。ここで俺の頭は一瞬真っ白になった。

 どうしよう、どうしよう。

 どんな手品を使ったのかはわからないが、この変質者はドアを蹴やぶる事なく開ける事ができるらしい。もしかしたら今俺が居るこの個室のドアも…………と思ったら今度は一番奥の扉が文字通り音を立てて崩れた。

 この暗闇の中では手に入る情報が音しかない。だからなのか、ただの意味不明な音でもこの状況もあって余計に恐怖を掻き立てた。

 

 男は何かを喚き散らかしている。日本語ではない、英語……っぽいけどそうでもない。何を言っているのかはわからないがとにかく焦っているように感じ取れた。いや、焦っているのは俺も同感なのだが、男のそれには何かもっと悲壮感が漂っているようだった。

 

 突然、男が叫ぶのをやめ、トイレの中が静かになった。

 その次の瞬間、室内は騒然となった。

 何かを殴る音。

 何かが砕ける音。

 金属がひしゃげる音。

 男の大きな悲鳴、それに続く断末魔。

 最後に何かが何かを咀嚼する音。

 そこからは覚えていない。多分この時に気を失ったのだ。

 

 話を戻そう。

 人の気配は無いが、今この扉を開けるのは非常に不味い、どうしようか。

 もしかしたらあの不審者はまだこの校舎にいるかもしれない。運良くこうして見つからずに済んだが、ここから逃げるまでの間に見つかったら今度こそ何をされるかわからない。

 

 助けを呼ぼう。

 震える手でポケットからスマホを取り出して操作する。

 時刻表を見ると今はちょうど深夜一時。どうやら気を失っていたの、はほんの十分から二十分の間のことらしい。こんな時間に親を叩き起こすのは申し訳ないが、今は非常事態だ。この際怒られるのはどうでもいい。とにかく助かることが先だ。

 電話帳から父へ、

『プルルルル、プルルルル、ツーツーツー………現在、電波の届かない位置にいます。電波の………』次。

 母にかけてみる。

 『現在、電波の届かな(以下同文)』

 

 ダメだ繋がらない。寝ているのかと思ったら『電波の届かない位置』だって⁉︎

 そんな馬鹿なと思いながらもアンテナを確認してみるとあらビックリ、一本も立っていない。

「嘘だろ」そう溢れる。これでは例えあの人達が起きていたとしても繋がる事はないだろう。

 これではいけないと、一か八か人生初の110番通報をしてみたが結果は同じ。他にも消防や救急などにもかけてみたが繋がらなかった。

 この校舎は今、圏外らしい。嘘だろ?

 だってここに来た時はちゃんと電波は繋がっていたはずだ。それなのに何故?

 ひょっとして、さっきまでの暴雨で近くのアンテナが折れたりしたのか? それとも停電か何かか?


 何にせよ兎に角この廃校から助けを呼ぶことはできない。

 じゃあどうしようか?

 いっその事、夜が明けるまでこのトイレの個室の中でじっとしていればいいんじゃないのか?

 そうすればあの不審者も帰っているかもしれないし……いやいやダメだ。もしかしたらまたこのトイレに戻って来るかもしれない。

 そうなれば今度こそ終わりだ。

 どうするよ、どうしよう。

 助けは来ない、真夜中の廃校。得体の知れない不審者。

 もういっその事、自力で脱出するのはどうだろうか?

 ……もうそれしかないのか、仕方がない。

 決心した俺はそっと鍵に手をかけた。

 

 カチャリ

 

 扉の向こうは予想の斜め上の光景が広がっていた。

 小便器が二つほど粉々に砕かれて床に散らばっており、その側には赤黒い何かの液体が広がっていた。

 すぐ横の個室の扉は、まるで何か鋭い刃物のような物でくり抜かれたり、バラバラにされてこれも同様に散らばっている。

 それらの凄惨な光景が廊下の方から差し込んでくる明るい光に照らされて目に飛び込んできた。

 俺はそっと扉を閉めて鍵をかけた。

 便器に座り頭を抱える。

 

 ムリムリムリムリ、絶対にムリ。

 こんな状況の中を進んで家に帰れと、ふざけんな何の冗談だ。あの甲冑野郎め手の込んだドッキリなんざ仕掛けやがって。

 ってゆうかこれは何だ、ドッキリなのか?これはドッキリなのか?

 ひょっとして俺がこの校舎に来て気を失うまでを想定して仕掛けられた壮大なドッキリなのか? 頼むそうであってくれ。

 いやいや、ドッキリにしてはリアルすぎる。明らかに何者かが争った形跡がある。何か鉄っぽい匂いもする。これは何だ、血の匂いってやつか?

 落ち着け、上妻有正、落ち着け。

 兎に角、今は隣の個室に置いてある鞄を回収して玄関まで走るんだ。

 もう一度、今度は扉を少しだけ開けて中から外を覗き見る。

 さっきとは変わりのない、まさにここが殺人現場って感じの光景だ。

 ここでやっと気が付いたのだが、あの甲冑男が見当たらない。何処へ行ったのだろうか? まさかこの血溜まりの主こそが例の男の………。


 ゴクリと唾を飲む。

 そんな訳がないと思いたい。そう思いたいのは山々なのだが、どうにも引っ掛かることが多い。

 この状況もそうなのだが、やはりドッキリの線を疑うのは酷な気がする。現にここ最近はドッキリにしては大掛かりなことが多過ぎる。この惨状だってあの男一人が十分かそこらでやるには無理があるってもんだ。

 それに廊下で追いかけられた時もそうなんだが、アイツは俺を追って来たとゆうよりは何かから逃げようとして来たような感じがする。俺はそれに巻き込まれた?

 ……とにかく、今この校舎には俺とあのコスプレ野郎、そして未だ見ぬ第三者がいる可能性が高い。早いところ電波の届く場所へ逃げて警察を呼ばなければ。

 

 扉を開いて初めて一歩外に出る。むせ返るほどの血の匂いに思わず顔をしかめる。

 ここで何があったんだ⁉︎ 異常としか思えない。死体のようなものが見当たらないのが幸いだが……この血溜まりみたいなものが本物でない事を祈る。とゆうか極力考えたくない。

 なるべく床の赤い液体を見ないようにして隣の個室からリュックを拾い上げる。

 その時にチラリと床に散らばった扉の破片も見てみる。

「なん、じゃこりゃ……?」

 ドアの縁から縦や横に真っ直ぐに切断されている。異常、だが何処か見覚えのある破壊痕だ。

 バラバラに刻まれたドアの残骸、そのうちの一つを拾い上げてみる。暗くてよく見えないが、感触や匂いで大方の情報は手に入る。

 まずわかるのは、これがノコギリやチェーンソーによる物ではないとゆうこと。その証拠に断面がツルツルしている。まるで切断面を丁寧にヤスリがけしたかの様だ。

 そして匂いなのだが……無臭だ、焦げたような匂いはせず、薬品の特徴的な刺激臭もしない。

「これは……!」

 手に取って辺りで既視感を覚えてはいたのだが、間違いない。あの校門の鎖と全く同じ壊され方をしている。

 とゆう事はアレをやったのはさっきの不審者だったのか。だが、これ以上わかりそうなものはないな、先を急ごう。

 拾った破片を放り投げてリュックを背負い直して廊下に出ようとした。

 廊下へ続く入り口は何故か明るかった。どうやら電気が付いているみたい………??

 

 ん? あれ? 電気がついている?

 

 おかしい、さっき廊下を歩いていた時は天井の蛍光灯が取り外されていた筈だ。では何故廊下から光が差しているのか?

 いや、ここまで走ってくる間は上をよく見ていなかったから、単に気が付かなかっただけでは?

 スイッチもあの不審者か、他の何かがつけて行ったのではないのだろうか。

 

 特に気にせず廊下へ出ようとすると何かを蹴飛ばしてしまった。それは床に溜まった液体に滑り「カシャッ」と音を立てて入り口手前の壁にぶつかった。廊下から差し込む光に照らされて光っているように見える。

「んー?」

 拾ってみるとそれは懐中時計のようなデザインをした機械だった。

 色は燻んだ銀色。装飾のようなものは無く、全体的にノッペリとしたデザイン。

 あの不審者の落とし物だろうか?

 これに関してもあまり関心はなかったが、無意識のうちに表面に付着した赤い物を拭ってポケットに入れてしまった。本当に無意識にやってしまった。後で気が付いたんだ。

 

 さて、帰るぞ。

 今度は暗闇の中から光の方へ歩を進めた。

 

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 さっきまで消えていた筈のもう一人分の反応が復活している事実に気が付いたのは、つい今さっきのことだ。

 

 一つ前のチャイムが鳴った後に反応が消えた。自分の持っているレーダーで観測できなかったので、離れた位置での出来事だろうと思った。

 気の毒だとも、罪悪感の様なものも感じた。

 だがそれもついさっきまでのことだ。どうやら無事に生きているらしい。これで生存者はとソイツの二人だけの様だ。

 そうと分かれば早く見つけ出さなくては、このフロアにいないとゆう事は恐らく一階か二階のどちらか。

 

 私は杖のエネルギー残量を確認してホルスターにしまう。レーダーの摘みを操作する。

 準備完了。

 捜索を開始する。

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