第4話 D

 2031年4月

 ティーグル占領下のロンドン。『死刑執行人』の異名でロンドン市民に恐れられていたトーマ・アレジの暗殺をきっかけに、対外治安総局(Direction Générale de la Sécurité Extérieure; DGSE)はイギリスの名望家らを人質に取るなど、目的のために手段を選らばないやり方で暗殺犯の捜索に躍起になる。


 対外治安総局はフランスの情報機関である。本部はパリ20区モルティエ大通り141番。

 対外治安総局の任務は、フランスの安全に関係する情報の収集及び分析、国外でのフランスに対する破壊活動の摘発及び予防、国家利益のための機密作戦の実施等である。国防省の傘下組織だが、文民と軍人の比率は、2 : 1 と文民が多数である。

 第二次世界大戦中の1942年に自由フランス軍に創設された情報・行動中央局(BCRA)を前身とする。BCRAは、1943年11月からアルジェリアで活動し、特殊戦力総局(DGSS)に改称された。1944年11月6日、レジスタンス運動の諜報網がDGSSに統合され、研究・調査局(DGER)に改称された。


 戦後1946年、首相に直属する、防諜・外国資料局(Service de Documentation Extérieure et de Contre-Espionage、SDECE)が編成された。この機関は第一次インドシナ戦争ではインドシナ、ラオス及びベトナム領内での特殊作戦に積極的に参加した。


 1954年~1962年、アルジェリア戦争でイスラム圏の情報分析能力を上げる。


 1962年、ドゴールは、SDECEを国防相の配下に再び置き、その任務を軍事問題に限定した。


 1982年4月4日、社会党政権による改革で、SDECEを現在の対外治安総局(DGSE)に改称した。


 1985年、フランスによるムルロア環礁核実験に抗議するためにオークランド寄港中のグリーンピース帆船爆沈事件が引き起こされた。フランス軍士官2名が逮捕され、ニュージーランド政府によりフランス対外治安総局によるテロ事件と断定され国際問題となった。


 2013年1月11日、ソマリア南部の都市ブロマレルで、アルシャハブに拘束されている工作員の救出作戦を実施。救出は失敗、兵士が1名死亡している。


 2018年5月26日、元諜報部員2人と配偶者1人が、中華人民共和国に機密情報を譲り渡した容疑が深まり、二重スパイとして拘束されていることが報道された。


 組織は戦略局、情報局、作戦局、管理局、

技術局の5セクションからなり、セルシュ・アーシャニは情報局に勤務している。

 

 トーマを暗殺したイギリスの女、アーシャ・イーガンをかばったセルシュは、自分がかばった女のために、大学教授の父親が人質に取られたことを知り、アーシャに自首を懇願し、父の命を助けようとする。しかし、トーマが所属していた殺し屋集団、ティーグルの残忍な取調べや人質にされた父との面会の際に父が語った「自由は闘って勝ち取るものだ」という言葉によって、自由を求める一市民として活動していくのだった。

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