2話 初進化 ~スタートライン~
真っ暗な洞窟のためか、時間の感覚がない。
だが恐らくだが3日は経っていることだろう。
この体は眠りを必要としないのか、目が覚めてから今まで寝ずにスライム狩りを続けていた。
最初は体が思うように動かないから、這いずりながら移動してスライムを探した。
そして殺し方も最初と同じく、スライムに顔を突っ込み
それを延々と続けた。
初めはゆっくり近づき手で
注意すべきは気付かれないように迫ること。
気付かれるとたまに体当たりしてくる個体がいる。
一度タックルを食らい、体がバラバラになるかと思う程の衝撃を受けた。そのために細心の注意をして狩ることにしている。
だが仕方がない。文字通り頭を使わなければ、最弱なのだ。
今は我慢のときだ。
だが殺してレベルが上がるとようやく立って歩けるようになり、スライムを探しやすくなった。
その代わり危険も増えた。
それは他の魔物もいるからだ。
スライムだけじゃなく、同種の
多分、他にもいそうだ。
特に
なぜなら、
そして蔓は見つけづらく、捕まったら最後、逃げることは出来そうにない。
捕まってる
俺が今の状態で捕まったら、ものの1分も持たないだろう。
俺は元々早く動けないからより危険だ。なので遅いながらも更に注意してスライムだけを執拗に狩り続けた。
そうして今しがたスライムを狩り終わると、頭を触るがボロボロになっている。
これはしばらくレベルが上がっていないからだ。
レベルが上がれば体は治る。だが上がらなければそのままだ。
たがらスライムに頭を突っ込むこの戦法も、あと1、2回位しか出来ないだろう。
そうなると困った。他にどうやってスライムを倒そうか?
まあ駄目になったとき考えよう。
そうしてまたスライムを探して歩き出した。
それから何匹か勝てない魔物をやり過ごし、一匹だけのスライムを見つけた。
いつもと同じようにゆっくりと迫り、頭ごとスライムに突っ込み
それでスライムは溶けていく。
だが頭を触ってみるとボロボロに崩れそうで、もうこの戦法は使えそうにない。
さてどうするかと思ってると、体に力が漲るのを感じた。
ようやくレベルが上がったようだ。
これで体が元通りに戻る。まだ噛み砕き戦法が出来ると安堵していると…
目の前に文字が浮かんできた。
それは…
【進化条件をクリアしました。進化先は
はい ←
いいえ
なんだこれは? 進化だと?
それはスライムを噛み砕き続けてきた恩恵なのかか、進化という表示が出て来た。
もしこの表示されている
さて、進化するのはいいがこのまましても良いものか、はたまた安全な場所で進化した方がいいか迷う。
すぐにでも進化したい気持ちがあるが、どのように進化するのか分からない。
それは一瞬で終わるのか、それとも数日眠り続けたりするのだろうか。
もし眠ってしまった場合はとても危険だ。
ここらへんには弱いが少なくない数の魔物が彷徨っているからだ。
それなら安全な場所にと思うが、今のこの触っただけで崩れそうな頭蓋骨を思うと、安全な場所に動く事の方が危険な気がする。
もし何かに遭遇したら、もしスライムに飛び掛かられたら、その命は消えてしまうだろう。
どうするか……
そして決断した。
ここは安全な場所で進化しよう。
寝てる間に死ぬくらいだったら、戦って死にたいからだ。
そうと決まれば早速ここ数日で見つけていた、安全な場所に移動しよう。
浮かれすぎないように、細心の注意しながら目的地を目指す。
浮かれて殺されたら洒落にならない。何のために移動してるのか分からなくなるからな。
そうして見つけていた安全な場所に付き、小さな穴の中に入っていった。
早速、中に入って進化しようとした時にふと思った。
この穴は相当小さい。この体で通るのが精一杯だ。
なら進化して
今さらになって気が付いた。
大きく進化したらきっと出られないだろう。ならここではやらない方がいい。せっかく進化しても出られず終わるなんて馬鹿みたいじゃないか。
俺は仕方なくもうひとつ見つけていた場所へ向かうことにした。
なんで今の場所にしたかと言えば、他の魔物の痕跡が無かったことが要因だ。
だが次行く所は、少しだけだが痕跡がある。
他に安全な場所は見つかっていない。
だから多少危険でも、もう1つのところで進化するしかない。
本当はもっと安全な場所で進化したかったが、仕方がない。
とにかくそこを目指すことにする。
慎重に他の魔物に気を付けながら歩く。
それは前世も含めて一番の緊張を強いられた。
だがその甲斐あってか、魔物に出会わずに目的地に着けた。
そしてそこは少し小さな部屋のようになっている。
だが魔物はいない。
少し前までいた痕跡もない。なら今しばらくは安全だろうと思い、ここで進化する事にした。
一応寝ながらするか。死んでると思われた方が何もされないだろう。
そうして仰向けに寝て、ずっと目の前に出ていた進化の選択肢を選択する。
すると目の前が段々と暗くなっていき、ブラックアウトした。
……どれくらい経っただろうか、一瞬か、はたまた数時間か数日か。
意識が戻り、まず周りを確認する
大丈夫だ、何もいない。そして自分の体を確認する。
前は赤ん坊くらいの大きさの骨の体だったが、目の前の骨は大人ほどの大きさがある。
良かった。無事に進化出来たようだ。
ゆっくり立ち上がり、体を動かしてみる。
すると前はあれだけ動かしづらかった体が、今じゃ思い通りに動く。
俺はそれが嬉しくて体を震わせる。
なんだかようやくスタートラインに立った気分だ。
よし、これからは武器を持ってスライムを狩れるな、なんて思っていると、自分の馬鹿さ加減に気付く。
もうスライムだけを狙う必要はないんだと。
これからは逃げていた魔物に向かっていける。
なら次は同じ
おれは今までの鬱憤を晴らすべく、獰猛な目をしながら獲物を探すために歩き出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます