クールなきつねさんとお茶目なたぬきさん

河童

第1話 絆

「おっとと,,,あら?いけるわね」


きつねさんは次回公開する動画を編集しつつ、通販で購入した日本酒を嗜んでいた。普段は融通の利かないOLとして上司の叱責や同僚の陰口を受け流しつつ、退勤後の飲み会と称した愚痴大会を断り唯一無二の時間を満喫するのが日々の楽しみにするのが常であった。


(セクハラ親父め何言ってんの、結婚が女の幸せ?あんな糞親父と結婚した母さんが可哀想でならないわ、不倫しまくった癖に借金ばかり残してそれを払うのが妻の勤め?ばっかじゃないの!!クソな男しか寄ってこないし独り身で良いのよ、アイツさえいれば・・・!!)


紫煙を燻らせ黙々と作業していると、1人の少女が何の挨拶も無く部屋に侵入して開口一番「きつ姉ちゃん可愛い妹が来たよー!!飯食わせろこのやろー!!」

「うっさい少しは静かに入って来いっつってんのよこんの愚妹め貴様にやる餌など無いわ!!」


愚妹と読んでいるけれど、本当は10歳離れた妹を目に入れても痛くないほど溺愛しているのだ。


「うっさい喪ぼっち姉様腹へったぞこのやろー‼️」

「忙しいって知ってんだろ何しにきた貴様こらー!!」

「生存確認私を構えこらー‼️」

「うっさいたぬ公このやろー!!」


こんなやり取りをしながらも2人は心底楽しんでいる様子で、きつねさんは作業を中断して仲良く夕飯作りをはじめる。両親から冷遇されて来たきつねさんは屈託無く接してくれるたぬきさんだけが心を許せる存在と言っても過言では無い。


「姉ちゃん姉ちゃん」

「あによ」

「今度の月曜日私二十歳の誕生日だしさ、約束通り来週いっぱい泊まりに来るね」

「うん、そうだね。ちゃんと食材買って来なさいよ酒は用意してるから」

「当ったり前じゃん、毎週月水金動画公開だしぼっち生活から脱却させてやるわ‼️」

「良いから彼氏見つけろ阿保垂れ」


出来上がった料理を楽しみながら、いつもとは違う賑やかな食事に舌鼓を打ち翌週に備える軽口が弾む二人の夜は更けて行くのであった。





ー翌週


「喪ぼっち姉貴来たぞこらー‼️」

「口悪すぎだっての直接ベッドで教育してやろうかあーん?」

「姉ちゃんキッッッモ死ね」

「とっとと帰んなオラー‼️」

「痛い痛いイタイごめんて‼️」


21時間際になり、2人はパソコンの前に陣取る。


「これあたしらモチーフ何だよねキモーい」

「うっさい帰れ愚妹」

「嫌デースベロベロベー、ひゃん!!」

「ちゃんとコメント返すよ全く」















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クールなきつねさんとお茶目なたぬきさん 河童 @wamayaro

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