第4話

 入学式の夜、8時に小学校の前に柊はきていた。西条は5分遅れるとRINEが来ていた。


「悪い悪い遅れた」

「罰としてジュース1本な」

「入学式後に誰かが見捨てるから帰るの遅くなったんだよなー」

「それじゃ早くバスケやろか」

「ごまかしやがった」


 そういって2人は柔軟体操や軽くアップした。十分アップしたのちにスリーポイントラインのトップに二人は移動して1on1を始めた。

 まずは柊のオフェンスからで柊はドリブルをついた。駆け引きをしてクロスオーバーからのレッグスルーをし、加速して次に止まったふりをし、それに反応した西条が止まろうとした隙を加速して抜いてそのままレイアップをゴールに決めた。


「相変わらずスピードの緩急の差がえげつないな」

「また俺の勝ち」

「俺も決めるからまだ勝ちじゃ無いね」


 次のオフェンスの西条は柊にボールをパスして柊はボールを返すと西条はそのままミートしてズレを作ってそのまま加速するが柊は対応した。そこで西条はロールするが柊はコースを塞ぎ、西条は立ち止らされ、そのままシュートを打つが柊のブロックを警戒しすぎて体勢を崩し、シュートはリングに当たって外れてしまった。


「くっそー」

「やっぱり俺の勝ちだな」

「身長10cm差あるのにジャンプ力高すぎなんだよこの手長ザル」

「そこまで他の人と比べて腕長いわけじゃ無いと思うけど」

「ジャンプ力と相まってそう感じるんだよ」

「なるほど」


 今回はたまたま柊は西条を抑えられたが、西条も負けておらずパワープレーやゴール下近くまでボールを運ばれると柊も身長差でゴリ押しされてしまうことがほとんどだった。


「身長でかすぎ」

「柊が小さいだけ」

「176cmあるしそこまで小さく無いし。お前が大きすぎなんだよ!」

「186cmってバスケやるならそこまで大きいわけじゃ無い」

「まあたしかに」


 そうこうして1on1したりシュート練してバスケしていると1時間半が経っていた。


「そろそろしめに1on1しようぜ」

「負けた方が勝った方にジュース奢りな」

「おっけー。今日は何点勝負にする?」

「奇数にするとスリー苦手なおまえが不利だから20点で」

「お、しかも長丁場か、よし乗った!」


 そういって西条のオフェンスから始まった。西条は容赦なくパワープレーやポストプレーを使い2ポイントの得点を重ねた。それでも柊は圧倒的な得点力をもちドリブルで翻弄して責めたり、ときにスリーやフェイダウェイでシュートを決めてほぼ毎回得点し、西条にリードを許さなかった。最終的に西条のミドルの失敗や柊3ポイントによって点差が広がり柊が先に20点に到達した。


「あぁぁ負けたー」

「今回も俺の勝ちと。ジュースごちです!」

「柊ってこういうときだけ生き生きとしてるよな」

「人の金で飲むジュースはうまい」

「くずだな」


 柊と西条はダウンストレッチをして帰宅途中にある自販機に向かって帰宅していた。

 自販機の前に着くと柊は煽るように


「ごちでーす」

「うざ、今度は負けないし」

「そう言って毎回負けてるけどな」

「今に見てろよ」

「待ってるわ」


 そう話しながら西条はジュースを2本買った。


「ほい。明日休みで来週からすぐ授業かー。めんどくさいなー」

「ありがと。それな」

「来週から忙しくなるかなー?」

「わかんね」

「またバスケやりにきていいか」

「...たまになら」

「よっしゃ」


 それから雑談しながら歩くと駅について2人は分かれてお互い帰宅した。


 柊は家に帰ると母親が部屋によって料理を作ってくれたのか作り置きが冷蔵庫にたくさん入っていた。感謝の連絡をしようとRINEを開くと小沢さんと海老沼さんと西条と自分のグループが作られていた。先に母親に感謝の連絡をしてグループのトーク内容を見ると


 小沢『えびちゃんと話して来週の火曜の放課後に夕食一緒に食べないってなったんだけど都合大丈夫?あっえびちゃんって海老沼ね!』


 海老沼『私は大丈夫だよ!』


 小沢『それは一緒に話して決めたから知ってる笑』


 海老沼『それはそうか笑』


 西条『俺は大丈夫だよ!多分柊も大丈夫だから店とか時間どうする?』


 小沢『いいの?柊くんに何も聞かなくて笑』


 西条『あいつどうせ暇だから笑』


 海老沼『ならいっか笑」


 小沢『とりあえず場所と店は学校の近くの駅にあるデパートのサイセとかどう?時間は私たちはいつでも大丈夫だから合わせるよ』


 西条『いいね!俺部活の体験いきたいから19時だと助かる!!』


 小沢『了解!』


 柊はつっこむのも面倒くさくなり『大丈夫、全部任せる』と送ってRINEを閉じた。閉じるときに西条が『ほら暇でしょ』と言ってるのが見えたが柊はそのまま家事をし始めた。




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