第2話
先生が教室に入ってきてHRが始まった。
「私は平塚 恵(ひらつか めぐみ)です。これから1年間この1−2組の担任になります。担当教科は国語です。皆さんよろしくお願いします」
1−2組の担任はずいぶん若く20代後半に見え、とても綺麗な担任の先生でとても人気がでそうな先生だった。
「それではさっそく.......」
そう言って学校の説明やこれからの説明を始めた。
しばらく経つと新入生の恒例の自己紹介の時間になった。自己紹介は普通にする人、ウケを狙う人、緊張で声が裏返ったりする人などいながらも順調に進んだ。クラスの美男美女が自己紹介するときにはクラスはざわめき、そんななかあるイケメンの自己紹介が始まった。
「次は俺か。俺は海南中学出身の西条 悠人です。趣味はバスケと音楽です。部活は中学からバスケをしているので高校でもバスケ部に入ろうと思っています。みんなと仲良くなりたいので気軽に悠人と呼んでください!みんなこれからよろしく!」
西条の自己紹介が終わると一際大きな拍手が起きた。特に女子の勢いが凄く西条はそれに笑顔で答えた。そのイケメンの対応に他の男子達は西条に軽い殺気を飛ばし、西条は頬を引きつらせていた。そんな軽い騒動が起こりながらも自己紹介は続き、柊の自己紹介の番になった。
「海南中学出身の柊 颯人です。趣味は特にありません。これから1年間よろしくお願いします。」
あまりに短い自己紹介にクラスの人たちはまばらに拍手をし、空気が少し悪くなった。本人はそんなことを気にせず着席すると虚構を見つめ始めた。西条は頭を抱え、隣の橘さんは不思議そうな視線を柊に送っていた。彼女にとってさっきまでのやりとりをしているような人には見えなかったからだ。橘さんは小声で
「どうしてちゃんと自己紹介しないの?」
と聞くと
「どうでもいいでしょ。ほっといて」
と冷たい言葉が返ってきた。橘さんはさっきまでの態度と違うことに驚き柊をそっとしといた。
少し時間が経って今度は橘さんの番になると
「私は橘 伊織です。出身中学は桜嶺中学です。部活は中学の頃からバスケをやっていて、高校でも女バスに入ろうと思っています。中学の人とは離れ離れになってしまって1人なので友達になってくれると嬉しいです。よろしくお願いします」
そう言って席につくと大きな拍手があり、今度は特に男子達の歓声があがった。橘さんはほっとして残りの自己紹介を聞いていた。
クラスみんなの自己紹介が終わりHRが終わると西条や橘さんはクラスの人たちに囲まれた。柊は帰宅の準備をしていると前の席の人から声をかけられた。
「自己紹介でも言ったけど俺は長谷川 拓人(はせがわ たくと)前後の席同士これからよろしくな!えっと柊だっけ?」
「そう。こちらこそよろしく。」
「自己紹介で言ってなかったけど柊は中学で部活なにしてたの?」
「帰宅部」
「あ、そうなんだ。もしかしてもう帰る?」
「うん」
「邪魔して悪かったね。またあした入学式で」
やりとりを終えると柊は席を立って帰った。
途中西条が柊を指差して「俺あいつと同じ中学でバスケしてたんだぜ!」と騒いで柊にみんなの視線が集まったが、柊はその視線を無視して教室を出ていった。
柊は学校から2駅離れた駅近のアパートの1室に帰っていた。ただいまを言うことなく部屋に入ると洗濯物を取り込み、人を駄目にするソファーに腰掛けてテレビをつけてぼーと眺めていた。しばらく経って夕食の時間になると柊は冷蔵庫を開けて夕食の準備を始めた。柊は一人暮らしなのだ。別に両親が亡くなったわけでも海外で働いているわけでもなく、柊の事情で無理言って両親に一人暮らしをさせてもらっていた。
夕食を食べて8時過ぎになると柊はボールとバッシュを持ってある小学校に向かっていた。この小学校は夜間、市民に体育館を開放していた。
準備運動をして軽くアップをするとしばらくシュートやドリブルの練習を1人でしていた。だが
「やっぱりバスケはつまらないな」
そう呟くと柊は帰宅した。
帰宅して荷物を置くとそのまま町をランニングして1時間ぐらい経ち、帰宅するとシャワーを浴びて家事をして眠りにつこうとした。スマホをふと見ると家族RINEで
母『初登校はどうだった?明日の入学式は私たちも行くわね』
ときていたので
『普通だった。わかった』
そう返信すると柊は寝るのであった。
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