第5話
「ピオニア!」
「……」
振り向いてしまいそうになる身体を何とか押さえて、前に進む。街に行こう。住む所はないけれど夜の仕事はまだ繋がっている、それで日銭を稼いでいけばいつか住む所も見つかるはず
「ピオニア…頼む止まってくれないか」
「………もう十分に施していただきました、どうかお戻りください」
「謝罪も受け取らないと?」
振り向く勇気はない、きっとフェリクスの顔を見てしまったらあの優しい場所に戻ってしまいたくなる、それはまたピオニアの胸を裂くように痛ませる事は必須だったしそんな事になったら弱い自分を知られてしまう、それだけは嫌
「何も謝罪することはありません、娼館へ通っていたのも事実ですし夜間にで歩いている娘が世間でどのような眼で見られているかもよく知っています。
よく考えもせずに伯爵家に泥を塗るような真似をしてしまったこと申し訳なく思っております」
「軽率だったと反省している……ピオニアお前が娼館で誰かを相手にしていると思い違いをしてしまったのだ」
「……あそこで働いている娘達が喜んでそうしていると思っていらっしゃるのですね……」
「……………」
一週間ほどだがあそこで働く女性は少なからず事情をかかえてそれでも必死にそうしていることを知った今ではフェリクスの謝罪は神経を逆なでする以外の効果は発揮しない、何故だか彼女達を擁護しなければならない気がして、背後のフェリクスに挑むように振り返る
「住む場所を無くした女性、知能に遅れがあるからと理由で捨てられた女性、借金、子供の治療費のため──さまざまな事情があるから、苦しくても笑って働いているんです!あそこで喜んでいるのは男性ばかりだわ
私は誰に軽蔑されてもかまいません、彼女達の代わりに伯爵様あなたからの謝罪は確かに受け取りました」
「……そうではない…自分でもよくわからないが、お前に誰かが触れていると思うと許せなかったのだ」
「え?」
「おそらくお前はすでに我が屋敷のメイドだから、きっとそう思うのだと……ともかく今回の件にかんして全て私が悪かった、どうか戻ってくれないだろうか」
今更ながらフェリクスの格好に気付く、薄いシャツ一枚にスラックス靴は室内履きのままですっかり雪に沈んでしまっている。いつも綺麗にととのえられている髪は冷風に吹かれて乱れてしまっている事に
「…まさかそのまま飛び出されたのですか…?」
「……………そんな瑣末な事はどうでもよい…」
リオン様から話を聞いてすぐに追いかけてきたの?きっと良心の呵責がそうさせたに違いないとわかっていても高鳴る胸を押さえておくのは困難だ
前に垂れた一筋の髪に手を伸ばして耳にかけてやる、ピオニアよりもずっと長身のフェリクスは少し俯いてじっと好きにさせてくれていて、伏し目がちにピオニアを見る藍色の瞳がそっと細められるその姿がまるで猫のようだと思う
「伯爵様に風邪をひかせてしまってはメイドの名折れです……」
「お前の指はいつも冷たい。私の所へ戻ってきてくれるか?」
「はい……」
「ご主人様それはあんまりです!サラさんを困らせるような真似は出来ません…」
「お前の代わりに置いてきた金があれば皿洗いなど数十人を何十年やとったとしても釣りがくる、お前がきにやむことはないと何度話したら理解するんだ」
「そういった話ではないのです、サラさんのお心遣いの──」
「はいはい、もうそこまでになさいピオニア」
二人のやり取りに入ったリオンは執務室でワゴンからポットに茶葉をうつす、このお決まりのやり取りはすでに三日目に突入している。フェリクスの性格から言えば折れるなどということはあり得ないのでピオニアに素直に頷いてほしい所だがどうもこちらも頑固らしい
「一体お前は私がどうしたら素直に頷くのだ……代わりの者を行かせると言えばそんな事はさせられない、サラに新しい従業員を雇わせる金を用意すると言えばそれも嫌だと言う!」
農地における改善案の重要書類にサインを書きなぐると放り投げ、背もたれにぐっと身体を圧し掛からせる。呻いたような音をさせた椅子に構わずひじ掛けを指で叩く
新しい机の前で祈るように両手を組んだピオニアに視線だけをあげれば、月曜を知らせる深紅のお仕着せに白いエプロンをかけ、灰銀色の髪は仕事の邪魔にならないように一本の三つ編みにくくっている、これではまるでフェリクスが苛めているような構図ではないか
「ですから…今まで通りに働きに」
「金は返す必要がないと言ったしこのままの生活を続けていてはお前の身体に差障りが出る、もし倒れたらさらに医療費がかさみ私に迷惑をかけるとは思わないのか」
「私昔から体力にだけは自信があります!リオン様にもそこだけは認めて頂けていると自負しております」
「………………」
「…わたしは時として中立地帯です」
にっこりとほほ笑むとそそくさとワゴンを引いてリオンは退出していってしまう、心の中でどうかこちらに加勢してくれないかと祈ったが無駄に終わってしまった事に唇を噛む。
「ふう……ではこうしよう。あそこへ仕事へ行くのはあと三日と決める。もちろんその間の送り迎えは屋敷から手配する」
「三日…!?」
まだだと片手をあげる
「三日の間に私がサラと話をつける、サラには印象が悪くならない程度にそして良い提案を与える」
「何ですかそれ、それって結局何もかわっていませんよね」
「話は終わりだ。仕事に戻れ」
「……もう…もう、何てわからずやで横暴な方なんですか…ヴァンパイアのほうがきっともっと優しいにきまってます!」
ばたばたと走り出るとそのまま一階へ向かい、勢いよく掃除用具を取り出している物音を聞きながら飛び出しては行かなかった事に張りつめていた空気を肺から押し出す
「ヴァンパイアのほうが聞き分けがいいだろうな」
引き出しの中から束になった書類をつまみだす、そこには娼館の主サラ宛てに書いた提案書が数枚、初めこそは娼館をまったく別の物に変えてしまおうかとも思ったがピオニアが言った言葉を思い出しそれは止める事にし彼女等を高級娼婦における専門分野の講師にしようと考えたすでに公婦となっている彼女達は高級娼婦にはなれない、ではそれらを育成する側になってもらおうということだ
滑稽な話しに聞こえるが、高級娼婦とは身体を売りにするものではなく、ユーモアセンスに優れ豊富な知識で客を喜ばせるいわば接待のプロだ
今では社交場などでも特定の地位があたえられ優遇される職業である
これならば今いる彼女等の尊厳を傷つけることなく、ピオニアの同意も得られるはずに違いない。ただ、これはサラが了承しなければ実現しない、もし上手く行かなければピオニアを失望させてしまうだろう…二度と彼女を傷つけたくはない。
お昼の休憩時間にしようと思っていた刺繍は気分が乗らなくてすぐにベッドに放り出すと
中庭に向かう、雪が無ければきっとたくさんの花が咲いているはずの庭に足を踏み出す、ガゼボは蔦がびっしりと覆い陶器で作られたベンチには秋のなごりである落ち葉がそのままになっている。
さっと落ち葉を払い腰を落ち着かせると、心地よい静寂が騒ぐ心を落ち着かせてくれる
「不思議ね、ここの人達はみんな親切なのにどこかよそよそしい…」
一緒に食事をしているときもメイド達は皿に乗せられた物をただ口に放りこんでいるだけで美味しいとか温かいとかそういった感想を一つとして聞いた事がないし特別に寒い日だって肩を震わす事もないし指先を温めようともしない──
「こんなところで何をしているんだい?身体が冷えてしまう」
「ノエル様…気付かず大変失礼いたしました」
屋敷の廊下窓からこちらも片手を振るノエルに立ちあがるとその場で礼を取る
「いいんだよ、今日はフェリクスを虫干しに来たんだ、彼は書斎かな?」
「いえ、おそらく執務室ではないかと…あのリオン様をお呼びいたしましょうか?」
「ありがとうそれにはおよばないよ──君もいつまでもこんな場所にいてはいけない身体が冷える前に部屋にもどりなさい」
「…はい」
確かに冷え過ぎはよくない、白い息を吐いて部屋に戻る事にした。
「懲りずにまた来たのかノエル」
「懲りる?そんな言葉まだ存在していたのか」
「私を虫干しに来たんだろう?残念だが今度ばかりはお前の遊びに付き合う気はない」
「聞いていたのか?僕と彼女の会話を?」
勝手に戸棚からグラスを取るとワインを注いでソファに座るとテーブルに置かれたままのカードを一枚つまむ
「まあいい、頼むよ僕とリリーの橋渡しをしてほしいんだこの舞踏会で」
「………なぜ私の話が持ち上がった?」
「リリーの父親がどうしてもお前と縁を組みたがっているのさ、もしリリーの婚約者として僕の株をあげてくれるならこの先何世紀だって感謝しつづけるよ」
「ノエルお前だって伯の称号をもっているだろう、それで満足してもらえ」
二杯めのワインを注いだのを見て、ワインボトルを取り上げコルクをねじ込み棚に戻すとガラス扉をきっちり閉め片方の身体を預ける
「伯は伯でも僕の称号では物足りないらしい……それに比べてお前は辺境伯に並ぶ権力者だろ」
「…あれは返上した“曾祖父”の功績など私には関係ないからな」
「今だって十分影響力のある話だ国を救った英雄“曾祖父”の話しなら誰だってしっている。現にそこにあるじゃないか国王にでさえ意見できる資格が」
ワイングラスで指し示した額縁には確かに“曾祖父”が残した栄光を称える国王直々の書がかけられている。まだ若かったフェリクスはどうしても祖国が侵されるのを傍観していることが出来なかっただけなのだが……国を救った英雄に褒美として侯爵の位を与えられたがすぐさま返上し、暫くは国境を警備するため辺境伯を名乗った
だが時代は平和になった事でそれも返上し今は伯爵として暮らしている。
どうやらリリーの父親は未だに私が宮廷と繋がっていると勘違いしているらしい…中々にしたたかな根性を持ち合わせている。
「例えその男爵と会ったとしてもだ、そいつが望むような成果は与えられないぞわかっているのか」
「ああ、会ってそうとわかれば溜飲もさげるはずさ」
「…………………カードを渡せ、今すぐに返事を出さなければ」
「感謝するよ、フェリクス」
すっかり意気消沈した様子のノエルを帰させると、机の上で自己主張するかのような招待状を開くと
カードの予定日を再確認にして長い溜息をはく、二週間後…問題は同伴者が必要な個所だ
出席にチェックを入れるとアイボリーの封筒にいれ最後にワックスを垂らすとベルフォートだとわかる印を押す。
「リオン」
「はい、お呼びでしょうか」
「これを出しておくように…あとメアリかイザベラどちらかでよい二週間後の予定を開けておくように伝えておくように」
「了解いたしました」
「…あぁ、あと行く者にはドレスを新調するように費用はおしまぬ好きに使え」
「心得ました」
「聞いておりませんでした…」
「言った覚えがない」
「ではサラ様、こちらの契約書にサインを」
皿洗いの仕事がいよいよ今日で終わると言う日、サラはフェリクスの隣に座らされテーブルを挟む形で目の前にはサラが座っている、今現在テーブルの契約書にサインするために見るからに高級なペンを差し出しているのはリオンで
「この状況は一体…?」
「ふふ…ピオニアあんたって本当に幸運を運ぶ女神だわね」
「前にも言ったが幸運か強運かは判断しかねる」
可愛らしい文字で末文にサインを書き入れると、契約書をくるりと回し今度はフェリクスがサインを入れる。それを二枚書くと一枚をサラがもう一枚をフェリクスの手元へ
契約完了ですとリオンが宣言するとピオニアが預かり知らぬ所で決まった様子にますます困惑を浮かべる
「サラさん、あの私…」
「何にも気にしなくていいのよ、あんたは自分の幸運に感謝すべきよ。この彫刻みたいな旦那がいなかったら今頃こっち側の人間だったんだからね、それに戻ってきてくれた事でわたしら皆いい方向に向かうわ」
「……そう、ですか」
ひょっとしたらフェリクスは私が字を読めないと思っているのかもしれない、いくら店の在り方を変えるとしてもあんな額の契約書は見た事がない…そう例え令嬢であったころでさえ。サラが言った通り私が運んだ幸運だとしたらフェリクスにとってはどうだろう。ただの疫病神に違いない…
「ピオニア帰るぞ」
「……はい、あ、あの私は外で結構です。すこし驚いてしまったので頭をすっきりさせたいと思います」
リオンはすでに馬の手綱を引くために前に座っている、その横は空席だ
「何を馬鹿な事を……早く乗りなさい」
「どうぞ今なら雪も降っていませんし」
「ありがとうございます」
手を貸してくれたリオンに礼を述べて御者の席に座ると、しばらく突き刺さるような視線を感じていたがやがて後ろのドアが閉まる音が聞こえ、それを合図に走り出した馬車は街を軽快に走っていく
「頭は冷えましたか?」
「……どうでしょう…ただ無償に両親に会いたいと感じます」
「ご両親はいまどちらに?」
「母は幼いころに出産がもとで亡くなりました、生まれてくるはずの弟も生きられませんでした。父は──国境警備の中事故で亡くなりました」
「そうでしたか……では貴方は天涯孤独というわけですね」
「いえ、親戚がいましたが──父に多額の負債があったためこれ以上辺境伯の名を辱めたくないと、私とは縁を切りました」
当時の事はあまり思い出したくはない、伯父が男子相続権と家族を携えてやってきたのは父の葬儀が行われた翌日で
『お前の父は多額の借金をしていた、これ以上辺境伯の名を汚す事は許されない。お前は借金を返済するために奉公に行くのだ』
トランクケースに詰めてもらえたのは下着に数枚のワンピースのみで、手荷物鞄には両親の形見とローウェル家まで行くまでの馬車賃だけ感傷に浸る間もなく育った屋敷を去らなければならなかった
「それでローウェル男爵家でハウスメイドを?」
「はい、二年お世話になりました、何とか借金を減らせればと思っていたのですがどうも私の考えはいつも幼稚なようです……」
今頃きっとあのアメジストの瞳は潤んでいるんだろうと思う。なぜかそう感じるのはピオニアの淀みなく応じる声が哀しげだからに違いない、それにしても辺境伯ともあろう者が娘を売り払わねばならないほどの負債を背負うとは考えにくい…ましてや格下の男爵家に投げ売るとは……どうもきな臭い
ピオニアがどんな気持ちで住み慣れた屋敷を出たかと思うとふつふつと怒りがこみ上げ悲鳴をあげるスティッキには細かいひびが入ってしまった。力を抑えねば馬車ごと破壊してしまいそうだ
細く息を吐き切るとぐっと唇を噛む。
丁度いい機会だ…舞踏会でローウェルを探ってやろうではないか
200人ほど入ってもまだ余裕があるホールに優雅なピアノが流れ、こぼれおちそうなほどボリュームのある眩いシャンデリアは磨き上げられた床に反射している。そこで優雅に踊るフェリクスとイザベラはまるでオルゴールの中の精巧に作られた人形だ
あまりに美しい二人は絵画のようでピオニアはうっとりと見つめていた。
イザベラはチョコレートブラウンの髪をアップに身体のラインに沿うように作られたブルーのドレスを上品に着こなしている、方やフェリクスは黒のスーツに磨き抜かれた革靴で金糸雀の髪をそのまま流している
休憩用にとワゴンに飲み物を運んで来たのだが思わず手を止めて見惚れてしまう、しばらくしてリオンの奏でるピアノが止まると、イザベラがピオニアに近づいてくる
「ピオニア、気を使ってくれたのねありがとう」
「いえ、勝手にしたことですので…一口いかがですか?」
ぱちりとしたヘーゼルナッツ色の瞳はいつもピオニアに優しい、休憩時間などに髪を結びなおしてくれたり刺繍がもっと上達するようにと細かく指摘してくれるイザベラはピオニアにとって姉のような存在になりつつある
「きっと身体を動かした後はこちらがいいと思いまして、レモネードです」
透明なポッドに沈められているスライスされたレモンにシナモンと蜂蜜、ミントを少量入れさっぱりとした味わいに仕立てたピオニアの自慢だ、それを涼しげなコップに注ぐとイザベラに手渡す
「ありがとうピオニア───うん、酸味があってとても爽やかね!
フェリクス様もいかがですか?」
「………」
きゅっと眉を寄せたフェリクスに気付き、慌ててもう一つのコップに注いで両手で差し出せばフェリクスはやや間をおいてコップを受け取る、飲み込む仕草に釘づけになっていると空になったコップをピオニアの手の中に戻す。
「リオン伴奏を、イザベラ付き合え感覚がだいぶ鈍っているようだ」
「まぁ…わたしもう足が痛くて……そうだわピオニアわたしの代わりをしてくれるかしら?」
「なに……」
「私には務まりません!そ、そうだメアリさんを呼んできます!」
「メアリは今日出掛けているのよ?忘れてしまったの」
そうだった…!令嬢であったころの習慣はすでに手を離れてしまっているしフェリクスのダンス相手など無理にきまっている、身長差もあって練習どころではなくなるのは目に見えている。
「もういい」
ダンスホールを出て行ってしまったフェリクスの背を見送ってまた不機嫌にさせてしまった事を反省する
最近ずっとこうだわ…反省するか、苛まれ勝手に落ち込むか──ここに来るまではこんなことなかったのに父には活発すぎるのを窘められていたのが懐かしいくらい…
それに、勝手にいつもフェリクスの姿を追ってしまうこれは、認めなくてはいけないきっと自分は彼に好意を抱いている
たかだかメイドが伯爵様に恋しているだなんて 馬鹿げてる。わかってるだからこれは私の胸の中奥深くへ蓋をして閉じ込めておくの
「舞踏会、楽しみですね」
「そうね、わたしもすごく楽しみにしているのよ本当にひさしぶりだから…」
「イザベラさんも舞踏会に出た事があるのですか?」
メイドであるイザベラが出たというならきっとそれは、付き添いに馬車に乗った程度かもしれないが興味に任せて質問してみる。
「ええ、フェリクス様の同伴者として何度かね、とても素晴らしかったのよ
皆フェリクス様に夢中になってしまって大変だったけどもね」
「そうなんですね…」
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