番外編 手料理 前編


 期間が開いてすいません💦

 投稿再開までは、もうしばらくお待ちください。

 とりあえず今回は短いですが、番外編の前編をお楽しみください。


 手料理。


 この言葉を聞いただけで、一体何を想像するだろうか?

 彼女が自分のために振舞ってくれた、甘酸っぱい青春の味か....

 はたまた実家に帰った時に、お袋が自分のために振舞ってくれた、優しく懐かしい味か....

 または、自分のために、一生懸命頑張って作った、懐かしの味か......

 これら以外にも、いろんなシチュエーションを想像したであろう。

 だが、それら全てに共通していることは、


 <<気持ちである!!>>


 手料理というものには、何処かに必ず気持ちが隠れて入っているはずなのである。

 つまり、どんな事よりも最も心に残りやすいとも言えるであろう。

 さあここから本編が始まる!!




 ★☆



 朝の寒気も、あっという間に吹き飛び、外から、やんちゃな少年たちの声がかすかに聞こえてくる。

 そして、姫織のお腹からも可愛らしい音が聞こえ始めてくるお昼過ぎ。

 姫織は、今日も兄をドギマギさせようと、策を練っていた。


「今日こそは、兄さんをドギマギさせてみせます!!」


 <<脳内シミュレーション>>


 私は、自分の手料理をお盆の上に乗せ、兄さんの部屋の扉を優しくノックする。


「兄さん....あの、お昼ご飯を作ったのですが....」

「ん?ああ、頂くよ」


 兄さんの返事を聞いて、私は、ゆっくりと、そう、ゆっくりと扉を開ける。

 ここで、普段料理をしない私のエプロン姿に兄さんは思わず赤面する。

 真っ赤なお顔が恥ずかしいのか、慌てて後ろを向く兄さん。

 はあ、この程度でお顔を真っ赤にするなんて、なんて可愛らしい♡

 しかし、これだけでは終わりません!!

 私は、すかさず、兄さんの部屋にあるローテーブルに料理を置き、兄さんも私の対面に座らせる。

 顔を真っ赤にして、こっちを真っ直ぐ見てくれない兄さんに、


「兄さん♡はい♡あ〜ん♡」


 料理を兄さんの口元まで........


 <<完了>>


「いいですわ!!これですよ!!これ!!そうですよ!!前回は少しだけ、シミュレーションも、あざとすぎましたからね。このくらいが、殿方には丁度いいんですよ!!」


 姫織は、自分のシミュレーションのあまりの完璧さに、一人台所で百面相をしている。


 ★ ★

 正直言って、どこが完璧なのか、全然理解できないとは思うが、

 これは、彼女たちのお話なので、もう少し先を拝見するとしよう。

 ★ ★


 しかし、ここで姫織は大切なことに気づいた。


「そういえば、私一人で料理なんてあったかしら?」


 姫織は、首を傾げて必死に考え込むが、自分が料理している記憶が微塵も浮かんでこない。


 母と一緒に料理をする記憶は、多少は有るような、無いような、そのくらいの曖昧な記憶しかない。

 しいていうなら、中学校2年生の時に家庭科でやった気がするが、なんだかいい思い出じゃない気が......


「まあ、私だったら大丈夫でしょう」


 そう、この考えが、のちに悲劇を生むこととなるのである。









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兄さん‼️これでチェックメイトです‼️〜ブラコン妹はお兄ちゃんを攻略します‼️〜 葉月治 @hazukiosamu

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