第29話 授業の発表へ 応用編 発表シナリオ:既習事項

先生は、

「自己紹介カードのように、困っている子をイメージして、発表シナリオを書くんです。

例えば、5年生の時、平行四辺形の面積を求める時、自分の考えが作れない。」

そう言っいながら、平行四辺形の図を黒板に貼った。

「みんなは作れたでしょ。

なぜ、この子は作れないんだと思う?」

と聞いてきた。

「4年生の面積の勉強を忘れた?」

「公式を忘れた。」

等と言うつぶやきが聞こえた。

「そう、この問題に関係ある今までに学習したこと、既習事項っていうんだけど、それを忘れたんだよね。

だったら、発表シナリオには、既習事項を思い出す部分も作っておけばいいよね。

例えば。」

そう言って、長方形の図を平行四辺形の横に貼った。

それを指さし、

「どんなことを勉強したの?」

と聞いてきた。

みんなが

「公式は、縦×横。」

とニコニコして応えた。

「そうだねえ。

長方形の面積を求める公式は、縦×横だったね。」

そう言って、長方形の下に、長方形の面積=縦×横と書いた。

そして、縦の辺と横の辺に1㎝ずつ、印をつけにっこりした。

俺達もにっこりした。

すると、

「でも、大事な事は、それだけ?

これで終わり?」

と先生は目をパチパチしながら聞いてきた。

みんな、えっ、それだけじゃないの?という様子を見せた。

上を向いて4年生の面積の授業を思い出そうとしている子もいる。

ちょっとして、桐山さんが、

「1c㎡の正方形の数が、縦に何個、それが横に何列だから、縦×横になった。」

と言った。

目を丸くして頷きながら先生が、

「よく思い出したね。

1cm²の正方形の数を調べたんだよね。

こうやって、長方形の中にマスを作ったりした。」

そう言って、黒板の長方形にマスの線を入れていった。

そうそう、そういう勉強やったなあと俺も思い出した。

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