第24話 自分の甘さを取り除く一つの方法

 夕食の時、俺は100マス九九を本気で頑張ることを話した。

綾姉は、「それなら目標と具体的な方法を紙に書くといいよ。

周りに見られていると意識するだけで自分の心がピーンと張ってくる。

やることが心に残るようになる。」と教えてくれた。

お母さんは、「自分の机の前とか、トイレの壁とか、見える所に貼ると良い。

姉ちゃんの時、松下先生が教えてくれたよ。」と話してくれた。

 

 早速、『100マス九九を来週の金曜日までの50枚やる。

毎日、5枚はやる。

ライバルに負けない。

自分に勝つ!

自分を褒め、やる気を伸ばす。』と書き、机の前に貼った。


 その日の宿題は、集中してできた。

時間も短かかった。

100マス九九になり、一回目のタイムを計ったら、3分15秒だった。

なぜ、速くならないんだろうと考えた時、それぞれの段の時間を計ってみるといいよという先生の言葉が浮かんだ。

今日は、1の段から順番に時間を計ってみた。

1の段は、12秒。

2の段は、15秒。

3の段は、15秒。

4の段は、17秒。

5の段は、15秒。

6の段は、21秒。

7の段は、27秒。

8の段は、27秒。

9の段は、23秒。

10の段は、20秒だった。

合計3分12秒。

大体いつものタイムだ。

どれも15秒でできれば、2分30秒でできる。

4の段が4秒、6の段が6秒、7の段と8の段が12秒、9の段が8秒、10の段が5秒。

それぞれ縮めればいい。

特に、7の段と8の段がブレーキになっている。

これを集中的に練習していくことが必要かもしれない。

全部、7の段でやってみて、最後にタイムを計ってみた。

18秒になっていた。

先生の言っていた、分習法でやってみると、意外といいのかもしれない。

8の段もやってみたら、最後のタイムは15秒だった。

4の段は11秒、6の段は14秒、9の段は14秒、10の段は12秒になっていた。

最高タイムを全部たすと、141秒で2分21秒だ。

よーし、最後に全部で何秒になるか挑戦した。

結果は、2分45秒だった。

やっている途中で、焦ったり、疲れてきたりして思うようにできなかった。

何回も頑張っていると、調子を崩すことなくできるようになるのかなあと思った。

でも、苦手なことは分習法を使うといいことが今日体験できてうれしかった。

本間君が頑張ってくれて、それを先生が話してくれたからだ。

俺も頑張るぞと思い、ちょっとにっこりした。

だって、具体的な頑張り方がわかり、成果も出たんだもん。

幼稚な方法かもしれないけど、今の俺ができるのは、この方法しか思いつかない。

とにかく、この方法で頑張っていくしかないと思い、やっていった。

いつの間にか、目標の5枚を3枚上回り、8枚やっていた。

思わずにっこり笑いながら、「今日頑張った俺、偉い。」と言いながら、自分で自分の頭を撫でた。

自分褒めをしていたら、自分の頑張りを支えてくれた人の顔が浮かんできた。

自然と綾姉やお母さん、先生や本間君の顔を思い浮かべながら、心の中でありがとうと言うと、一緒に頭が下がってきた。

なんか心も透き通っていくような気がした。

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