第9話 宿題は、60分をどう生み出し、どう生かすかのトレーニング

 帰りの会で、宿題についての話があった。先生が、「家庭学習の時間は、一般的に10分×学年と言われます。だから、6年生は、60分ということです。あなた家庭生活の中で連続でもいいし、二部や三部に分かれてもいい。とにかく60分家庭学習ができるよう、自分の生活をコントロールしましょう。これをやると自分を伸ばすのに有効だよというものを宿題として出しています。基本的に、本読み、漢字、計算ドリルです。本読みは、内容を読み取ったり、声に出して読むことで話し方を身に着けたりすることができると思います。日本人としての基本的な能力を伸ばしてくれます。みんな10分くらいでできるんじゃないかな?どう?」とみんなを見てきた。俺は、時間何か図ったことねえなあと思った。みんなは、頷いたり、「7分くらい。」と応えたりしていた。全体を見回した後、「読むときに線を引いたり、矢印でつないだりすれば、構造的に理解する力を伸ばしていくことも可能だよ。ただ読むだけでなく、目標をもって行えば素晴らしい能力を伸ばしてくれるのが本読みだと思います。」と言った。へえ~。本読みってそんな力を伸ばしてくれるのか。俺は早く終わるために速く読んでいただけだったなあと思った。

 続いて、先生が「計算ドリルをやる時間は、何分くらい?」と聞いてきた。俺と目が合ったので、両手を横に挙げ、お手上げサインを送っておいた。先生は、笑っていた。誰かが、「20分。」と応えた。先生は、「時間を測っている子もいるし、いない子もいる。今年は計ろう。ドリルを1回やれば、1ポイント。計算ドリルをやった時、計算ドリルの右上に書いてある目標タイム以下なら、もう1ポイント。目標タイムは、ドリル会社の人が調べたら、「練習してきた6年生は、10分で満点とれますよ。」という時間です。このドリルをクリヤーできるレベルまで行っているか、自分で判定ができます。」と言った。俺もそうだけど、みんなも時間は計ったことがないので、難しいのか簡単なのか、想像できなかった。そんな時、先生が、「目標タイムが10分の時、5分以内でできたらスーパー凄いね。」と言った。そして、「そんな子には、ドリルをやったポイントに技能ポイント「A」も付けます。頑張れば、ポイントが上がり、技能が高まれば、Aの数が増します。それらを見て、自分の伸びを自分で感じることができます。」と言った。何かよくわかんないけど、沢山やってポイントをためろという事かなと思った。

 最後に「漢字ドリルは、何分くらい?」と聞いてきた。俺は、漢字を見ながら書くからすぐできると思った。それを見透かすように先生が、「漢字を写したら、読みを書く。読みを写したら、漢字を書く。漢字は、社会へ出たらすぐかけないとだめ。だから、すぐ書く。かけなければ飛ばす。そして、○付けをして、間違っていたり、書けていなかったりしたら、赤で直し、3回練習をする。そうしたら、1ポイント。5分以内で書けたら、その部分の漢字を書く技能「A」をつけます。」に加え、「計算ドリルと同じように、ポイントとAで自分の伸びを実感してください。」と言った。俺は、また自分の伸びと言ったぞと思った。

 先生が、「最後に、まだ、時間が60分には足りないと思う。残りの時間は、自分で自分を伸ばす時間にします。一日の中で60分を生み出し、担任から出された本読み、漢字、計算ドリルを行い、残った時間は自分を伸ばすために使う。何か物事を成し遂げていく時、言われたことだけやっていたのではだめです。自分で考え実行する。そして、自分で自分の成果を認め褒める。こういったことがとっても大切です。だから、一日60分の宿題。本読み、漢字、計算と自分で考える宿題を頑張りましょう。かかった時間は、本読みカード、漢字ノート、計算ドリルノート、自主勉ノートか予定帳に書いていこう。レコーディングすることで、意識し、成長する。頑張ろう。」と言った。先生がいろいろ言ったけど、宿題は今までと一緒じゃないかなあ、時間を書くだけ面倒になっただけじゃないかなあと俺は思った。

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