第2話 見えない裏切りと襲撃
ハートがベッドで寝そべって、本を読もうとすると、お腹の辺りからチクリと、何かが刺さったような気がした。なので、
ん、何だ?
と思い、
ベッドに座り、服をぬいでその部分を確認して見たが、何も無かった。
なので、ま、いっかと思い、読書を続けると、
『あれ、急に、視界が、歪んで』
と、言いながら、倒れてしまった。
そして、ハートが倒れると、
ガチャッと言う音と共に、2人の男が入って来た。
『いやぁそれにしても、よく眠ってるなぁハート。まぁ、注射器の中に、大量の睡眠薬を入れてシーツの中に忍ばせて、寝転がったら体の中に投入される様に仕掛けたから当たり前なんだけど。さて、ハートの闇の部分と、陽の部分を入れ替えさせる薬と、精神が暴走する薬を投与して、ブラックハートを作ろうっと。それじゃあダイヤ、準備よろしく』
『うん。それじゃあ予定通り、研究室から持って来た注射器の中に、2つの薬品を混ぜて、よし出来た。それじゃあ準備も出来た事だし、それじゃあ始めようか』
『うん。それじゃあハート、さようなら。たっぷりと悪夢を楽しんで来てね』
と、言いながら、2人で注射器を持ち、ハートの二の腕にぷすりと刺し、薬を投与した。
『よし、これで明日のお昼ぐらいには効果も出始めると思うんだが。まぁ、成功する事を願ってこの部屋から脱出して、研究室に戻ろう。そして次の作戦を練ろうかダイヤ』
『うん』
と、話しながら、部屋を出て行き研究室に戻って行った。
『よし、まず、1つ目の作戦は成功したな。それにしてもあの今日行った中央に流れてる川に、水を入れた後に血液に混ぜると効果を発揮する睡眠薬を混ぜておいて良かったな。それに、それを食べてもお腹が痛くなるだけで他は何も無いし。まぁ、そのおばさんは、あの依頼のせいで、王を危険に晒す事になるとは思って無かったんだろうけど。お陰でその川の水を回収出来て助かったよ!なぁ?ダイヤ』
『そうだね。クラブ。まぁ、でもとりあえず、さっきここに戻る前に話した、これからについて話さない?』
『おっ、そうだな。じゃあさ、まずダイヤの意見聞いていい?』
『分かった。うーん、多分、明日もここに来るだろうから、ここに来たら、偽の依頼を渡して人気の無い所に誘き寄せて、その場所で薬の効果が発動する様に仕向けよう。そうすれば後は、皆にどうとでも説明出来るからこっちとしても都合が良いし』
『お、確かに。それじゃあどんな内容の依頼にしようかな?東にある山の奥に、金色のブレスレットを落としてしまったので、探してくれませんか?って言う依頼、どうかな?』
『いいんじゃない。あそこなら全然人居ないし』
『よし決まり。それじゃあさっき考えたのを、あたかも誰かからか来たかの様に書いて寝ようかな』
と、言って、クラブは、10分位で仕上げ、床に敷いてある布団に潜って、深い眠りについた。
そして次の日の朝、
『んー、今何時』
と、言いながら、クラブ、その次にダイヤと、起きた。すると、ドンドンと、ドアを叩く音がしたので2人は、
おっしゃビンゴ。
と思いながら、どうぞ。と言った。
すると、案の定ハートが入ってきた。
『おはよう。二人共!』
と、言って来たので、クラブ達は、
『おうおはよう』
と、返し、
『あっそうそう実は昨日一件依頼が来たんだよ。だからハート、手伝ってくれない?』
と、言うと、
『あぁ良いよ。どう言う依頼だ?』
と、聞いてきたので、
『それじゃあちょっと待ってて、今からその紙を印刷して来るから』
と、クラブが言った。すると、
『うん分かった。それじゃあここで待たせてもらうよ。』
と、言われたので、その紙を持って、急いで印刷して持って来た。
『これが昨日来た依頼だよ』
と、言うと、
『ふむふむ、ふーん。探し物の依頼が。それも山奥……大変そうだね。それじゃあ早く行かないといつ見つかるかわかんないし、準備して、すぐに向かおうか。えっと、今が7時だから、準備して、7時30分に玄関で待ってて』
『うん。分かったありがとう』
と、言われたので、約束通り、7時30分に玄関で待っていた。すると、
『お待たせー』
と、言いながら走って来て、
『それじゃあ行こうか』
と、言って来た。なのでクラブ達は、
『はい』
と答え、城の外に出て、東ににある山に向かった。
『あのさ、地図かなんかない?』
と、ハートに聞かれたので、
『無いけど道、分かるので大丈夫だよ』
と、答えると、
『おうそうか。それじゃあ道案内よろしくな』
と、言われたので、
『うん』
と答えた。そして、1時間位かけて向かい、目的地の山のふもとまで来ることが出来た。
『まじか。この山登るのか。相当きつそうだな……』
『まぁそうだな。でも依頼のために頑張ろう』
『あぁ、そうだな』
と、クラブは、弱気になっていたハートを励まして、登り始めた。
よし、とりあえず作戦は成功したっぽいな。後は、これでハートが狂い始めるのも時間の問題だな。
と、ニヤニヤして考えながら、クラブは登り始めた。
『ハァハァ、すごい坂でオマケに砂利道だから凄く登りずらいな』
『うん。そうだね』
と、3人でお喋りしながら登って行くこと3時間、
『大分上の方に来たな。もう結構疲れたし、そこにベンチがあるから少し休んでから再開しないか?』
『うん。良いよ』
と、3人は、近くにあったベンチに腰かけ、バッグから水の入った水筒を取り出し、休憩を始めた。そしてわざとクラブの隣にダイヤが座り、ハートには少し離れた位置で座って休んでもらった。そして2人は、この後の事を、コソコソと話し始めた。
『ねぇ、この後何だけどさ、わざと30分以上休んでハートをここで狂わせちゃおうよ。ここなら斜面じゃないし、砂利でもないから戦いやすいよ』
とクラブが言うと、
『うんそうだね』
と、ダイヤは返した。なので、
『あの、ハート』
『何?』
『ここからもまだ距離あるし、大分疲れてるだろうから、ここで30分以上休んでから行こうって2人で話してたんだけどそれで良い?』
と、クラブが聞くと、
『あぁ、良いよ』
と、答え、12時過ぎまで休憩する事になった。
そして30分後
『あれ、何かクラクラして来て……』
と、言いながらハートが倒れてしまった。
『よし、薬が効き始めて来たみたいだな』
と、言って、嬉しそうに笑い、薬の更なる効能が効き始めるまで待っていた。
そして3分後
ハートは白目を向いて立ち上がり、
『ううあぁぁぁぁぁぁぁぁぁー』
と、顔を手で覆いながら鈍い声で1、2分位叫び続け、その後、
『ふふふ、僕、ブラックハートを呼び覚ましたのはここにいるお前ら2人か?』
と、聞かれたので2人は首を縦に降ると、ハートは、
『そうか。それじゃあ僕に変な薬を飲ましたのがお前らって事か。それじゃあ君達を僕の気が済むまでにゆっくりといたぶってから始末してあげるよ』
と、言われて2人は、少し怖気付いてしまったが、ここで勝たなきゃ計画が、ハートを倒して王の座を略奪する計画が水の泡になると思い、ベンチから立ち上がって拳を前に構えた。するとブラックハートは、
『ふーん、かかって来いよってか。面白いね。それじゃあお構いなく』
と言って手をぶらぶらさせてから足を1歩前に出し、そこから1秒足らずでクラブの所まで移動して、
『主犯格はお前か?』
と、言いながら、デコピンで吹き飛ばしてしまった。
そして、その次にブラックハートは、ダイヤの斜め後ろら辺に足を踏み出し、くるりと回ってダイヤの背後を取って、
『お前はこうだ』
と言って、回し蹴りを食らわせ、ダイヤは立てなくなってしまった。そしてブラックハートは、
『ふふふ、痛い?痛いよね!僕をこんなにしたやつをいたぶるって絶望に落とすのってこんなに楽しいんだ。ふふふふ、ははははは』
と、笑いながら2人を見ていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます