その5 いざ決戦前。

★無限の憂鬱:

無限、部屋に帰り物思いにふける。

先代が亡くなり、幼くして当主になった坊を不憫に思う。

こうして何人当主を見送って来たのだろう。

その度、幼子は重い荷物を背負い、孤独に生きていかなきゃなんない。

無限は手を見る。何百年として変わらぬ手。幼いままの腕。そして身体。

大人になりたい。強くなりたい。儚いものの力になりたい。

今の自分の不甲斐なさを痛感。

赤丸の強くて逞しい身体を思い出す。頼りがいのある身体。

何物にも屈せぬ強靭な肉体。

自分が大人であったなら、赤丸のように雄々しくあったなら、

あんな卑劣感に捕まるような無様なことはなかったろう。

そもそも、大人であったなら軟弱者の目に叶うことはなかったろう。

嗚呼、そうであるなら、そうであるなら、

永遠子をあんな目に会わさずに済んだのに。

赤丸がいてくれたら。せめて、傍にいてくれさえすれば。

『赤丸・・・赤丸・・・。』

無限は、御前様が亡くなる度、こうした思いに襲われ自暴自棄になる。

ましてや、永遠子によく似た馨子を目の前にして、一層、心が苛まれる。

無限、身体の損傷と高熱に魘され苦しむ永遠子を思い出す。

永遠子に対して『すまない』という気持ちが強まり、無限、陰鬱になる。

★馨子の憂鬱:

部屋では、馨がぶつぶついまだなごみに対して文句を言っている。

馨子辟易。自分の世界に閉じこもる。やるせない気持ちに陥る。

馨子、原因を探る。御前様一家のことや呪術師の惨殺。

度重なる嫌なことが原因と解釈。

ふっと、永遠子が過る。『どうして永遠子は死んだんだっけ?』

何時も思い出せない。とても大切なことが抜けてる気がする。

何故か、永遠子が虫の息で苦しんでいる姿が浮かぶ。

傍に無限がぼうっと浮かんでいる。自分のせいだと項垂れて。

『無限のせいで永遠子は死んだ?』馨子の頭に入り込む。

馨子は、永遠子の記憶を辿る。

永遠子、殺人鬼に囚われ、無限丸の所に連れて行かれる映像が過る。

呼べど叫べど無限反応なし。助けを求めるも左手喰いちぎられる。

身体引き裂かれようとするも何もしてくれない。

永遠子、何故と無限丸に絶望す。

と、その時、犬の唸る声、そして、一筋の矢が飛んでくる。

若武者が馬上より射た矢だ。永遠子を抱える殺人鬼の腕に命中す。

鋭い眼光。弦を引き絞る逞しい肉体。矢は容赦なく殺人鬼を攻める。

『赤丸・・・赤丸・・・?』赤丸という言葉が馨子の頭に木霊する。

『赤丸・・あれが・・・赤丸?』

殺人鬼の腕から落ちた永遠子を、白くしなやかな毛が受け止める。

馨子、永遠子の肉体的苦痛、裏切られたと言う心の痛み、全てを受け、

無限に対して疑心暗鬼になる。馨子の様子に馨、やっと気づく。

「無限が永遠子を死に追いやったのだわ。無限のせいで・・。」

「悪いのは殺人鬼だ。無限じゃない。みんなあいつのせいだ。

永遠子は遥か昔の人だよ。殺されなくたって当に死んでる人だ。

馨子は馨子で、永遠子じゃない。」

そんなこと頭で分かってはいても、馨子は、払拭できず陰鬱になる。

「お願いだ。無限だって被害者なんだから、責めないでやって欲しい。」

馨子が永遠子の死に至る要因を知ったとその頃、

無限もまた永遠子が殺人鬼に襲われた幻影を見る。

目を覆いたくなるような悲惨な光景。初めて見る光景だ。

赤丸の隆々とした肉体。力強く飛ぶ矢。一方で、何もできない自分。

永遠子に対して改めて罪悪感を感じ、益々、凹む。

馨は、馨子が永遠子の死の原因を知ってしまったことや、

そのことで馨子に及ぼした心の変化を危惧。

★赤魂:

翌日、馨は赤魂の扱いに悩む。

屋敷に祠を建て安置するのは場違いな気がする。

いい案浮かばず。式神の練習。古文書ぱらぱらめくる。

上の空。練習に身入らず、文字も頭に入らず。

若御前頭痛。神職不在で馨祓ってやる。少し楽に。

疫神御守様人形まじまじと見る。若御前の顔に似てきた。

そう言えば、この人形、可能の父の怨念が込められているのだなあ。

そんなことを思っていると、馨に微笑みかけてきたような気になる。

「あっ!そうか。」馨にある考えが浮かぶ。

『でも、僕は邪鬼を操れない。』また考え込む。

夜になり、祈祷所へ行く。無限、心なしか元気無し。馨子の様子も変。

赤魂の扱いを話し合うもいい案なし。

なごみと馨とまた険悪な雰囲気になりかけ、無限話かえる。

天眼の試運転す。なごみに合わせて微調整。

「あつ、神職さんだわ。何故?」

殺人鬼が屋敷の神職を連れて入ってくる。

屋敷の場所をはかそうと強く迫るも中々口を割らず。

本能的に、御前様一族壊滅してないことを知ったらしい。

鏡に映る神職を食い入るように皆見入る。

〈まあ良い。この勾玉から魂をあの少年に移してもらおうか。〉

神職、祝詞となえるも反応なし。殺人鬼、次期苛々。

脅すも、何も起こらず。何故少年は動かないと責める。

神職、勾玉よく見る。〈この勾玉に魂はないようだ。〉

殺人鬼、誤って別の勾玉を持ってきたことを知り怒る。

天眼仕込んだ勾玉握りつぶす。勾玉粉々に飛び散る。なごみ軽く失神。

「あ、どうしよ。」「まずいな。」

気づくなごみ混乱。無限介抱。

「ああ、頭が・・・。」鏡に色々な映像が万華鏡のごとく映り込む。

「天眼、生きてる。」「ばらばらになった分、眼が増えたんだ。」

殺人鬼、怒って部屋を出る。神職の命は奇跡的無事。

屋敷の場所や内情を吐かせようという魂胆らしい。

殺人鬼の身体や服にも破片は飛び散り、外の様子も鏡に映る。

なごみ、大量の情報量に容量超え機能停止。

馨に色々教えてくれた人だけに神職が捕まったことにショック。

内情がばれる可能性もあることから、救出急ぐ。

馨、決心す。赤魂の入っているイガイガの殻を手に取る。

しかし、開け方が分からない。ちくちく手に当たって痛いだけ。

なごみ、受取り優しく両の手で包み殻が開くよう声をかける。

すると少し割れ目ができ、息を吹きかけると徐々に開いていく。

と、突然、赤魂が飛び出しなごみの身体に入ろうとする。

しかし、馨のかけた結界が解けずじたばた自由がきかない。

馨、印を結ぶと赤魂びりびりして大人しくなる。

馨、虎の巻見て呪文唱える。赤魂人型になる。

馨に反抗的。びりびりと反抗繰り返し赤魂渋々従う。

赤魂、猿に憑りつく邪鬼だけになごみを気に入る。

また、猿女巫女は猿田彦命の血も引くことからなごみには恭順。

無限、何をしたのか馨に尋ねる。

式神には、思業式神・擬人式神・悪行罰示神があり、

思業式神は自分で式神を作り出すこと、擬人式神は人型を動かすこと、

悪行罰示神は倒した邪鬼を操ること。

「お父さんが教えてくれたんだ。赤魂を操れって。

 でも、危険なことだし技術的にも難しく無理だと思っていたけど、

 もう迷ってる暇なんて無い。」

『ん、お父さん?』馨子はその言葉にひっかかる。

神職救出の為赤魂送り込もうとするも、アジトの場所分からず。

情報収集の多さになごみへとへと。なごみと天眼の調整難航。

馨は馨で馨子と息が合わず集中できず苛々。この夜は解散。

馨、馨子を責める。馨子だんまりするも遂に怒りこみ上げ爆発。

「お父さんって何? 僕のお父さんって? わたし、お父さん知らない。

なんで馨にだけお父さんいるの? いつ、どこで会ったの?」

馨は、可能のお父さんのことだと言い宥めるも怒り収まらず。

わたしには永遠子じゃないと言っておきながら、あんたは可能か!」

危機が迫っていることなど宥めるも賺すも馨子完全臍曲げる。

★馨子乖離:

翌朝、馨目覚めると右半身動かず。這って移動。

無限、廊下で見つけ手貸すも、右手で手厳しく払われる。

「馨子、物忌中。気にしないで。」

馨、馨子が永遠子の記憶に迷い込み神経質になってる旨話す。

自分に対する不信が大きな要因と知り無限気にしない訳なし。

無限身体に触れぬよう、なごみと細々したことを手伝う。

食道では馨の準備と移動に時間がかかり、他従業員たち食事済ます。

お嬢、驚き、馨拒むも食事の介助する。馨子完全思考停止。

皆、馨たち二人の身体は、馨と馨子二人の調和で動いていることを実感。

頑なな馨子に無限、時代の流れで仕方なしと思うも脳内女子の虚像崩壊。

なごみ無限にささやく。

「どんなすました貴婦人だって腹を立てれば怒りもするわ。

 女の子はお人形じゃないんだから男の思い通りになんてならないわ。」

無限、様々な表情を見せる素の馨子に戸惑い、困惑す。

と同時に、果たせなかった永遠子との時間を思うと切なくもなるが、

駄々っ子のような馨子の様子をそれはそれで何故か愛おしく思う。

しかし、神職を助け出すこと、やつを倒すこと、といったことは、

やはり、各々の心が一つにならなければ果たせないのだと改めて思う。

馨、突然、「赤丸って誰?」と聞く。無限、ぎくりとする。

「馨子が、言っていた。」「何故、馨子ちゃん知ってるの?」

無限は永遠子は赤丸を知らないと思うと言う。接点が全くないからだ。

あるとしたら、無限や叔父の供で祖父の屋敷に行った時ぐらい。

厳重な屋敷で赤丸が永遠子の姿を見ることすらほぼ皆無。

あるとしたら、そう、唯一の接点は、あの時・・・・。あの光景。

永遠子が殺人鬼から助けられたその時以外考えられない。

無限は、馨に、永遠子が捕えられた時の様子を話す。

自分は既に魂を抜かれた後なので知るわけもないのだが、

妙に生々しく、はっきりとその光景が浮かんだと。

そして、その時の心理状態や、赤丸に思いを馳せていたことを思い出す。

あれは、無限が見た妄想かそれとも馨子が見た本当の永遠子の記憶か。

「君と馨子は繋がっているんだ。そうか、忍冬か。」

無限と馨子は繋がっている。それは、馨と馨子とは別の繋がり方で。

互いに思ったことを二人の間で共有することができるのではと馨考える。

★赤丸  :

赤丸は、蝦夷えみし俘囚ふしゅうの子。

蝦夷の特徴は馬術と騎射に秀でており戦闘能力非常に高し。

赤丸弓の名手。騎射でも歩射でもどんな体勢でも的を射る。

7世紀から蝦夷討伐有り。

朝廷に帰属した者は朝廷から給付得る。大和人と同化するも差別有り。

後給付廃止。生活に困窮。群盗の構成員となる者有り。

盗賊ども横行し世の中物騒。無限丸の父、宮中や市中警備す。

とある俘囚の孤児有り。群盗一味養育。賊として仕込む。

同じ年頃の俘囚の孤児もいて二人切磋琢磨し武術磨く。

或る日、群盗、朝廷に納めるべき庸と調を襲う。父攻防。

黒幕に王臣家有り。朝廷に納めた後では禄の支給もままならない為、

その前に自分たちの禄を徴収。正当行為と教えられ群盗ども罪悪感無し。

少年一人刺殺。一人無限丸の叔父の足射る。父その少年生け捕りす。

賊どもちりじりばらばら、数名生け捕られる。

父、少年屋敷に連れ帰り命助ける。名等訪ねるも一切答えず。

「同化はしてるが赤らいだ顔をしている。赤丸と名付けよう。」

以後、その少年、赤丸と呼ぶ。赤丸が足を射た叔父に預けられる。

叔父家族反対。叔父も気が進まぬが当主命にて承諾。赤丸16歳の時。

赤丸、仲間への攻撃や特に竹馬の友の死恨み反抗。

叔父、赤丸に群盗の悪事を根気よく説明。文盲の為読み書きから教育。

それでも遺恨残す赤丸。無限丸父連れ出し、某親王領田の現実見せる。

食うも食わずに隷属的に働かされる農民。汚職と収賄に手を染める官吏。

自分たちが正義と信じていたことが嘘であったことを目の当たりにする。

こんな奴らの為に友は命を懸け死んでいったのかと悔恨に耐えず。

以後改心。無限叔父をおやじさまと慕い馬の知識や武術一族に教える。

赤丸、寡黙にて不器用な性格。父と叔父に心許すも一門とは距離を置く。

@無限丸と無限丸:

赤丸18。無限丸5歳、養子として京に来る。

無限丸父将来無限丸の片腕になるよう期待。また無限丸の武功に期待。

無限丸武者教育受ける。赤丸弓術指導。無限丸素養有り。

一族の子らと無限丸の守役の一人となる。無限丸と共に教育受ける。

上級貴族の若君に招かれ無限丸連れ一族の子らと行く。

子ら遊びに夢中になる中、赤丸も厩舎見つけ馬や武具に夢中になる。

無限丸放ったらかし後の殺人鬼に見染められるという失態犯す。

永遠子母に会う:

赤丸19。王臣家蜂巣大将の召人の永遠子の母、娘を連れ実家に戻る。

身分が低い事や教養がないなど何かにつけいびられ病気がちに。

里帰り中、蜂巣大将、政権闘争に敗れ領に籠る。永遠子の母帰る所失う。

永遠子の将来を悲観し、痩せ細り、死の淵さ迷う。永遠子傷心。

無限丸父見かね、永遠子、無限丸の許嫁とし一生庇護すること約束す。

母、一命を取り留める。徐々に回復。永遠子も元気なる。

医者から日の光を浴びるよう言われ散歩を日課とす。番犬雪丸号随行。

絶世の美女と聞かされるも赤丸女性に興味なし。武芸勉学に励む。

噂を聞きつけ、不良貴族どもかようも相手にされず。

おやじさまの息子の不注意で馬暴走。追いかけるも見失う。

彼方で犬の激しく吠える声。暴れ馬行き場なく挙動不審。

翁雪丸号止めるも戦闘態勢止まず。恐れ慄く永遠子一行の女性たち。

赤丸漸く現場に到着。雪丸号今にも飛び掛からん勢い。

静かに近寄り馬落ち着かせ雪丸号を宥める。雪丸号赤丸警戒し唸る。

爺引き離そうとするも動かず赤丸睨む。見かねて永遠子の母雪丸呼ぶ。

雪丸、母には従順。母の傍に小走りで駆け寄る。童女泣きべそ。

赤丸平謝り永遠子の母爺に許すよ告げる。下女ら赤丸に時めきざわつく。

赤丸、風に煽られ枲垂衣むしのたれぎぬより永遠子の母の顔を垣間見る。

泣きべその永遠子をあやすその様子。慈愛に満ちた暖かな声。

今まで見てきた下賤の女たちとは雲泥の差。女性の美しさを知る。

余韻を残すその趣に強烈な印象受け赤丸胸騒ぐ。

身分違いなことや、自分を庇い死んでいった友を思うと、

心寄せることは勿論、思うことさえ許せず。気持ち押し殺す。

赤丸20。永遠子の母の縁談決まる。

相手は以前より父親が決めた相手であって文など交わす仲になるも、

蜂巣大将強引に割り込み自分の家に連れ去る。

無限丸父、滝口武者推薦打診され承諾するも中々口かからず。

その内、蜂巣大将失脚にて反故となる。妹に対して後ろめたさ有り。

己の下心恥、以後、実力で武功を上げ出世するに務める。

元婚約者、枝派の末席ではあるが臣籍降下の末裔。

姻戚には申分ない家柄。婿にして一族上げて盛り上げたい。

九州に赴任するに当り永遠子の母同行したいと申出有り。

永遠子同伴許可有るも兄との約束有り母泣く泣く永遠子と別れる。

赤丸傷心。赤丸護衛命ぜられる。複雑な心境。

永遠子大泣きするも母屋敷出立。7歳にて離別。

二人の下女と迎えの従者と赤丸で雪の中でかける。

別れ際、永遠子の母、赤丸に声を掛ける。

「お前が鬼の子赤丸か。」年かさの下女諫めるも無視。

「永遠子を・・・家を宜しく頼みます。」

そう言い残し去って行く。

子を思う母の一途な気持ちに赤丸心打たれる。

無限丸ぼ成長:

無限丸、赤丸の指導でめきめき腕を上げる。馬も上手に乗りこなす。

当初は子供、特に恵まれた子を憎み痛めつけるも、

素直に向かってくる無限丸に戸惑う。

いくら厳しくしても食い下がる無限丸。

突き放しても慕ってくる無限丸。払っても払っても引き下がらない。

屈託のないその笑顔にやがて赤丸は弟の様な、それ以上の愛情を持つ。

無限丸、私学に通い始める。明るい性格から友達沢山作る。

中でも陰陽師の子可能と仲良くなる。

赤丸は無限丸の日々成長する姿を嬉しく思う反面、

自分の世界を広める無限丸を複雑な気持ちで見守る。

無限丸、異性に興味を持つ。赤丸連れだって永遠子の姿を見に行く。

雪丸号既に死にその子小雪丸号番犬。追払われる。

永遠子の母への思いから赤丸も永遠子の姿を見たいと思う。

小雪丸号手名付けようとするも中々靡かず。追い立てられる。

無限丸の知略にて永遠子の姿微かに見る。無限丸背足りず敵わず。

母の面影残すその姿に万感の思い過る。

無限丸美少年ぶりが評判となる。

上級貴族の子息に無限丸招かれ何度か共して屋敷に行くも、

噂を聞きく。また、子息の可能丸に対する態度から赤丸不安になる。

或る日、予感的中。無限丸犯されそうになるが子息発作。

無限丸ショックで動けず。赤丸背負い帰宅す。

無限丸幼少の頃、赤丸目を離したことを深く自省。

以後、赤丸時には荒く使いの者追払い寄せ付けず。

流鏑馬 :

神社の行司で流鏑馬有り。おやじさま嫡男出場予定。

嫡男武芸嫌い文官希望。落馬の危険性有り。出場渋る。

赤丸に身代わり依頼。断るも仮病使い赤丸渋々出場。

つい本気を出し全て命中。人々の目奪う。

おやじさまら勘づき大目玉。後、嫡男試験受け大学寮に入る。

次男、上級貴族の家人。三男は幼少にして病弱。

赤丸の腕が評判となり他家より口かかる。昔の悪仲間付きまとわれる。

赤丸就職する気はないが武具や兵達に興味有他家出入りし見識深める。

おやじさま、他に行かれてはと危機感持ち赤丸養子を真剣に考える。

@殺人鬼 :

永遠子の宮中入りの話が俄かに持ちあがる。

無限丸の動揺ぶりに赤丸心痛める。

無限丸の思いを成就させたいと思うも赤丸に手立て無。ただ見守るのみ。

永遠子、右大臣の屋敷に監禁。右大臣の舎人に近づき渡りを付ける。

無限丸単独行動注意されるも、赤丸に内緒で単身右大臣邸乗り込む。

気づき右大臣邸に行くも潜り込むにまごつく。

そのうち、殺人鬼襲来で右大臣邸大騒ぎ。

元より招待などある筈ないのに招かれないことへの嫌がらせらしい。

偶然居合わせた無限丸見つけ、殺人鬼無限丸浚う。

騒ぎの中、赤丸、その姿見、右大臣邸の馬拝借後を追うが見失う。

無限丸の拉致を聞きつけた一門の若い衆と出会い手分けして捜索。

闇より男の叫ぶ声有り。駆け付けると可能血まみれ。

殺人鬼、無限丸抱え今にも可能の身体引きさんとす。

赤丸、無限丸と可能の隙間ぬい絶妙に殺人鬼の喉元射る。

矢継ぎ早に射殺人鬼一瞬のけ反るも無限丸離さず。

若い衆駆け付け包囲。多勢に無勢。風を巻き上げ一瞬にて退散。

可能、殺人鬼の館に連れて行って欲しいと頼む。赤丸連れて行く。

可能虫の息。無限丸の魂を入れた勾玉を預け息だえる。

無限丸の親友可能丸の亡骸を家人と共に屋敷に届ける。

人襲われ赤丸聞きつけては無限丸の姿を探し探しまわるも見付らず。

永遠子拉致の知らせ入る。

赤丸、元気のない小雪丸号に言い聞かせ共に永遠子捜索。

神懸った小雪丸号。永遠子恋しさに匂い嗅ぎ付け殺人鬼アジト見つける。

先に小雪丸号乗り込み殺人鬼に噛みつくも軽くあしらわれ傷を負う。

赤丸漸く追いつき永遠子を掴む腕射る。思わず落とし小雪丸号背負う。

次々と射た矢命中するも取り払い傷すぐ回復す。正に化け物。

一門の者騒ぎ聞きつけ囲む。無限丸抱え盾にしまたしても逃走。

その速さ、突風の如く。追うも追いつかず。

永遠子、瀕死の状態で屋敷に戻る。赤丸愕然。

永遠子伏している枕元に無限丸の霊現れる。

霊に話しかけるも応ぜず。ひたすら永遠子の回復を祈るのみ。

@受験 :

赤丸28。兵衛府受験。合格。

無限丸の父ら赤丸に娘を娶らせ一族の担い手となるよう本格的に相談。

被害者多発で殺人鬼討伐の詔発布。

官に入れば公に武具を装備し殺人鬼討伐できると言い包め受験さす。

永遠子祈り虚しく死去。永遠子の母との約束果たせず赤丸遺恨残す。

赤丸、夜な夜な殺人鬼探し回ること狂人のごとく。されど見つからず。

無限丸の叔父と赤丸との養子縁組の儀有り。思いつめる赤丸、申出。

殺人鬼は市中のみならず近郊でも起き活動範囲が広げる。

官人になっては自由に動けず。討伐の期を逃してしまう。

故に自分は官人にはならないと言い出す。

その場で「義に生きる。」と言い残し出奔。

その足で無限丸の勾玉がある屋敷に行き、殺人鬼討伐を誓う。

屋敷の若より、何かあった際の為に身分証明発行される。

これを最後に赤丸の姿を見た者なし。風の噂も聞かず。以後行方不明。

★馨子物忌:

馨子完全外部から遮断。馨との疎通も耐える。

無限、かつての自分の仕打ちが馨子に影響してると心悩ます。

馨はそうした無限の心情が馨子に悪い影響を及ぼしてると考え、

無限に永遠子のことで自分を責めることはしなよう忠告。

無限、可能の永遠子に対する思いを勘ぐり、

また、一心同体の馨子と馨に疎外感を感じ素直に聞けず。

馨、何となく察し、永遠子と可能の父は同じ蜂巣大将だと告白。

可能が永遠子と同じ血が流れているように馨子もまた自分の血肉であり、

無限が永遠子や馨子を思う気持ちとは全く別ものだと言う。     

なごみ、二人の会話を偶然聞く。

なごみ、馨と馨子の部屋に行く。馨、何しに来たかと警戒。

なごみ、馨無視して馨子に話しかける。何度か呼びかけるも反応せず。

馨批判がましく視線投げるもなごみ無視して話し始める。

以前、ひよりという少女の夢を見たと夢の内容を簡単に説明。

無限丸が永遠子を如何に思っていたか、無限丸が負った受難や状況等。

馨子、なごみの話を少しずつ聞き入れる。

そして、死の淵をさ迷う永遠子に付き添う様子を話す。馨子思い返す。

ひよりは出家し永遠子の弔いをし、赤丸は殺人鬼討伐を誓い放浪。

永遠子は決して一人で死んでいった訳ではないことを告げる。

なごみ、無限にもひよりの夢を見たことを告げる。

無限、始めぼーっと聞くも、巫女との間にできた義姉と分かる。

なごみ、無限に、自分を責めるなと言う。

永遠子は死んだのだから、忘れろとは言わないが、今を生きて欲しいと。

無限、弱気になっていた自分を反省。気丈夫になる。

時の流れを思い起こし、そして、『今を生きる』意味を考える。

馨子、鬱憤が徐々に晴れ、気持ちが軽くなる。

馨、やっと四肢自由になる。神職救出に専念。

北極星を基準に天眼に移り込む星、建物等の位置からアジト割出試みる。

馨子と無限、始めぎこちなく有るも、徐々に蟠り消える。

無限、馨の忠告信じ馨子との交信試す。氣を落ち着かせ静かに呼びかけ。

〈カオル・・あっ、コ、カエルコちゃん、カエルコちゃん。〉

馨子、始めカエルが頭の中で反響。暫くすると無限と分かる。

馨、馨子と無限は思った事をお互いに交信できるのだと説明。

馨子からも呼びかけを試すよう促される。

〈失礼ね。わたしはカオルコよ。〉〈あっ・・・・。〉笑。

成功。ただし、全氣集中要。

★伏魔殿探索 :

伏魔殿割出難しく時間を要す。日々、神職に対する拷問続くも口わらず。

殺人鬼、痺れ切らして喰う。救出間に合わず。皆消沈。若御前に報告。

見覚えのある風景を探すも、子どもと田舎者と加護の無限では乏しく、

根気よく殺人鬼の行動追い、遂に品川駅の文字見つける。

そこから一気に地図上に今までのデーターをかさね合わせ位置を測定。

ここだと思われる場所算出するも誤差甚だ大きく確定できず。

ここと思われる地域をざっくりと若御前に報告。

赤魂出動。天眼つけて品川駅より道を辿らす計画。

逃走の危険も考えられるが今の所なごみにぞっこん。馨の腕も上がる。

慣れないこともあり上手くいかず。品川駅までのたどりつかず初日退散。

馨、疲労溜まり爆睡。起こしても起きず。お嬢心配して見舞い。

2日後目覚める。隊士ら情報共有し捜索。無理しないよう労われる。

赤魂、馨休止中、東京見物。東京の街ほぼ収得。

馨回復し、赤魂、品川より出発。赤魂集中力散漫。馨より喝入れられる。

伏魔殿近く迄行くもたどり着けず。隊士らの目撃情報元に経巡る。

赤魂、花街に異常に興味持ち道草。馨お仕置きするも通う。

童子の恰好にて相手にされず。禿と馴染みになり怪しき者有り情報得る。

身の上を知り連れ出そうとするも逃げ出せない旨説明され断念。

赤魂、美の基準に相違有。醜女と憐れむも禿花魁尊敬明るく前向き。

尚更心打ち憐憫の情湧き人を喰らってきたことを猛省。

赤魂、なごみに慰められる。

怪しき者監視中、廓にて隊士達との死闘遭遇。殺人鬼一味と断定。

赤魂、殺人鬼一味と内通する小男発見。後つける。

うち、繁華街にて殺人鬼に遭遇。ばれて襲われる。

危うい処、馨、人型の術解き窮地脱出。

屋敷内に散らばった勾玉の破片だが手下日々掃除にて大部撤去。

殺人鬼の身に付き屋敷要所に紛れ込む破片有り。

女中、碧に透ける勾玉の破片見つけ喜び身に付けるなど、

かろうじて様子伺うこと可能。

赤魂徘徊中、件の小男発見。人型解除し身体に取り付き伏魔殿遂に発見。

後、殺人鬼帰宅。異臭嗅ぎ分け侵入者が有ったことに気づく。

小男より発しているのが分かり小男その場で抹殺。蝙蝠と分かる。

若御前に報告。隊士達に通達される。

再度、赤魂、伏魔殿に行くも結界有り。屋敷認識できず。

★高橋特命受ける:

無限、社内での不穏な動きを危惧。若御前をサポート。

若御前に高橋を本社に移転するよう進言。反乱分子現れる。

高橋内密に社内調査の辞令下る。古代栗の森は順調に回復との事。

故御前の腹心の社員と共に内部調査。社内の立て直しを行う。

古参の重役に背信有。軍幹部と共謀し隠れ資金づくり企てる。

高橋嗅ぎ付け裏切り者解雇。クリーンな企業目指し公に協力。

社内組織編成。確固たるヒエラルキー作る。財閥企業の一つとして成長。

若御前、カリスマ性示す。

★伏魔殿侵入:

馨、伏魔殿内天眼と赤魂の天眼の氣合わせてる。赤魂、潜み様子伺う。

天眼内臓勾玉破片持つ女中出入り遭遇。

霧切遠隔にて結界破り伏魔殿の入り口作り人に見えない見印の旗たてる。

赤魂これにて伏魔殿出入り自由になる。容易に侵入。

以前、制作した伏魔殿見取り図確認。ほぼ同じながらも修正。

秘密の間前来るも取っ手無。開け方分からず。

馨呪文唱えるも開かず。祓霊刀霧切祓うも開かず。

赤魂、消臭玉投げ退散。匂い残さず。生態認証で開錠と推測。

赤魂、殺人鬼の体系模写するも開かず。声帯模写開かず。

なごみ、天眼と氣を合わすこと自由自在。耳澄ます。

人と比べ脈拍数や心拍数の少ない事に気づく。

赤魂に会得させること日数要し試してみるも何れも開かず。

殺人鬼の呼吸聞き取り。長い呼吸なり。

赤魂会得すること難なり。更に日数要す。

赤魂秘密の間前にて気持ち落ち着かせ殺人鬼の呼吸模倣。

静かに扉開く。成功。次なる難関。無限丸のケースなり。

ケースは殺人鬼消滅と共に消滅すると思われる。

赤魂帰館し殺人鬼の呼吸無限に伝授。無限会得すること甚だ難し。

隊士戦闘激しさ増す。有能な隊士戦死報告続く。

この頃、馨と馨子に激痛有り。瞬間的且つ、稀な痛みの為気にせず。

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