その2 それは随分昔の話

★無限生立ち:

時は平安。無限東国に生まれる。幼名:無限丸なきりまる。都の武官の家に嫡男生まれず。やっと生まれるも死亡。

5歳の頃、遠縁の無限養子になる。以後養父の下で厳しく育てられる。

一族からは御曹司と可愛がられ、伸び伸び育つ。義姉妹有り。

養父は妹の娘永遠子とわこを早くから無限の許嫁とす。

永遠子の実父は親王の子、蜂巣大将はちのすのたいしょうだが、

同系若宮を新帝に据えようと画策するも失敗。以後、荘園に籠る。

身分の低い永遠子の母は捨てられ、以後絶縁。滲めな思いをす。

しかし、美人の評判もあって、永遠子を残して九州の受領に嫁ぐ。

永遠子は祖父母の家で育つ。母に似て綺麗な顔だち。

高貴な血を引くこともあってか生まれながらに嫋やかにて品がある。

不良貴族の目に付かぬよう、厳重に養育。

祖父母は娘が受けた仕打ちから、蜂巣大将の姫君に負けてはならぬと、

永遠子には雅な教養を身に付けさせる。

忠犬小雪丸号が始終見張りをしている。人が来ると吠えまくる。

全身真っ白な犬で頭も白けりゃ尾も白い。大型犬。

そんな訳で、許婚の無限でさえ面会は幼い頃に1度きり。

学舎まなびやで陰陽師の子、可能よりよしと出会う。

意気投合す。ムゲン、カノウと呼び合う仲に。

可能は広く世の中を知りたいと思い、博識坊主の私学に通う。

生まれながら素質あり、父、可能に期待大。算術等教える。

学舎いいから、早く技術を身に付けてほしいと思っている。

やがて、無限はその端正な顔立ちが貴族の間で評判になる。

天子様詣で。御行列を飾る男童数人に無限抜擢。

病がちな高位貴族の子息に懸想される。

男色の噂も有り身の危険を感じ遠回しに拒否。

しかし、相手は相当な曲者。執念深くてひつっこい。

ついつい騙され何度か対面。会うたび大胆に迫ってくる。無限辟易。

可能に相談。可能から護符を渡され厄除けの粉を飲まされる。

妙な味のする怪しげな粉で、幾たびか飲まされるも効き目無し。

そろそろ異性に興味を持ち始める頃、永遠子を意識す。

許嫁の顔をどうしても見たくて見たくてたまらない。

用も無いのに祖父母の家に遊びに行っては小雪丸号に吠えまくられる。

吠える小雪丸号を宥める声。何とも愛らしく奥ゆかしい。

その声だけで無限心ときめき、一層、思いが深まる。

乳母に頼んで御簾を上げてもらうも髪に隠れて顔は見えず。

しかし、その濡羽色の黒髪に想像は膨らむばかり。

そんな少年の成長を、祖父母は微笑ましく思いわざとじらす。    

そんな中、右大臣の娘中宮が器量のいい女童を探しているとの事。

永遠子の伯母が、使える家で永遠子の話をする。

やがて、永遠子の評判が右大臣の耳にも届く。

永遠子が母の身分は低いが親王の血を引くと知りだいぶ乗る気。

蜂巣大将の縁者とは少々難だが、絶縁状態で蜂巣大将は既に亡く。

あわよくば、自分が養父となって中宮の子、春宮の妃にと企む。

永遠子の容姿を確認するため、天子様の行幸を口実に連れ出す。

永遠子は許婚無限の晴れ姿が見れると大喜びで出かける。

車には右大臣の命を受けた典侍と永遠子と同じくらいの小君がいる。

永遠子はそうとは知らず、武官装束の無限に心ときめかす。

典侍の報告で、右大臣、永遠子大いに気に入るも育ちを心配す。

一刻も早く教育したいと伯母に申出。

伯母は一族の長、無限の義父に話すも相手にされず。

義父は親王の血により一族の盤石な基盤を作りたいと思っている。

祖父母も永遠子の母の二の舞になると猛反対。

右大臣との板挟みで伯母頭悩ます。祖母説得。

蜂巣大将一族に見せつけたい気もする祖母靡く。

そのうち、無限の耳にも届く。愕然とす。  

宮中に上がる前になんとか永遠子に思いを伝えたいと可能に相談。

可能、和歌を送れと言う。無限指南受けるも上達せず。

宮中入りの話はどんどん進み、遂に、永遠子に伝えられる。

永遠子は母の辛い記憶もあって高位貴族の中で暮らすのは嫌だと言う。

永遠子可愛いの評判がたち、不良貴族どもが祖父母の屋敷をうろつく。

祖父は忠犬小雪丸号をしかけ蹴散らす。

高位貴族の子息の家から無限呼び出し。

断るも、仕事の話と半ば強制的に連行。やっぱり嘘。

子息、げぼげぼしならが無限に迫る。相手は高位貴族子息。

うまくかわすもひつこく迫る。病弱な割に力強し。

自分には許嫁がおり相思相愛。元服即婚礼予定あり。

口から出任せ嘘を交えて、挙句、許嫁を裏切れないと喋りまくる。

子息、永遠子に嫉妬。激しくげぼげぼ。体力限界。無限解放。

伯母が祖母とで何やら不穏な動き。

祖父が気を揉み義父に相談。無限偶然聞く。

一刻も猶予がない。可能に相談。

可能は無限に下手でもいいから廻り歌を詠めと言う。

意味なんてどうでもいい、兎に角、詠めと。

『しほさゐに かいくくるふね いかとしと

 かいねふるくく いかにゐさほし』

  満波のように押し迫るこの難局(宮入の話に)を

  舟(わたし達)は切る抜けるにはどうしたらいいか。

  潜りぬける方法を目を閉じて考えてます。

  どんな状況であっても雄々しくありたいものです。

1行に認めその紙を捻じって上の『し』と下の『し』と合わす。

どんなことがあろうと巡り巡って必ず結ばれると言う呪いだと言う。

丁度庭に咲く忍冬すいかずら。よい香りを纏って拵える。

典侍乗り込み目を光らす。貴族たち歌を送るが全て取り付かず。

寝返るも不憫に思う祖母の手により、無限の歌は永遠子に届けられる。

永遠子は御守袋に入れ肌身離さず身に付ける。

夕涼み、無限が祖父母の家の前を通る。永遠子の手習いであろう。

たどたどしくも澄んだ琵琶の音が聞こえる。

無限は懐より笛を取り出し、琵琶に合わせて吹く。

重なり合う音。互いの気持ちを確かめる。

そんな或る日、忽然と、永遠子姿を消す。

行先は公然として知れてはいるが、見受けに行くもしらを切られる。

屋敷に乗り込む訳にもいかず手をこまねく。

右大臣の家で何か催しを開くと耳にする。

無限、右大臣の下働きの男を手懐け屋敷に潜入。

夜も深まり、宴もたけなわ、

男の手引きで永遠子のいる部屋の前、闇の中、立ち木に隠れる。

永遠子は囲まれ伯母や典侍たちに説得される。

いたたまれずに縁側に出る。ふっと上げた視線の先に無限が。

はじめて、まじまじと互いの顔を見合わせる。

この機に乗じて無限は永遠子を連れ出そうとす。

しらを切りここには居ない人ならば、連れ去った処で罪じゃなし。

しかし、奥から伯母が呼びにきて見つかる。

伯母は事が大きくなるのを恐れ、

永遠子は座敷に追いやり、無限を追い払おうとす。

その時、宴の席で悲鳴が上がる。三々五々に逃げまどう人々。

何事が起きたのか分からないまま、無限は化け物に捕まる。

その手を短刀で斬りつけ振り払うもひつこく迫る。

その感触、その手、どこか見覚えが。

激しく抵抗するも、無限はつに捕らえられる。

無限が化け物に浚われようとしてる中、永遠子が外に飛び出す。

必死に手を伸ばすも、女たちに抑えられ奥に引きずり込まれる。

永遠子失神。屋敷はめちゃくちゃ。

可能、父の供でとある貴族に呼ばれた帰り道。

西回りに帰るよう勧めるも、父疲れたと通常通りの道を行く。

異様な気配の牛車に出会う。牛を引く男に生気が無い。

すれ違いざま、足を踏み鳴らすと男が消えた。牛は歩くのをやめた。

簾を少し下げ、高位貴族の子息が誰かを胸にかかえうっとりとしてる。

月の光で子息はいっそう青白く、ぞっとするほど美しい。

抱かれる少年はぐったりとして、どことなく見覚えがある。

牛車の傍の可能を見て、子息は可能を睨みつける。

その妖艶さ、可能はこの世のものではない異常な氣を感じる。

と、咄嗟に、祓霊刀霧切を振り下ろす。

すると、子息の本性が露わになる。そして、その少年が無限と知る。

呼びかけるも無限意識無。父応戦するも歯が立たず腰砕け。

祓霊刀霧切を振りかぶり邪気を斬り、怯んだ隙に無限奪回。

何度か呼びかけ気がつく。無限刀を抜く。何度も斬りつけるも空振り。

可能、突き飛ばされて全身殴打。かなり痛い。

無限を傷つけたくない子息。刀払われ無限捕まる。

可能、尚も、祓霊刀霧切で対抗。無限抱える子息の腕斬り落とす。

子息、憤怒。逃がさじと手を伸ばすも、先に可能無限引き寄せる。

子息、無限抱えた可能の腕ごともぎ取る。可能右側大分損傷。

意識朦朧の中、せめて無限の霊魂だけでも穢されぬよう勾玉に移す。

尚も可能を襲う。あわやその時、無限の家の者たち駆け付ける。

子息無限抱えて姿を消す。

可能は、一族の者に子息の屋敷に連れって行ってくれと頼む。

可能、馬に乗せられ屋敷に行く。お屋敷、一族雁首揃えて呆然とす。

可能は力を振り絞り、

「もし、あの化け物にこの勾玉が渡るような事あらば、

 一族諸共悶絶躃地もんぜつびゃくじの末、絶滅させてくれようぞ。

 救われる道はただ一つ。

 化け物を倒し、我が友の身を無事取り戻すこと。

 努々忘れぬよう、我はお前達一族に印を残す。」

と言い残し、出血多量で絶命。

子息は以後屋敷から姿をくらます。

子息、恍惚とした表情で無限を抱き呼びかけるも無反応。

突然、身体に稲妻が走るような痛み。無限から発するものだ。

やっと、可能の魔除けの薬が身体を巡り効果をあらわす。

全身に結界ができる。子息、無限に触れられなくなる。苛々。

後日、何とか無限の意識を取り戻そうと永遠子を浚う。

右大臣の屋敷はまたも大騒ぎ。伯母は実家に知らせに行く。

無限を浚われ、永遠子までも、一族総出で探し回る。

子息は、無限の前に永遠子の身を晒す。

永遠子驚愕。永遠子無限に呼びかけるも無反応。

永遠子の悲鳴で意識も戻るだろうと左手喰いちぎる。

無限は人形の如く動かない。永遠子激痛に耐えるも痛すぎ失神。

更に、永遠子の左肩に噛みつく。身体を引き裂こうとしたその時、

忠犬小雪丸号が飛び込んで来た。左半身ぷらぷら。

永遠子恋いしや匂いを頼りにかぎつけて。

牙をむくも歯が立たず傷負う。一族どやさこやさと乗り込む。

小雪丸号、永遠子を背負い逃走。子息無限連れて消える。

永遠子を連れ戻し小雪丸号絶命。忠犬の誉れと手厚く葬られる。

京の都は夜な夜な人喰い現れ大騒ぎ。特に若い美女に評判の美少年。

高位貴族の子女も被害にあう。無限の義父鬼畜討伐嘆願す。

詔にて国中、鬼畜討伐の命下るもどこにも鬼畜姿なし。

無限、二度と帰らず。

永遠子は、一旦、命取り留める。左半身腐れ落ち高熱に魘される。

無限夢枕に現れ謝る。失われた左半身は必ず取り戻してやると誓う。

  永遠子永眠。右手に御守袋を固く握りしめて。

  可能:享年15歳。永遠子:享年14歳。秋のこと。

★余談ですが:

可能の出生の秘密。

可能の母は風流な美人で評判。多くの歌人を輩出する家系の出。

母も父と結婚後歌人として徐々に頭角現す。

目鼻立ちの美しさよりもその風情が何とも美しい。

名うての好き者蜂巣大将がその評判を聞き、欲情をもつ。

言い寄られるも母拒絶。

子が中々生まれず、子授祈祷の為泊りがけで詣でる。

それを耳にした蜂巣大将、待ち伏せ。

事前に買収した御付の女の手引きで母拉致。廃屋で手籠めにす。

その後、懐妊。父大喜びするも母懸念。ひたすら神仏に祈るのみ。

可能誕生。父大喜びするも、どことなく雅な顔立ちに母苦悶。

母、心労と産後の日達悪く精神患う。可能5歳の頃遂に身罷う。

父の言いつけをよく守りなさいが母の口癖。

妊娠後は歌を詠まなくなる。物憂げな様子しか印象にない。

勘のいい可能。自分は父の子ではないのではと思いながら育つ。

或る日、貴族の家で自分によく似た青年貴族を見かける。

その青年、蜂巣大将の子息と知り益々自分の出生に疑惑を持つ。

或る日、母の遺作に意味ありげな歌見つける。

  要約 花と見れば、本当に耐えがたいことですね。

     蜂が煩く纏わりつきます。

     あの人が大切に慈しんできた花なのに、

     今や花を散らして実をつけてしまったことよ。       

悲しいかな、可能。母を苦しめる自分の血を恨む。

また、何も知らず甲斐甲斐しくしてくれる父を不憫に思う。

しかしながら、父は父で実は気がついてる。

蜂巣大将が自分の妻にひつこく言い寄っていたことも、

子授祈祷の帰宅後から妻の様子がおかしくなったことも。

父は妻との間が破綻するのを恐れ知らぬ振りをし、

可能を天からの授かりものと信じて無償の愛を注ぐ。

実際、可能は、算術に優れ、幼い頃より氣の流れが良く分かり、

本当に天からの授かり子ではと、思わされる処が有る。

そうした父の思いやりが一層母を苦しめた。

遺伝子検査の無い時代、本当の事はさだけではなが・・・。

実父が蜂巣大将であるならば、可能と永遠子は異母兄妹になる。

故にだろうか、可能と永遠子は何となく似ている。

★無限と可能:

官位はそう変わらないが、無限は可能を貴族的優美な家の子と思う。

見るかに可能は色白でぽっちゃりとした柔和な感じ。

どちらかと言うと女の子のような可愛らしい容姿をしてる。

おっとりとしてどことなく品も有り、羨望の眼差して見ている。

また、向学心高く尊敬もしてる。

可能は、不義の子と言う負い目から人を避ける。

おおらかで実直な、いつも人の中心にいる無限を羨ましく思う。

その物怖じしない公明正大な態度に可能は次第に心を開く。   

無限は一族の子供達とは違う教育を受けている永遠子に戸惑う。

どう接していいか分からず、可能を頼る。

しかし、環境から耳年魔なだけで実際の可能は随分奥手。 

可能は、似たような出生の永遠子に同情を寄せる。

また、まだ見ぬ妹に心密かに兄妹の情を募らせる。

★祓霊刀霧切:

可能の手に渡った謎。なんでだ?

鬼が造ったと言われる伝説の太刀。

ある男が心図らずも悪道に染まり、挙句、死後、餓鬼道に落ちる。

救われたいと願うも抜け出す方無し。或る賢者の亡霊と出会う。

賢者から、邪気を切る刀で斬れば救われると聞かされる。

水澄み、清らかな森で、鬼は太刀造りをするも失敗を重ねる。

一心不乱に叩くその音は人里にまで響いたと言う。

或る日、その音が止まった。

行ってみると鬼はおらず、一振の刀身が燦然さんぜんとあるのみ。

鬼は自ら造った太刀で邪気を斬り、やっと成仏できたと言う。

吉備の豪族が誂え所蔵していたが、その後、陰陽寮で保管。

時々障りが有り、方違えを繰り返すうち行方不明。

恐らく、何代か前、可能の家が空きの方角に当たっていたのだろう。

保管しているうち、忘れられてしまったようだ。

可能13歳の時、父、家の整理中太刀見つける。

父が持つと手が痺れ、可能が持つと何でもない。

一説には、太刀が持ち主を選ぶとも言われている。

以後、祓霊刀霧切と気がつかず可能管理。

可能死後、陰陽寮目録で、陰陽寮所蔵の品と知る。

★可能の死後:

父は、自分が凡庸である分、可能に掛ける期待は絶大。

可能の死の喪失感半端ない。

子息宅に父腰砕け状態でやっとたどり着く。

可能御遺体損傷凄まじさに父激憤。

一族の使用人たちの手を借り、可能と父家に帰る。

妻は上位貴族に弄ばれ挙句精神患い死去、息子は惨殺。

上級貴族に大して深く遺恨残す。

後日、子息邸訪問。落ちてる若君の髪持ち帰る。

子息一族に対してご禁制の呪詛を密かにに行う。

官人が呪詛したと発覚すると官位召し上げ。悪質な場合死罪。

「可哀そうな可能。たった一人の我が息子。

 何故お前が死なねばならぬ。

 憎きはあの鬼畜。この恨みはらさでおかれない。    

 たった15年、何故に15年。嗚呼、我が息子、可能よ。

 ならば、そうだ、あの一族、せめて二倍は生かしてやろう。

 我が痛み受け苦しみながら生きるがいい。鬼畜滅びるまで。」

以後、若様時折脈激しく波打つ頭痛発す。医師見るも原因不明。

卜占す。呪詛と出るも出何処不明。鬼畜の霊病と見做す。

また、父、西回りに帰らなかったことをすごく後悔。

子々孫々の代、いつかこの仇は討ってやると執念燃やす。

温厚であった性格激変。癇癪持ちになる。

寺で偶然可能の雰囲気によく似た孤児を拾い養子にする。

可能よりよしと名付け、歪んだ愛情をぶつける。

霧切は可能の形見として忘れられた事をいいことにこっそり着服。

養子可能、反発しつつも義父の姿を哀れに思い、

呪詛等一連の養父の犯罪ついて一切口噤む。

父亡くなるも怨念は死なず、寧ろ、恨みは強まるばかり。

若君より可能や養父の当日あたりびには志有り。

養子可能出世の口添え等何かと計らい受け後ろめたし。      

養父呪詛したこと子息一族に告白す。されど、一族通報せず。

卜占した処、恨み強すぎ祓えず。人形破壊すれば即一族滅亡。

ひたすら鎮魂に努めるべし。一族宅で保管、定期的に鎮魂祭催す。

うち、一族の生気吸ってか人形黒髪生える。若君白髪。

鎮魂祭の効果か、激しい頭痛をもってではあるが障りを知らす。

最悪の事態回避できるも命削られ若君短命。

長い年月を経るうち、いわくの詳細不明となる。

激動する時代の流れに、互いに疎遠になるも両家長く続く。

呪詛人形は、疫神『御守おもり様』と呼ばれ大切にされる。

★御守様人形:

作りはほぼ天児と同じ。芯を木で組みそれに白絹を巻いたもの。

中に、若君の髪の毛仕込み呪詛。

はじめ頭部は丸坊主であったが次第に黒髪が生えてくる。

祭りの際、黒髪切り揃え着せ替える。次第に衣装、華美になる。

一族の呪いと繁栄が表裏一体。

伝承されるうちに、人形の持つ意味合い変わる。

★無限奪回の方法 :

無限の身体に触れない子息は、結界の外に防御をはる。

無限の身体の奪回には、子息が張った防御を破らなければならない。

それには、子息を倒す必要がある。死んで防御が解けるのだ。

それから、可能がたてた結界を解除する。

つまり、子息を倒しただけでは御前様一族の呪詛は消えない。

★忍冬 :

春から初夏にかけて花が咲く。枝は蔓状。黒い実を付ける。

花言葉は、『愛の絆』『献身的な愛』。

効能は、抗菌作用有り。解毒、解熱などなど。

無限京に出立時、子の身体を心配し、母が忍冬の生薬持たせる。

実家の庭に咲く忍冬で母が作ってくれたもの。

どんなに遠くへ行っても家族と繋がっているのだという思いを込めて、

京へ行ったら庭に撒いて育てよと種も持たされる。

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