こっそり企画
★某隊入隊してみた
蛙の呼吸(水と風から派生)
名前: 馨子 カオルコ
馨 カオル
名前の通り身体から自然とα波を発してる。
控えめで優しい甘い香りで何とも涼やかな香りがする。
年齢: 13歳
性別: 両性。というかどちらか不明。
見た目:珠*さん似の激可愛美少女だが、気が緩むとオタク系少年。
能力: 両生。超人的肺を持ち、泳ぎが得意。
力は弱いが桁外れの脚力。跳躍がすごい。
流派: 二刀流。左:馨使用(
右:馨子使用。
技 : いノ型 蛙飛上り切り
ろノ型 蛙飛下り切り
はノ型 蛙泳術
他あるけどどれも使ったことない。
家族: 父:睦生=天文学者。帝国大学教授。
母:凪子=主婦。*世さん似の美女。
他、お女中と書生さん達。
家柄: 父方=賀茂一派の末裔。
母方=武士の家系。廃藩後整骨院開業、伯父の代に病院開業。
性格: 馨子=好奇心旺盛。自由奔放。我儘。
馨 =おタク気質。合理的。いつも馨子の尻ぬぐい。
夢 : 馨子⇒
馨 ⇒数学者。
登場人物:水縹の剣士
無限(謎の美少年)
猿女巫女:
赤魂⇒ 猿に憑りつくと狒々になる
モグリ(高橋)・ヘグリ⇒古代栗の精
★生い立ち:
母が妊娠中、父は天体観測中何者かに惨殺。
母はショックの余り錯乱状態。
母体に影響きたし実家の医院に緊急入院。
一卵性双生児で未成育のまま早期出産。
伯父が探してきた謎の外科医により、
使えるっ部位を縫合して何とか一体とし生命を得る。
以後、一つの体に男児と女児二人が同居。
生物的性別は、陰蔵相も考えられる為、
思春期若しくは成人にならねば分からないとの事。
思春期に調和が乱れる為再手術が必要かもと言い残し、
手術後、女医は姿を消す。
出産後、神経に異常来たし、母は生きる屍と化す。
以後、母の実家で育つ。伯父に同年代の従兄有り。
従兄と仲いい。義伯母が変態にならないかとやきもき。
祖父祖母から大切にされるも、義伯母からは居候と冷たい視線。
伯父は人格者で厳しい。武士の心を忘れぬよう
従兄と共に居合道場に行かされる。
また、男女どちらでも生きて生けるよう女児としても躾けられる。
学校等不在時母が寂しくないよう馨子と馨の人形作る。
どちらか一つ落としてしまうので、二つの人形を合体し母に持たせる。
学校では男女と不気味がられ、悪ガキから意地悪されるも、
悪意もα波にのまれ、穏やかな気持ちになり二人は受け入れられる。
学校の帰りや、休みの日、たまに実家に帰る。
昔からいる行き場のないお手伝いさんと父の書生が家を管理してる。
@8歳:
実家の書庫で神代文字で書かれた文献を見つける。
帰り道、殺人鬼に襲われ危うい処、目の涼やかな剣士に助けられる。
太刀回りの美しさに加え、その秀麗な容姿に心奪われる。
馨子と馨は余りの恐怖で腰砕け、水縹の剣士に背負われ帰宅。
水縹の剣士、女の子もいたような気がしながらも、馨を背負う。
良い香りがする。戦いに追われる剣士にとって、その香りで、
張詰めた緊張が、何か、ほっと、解れる感じがす。
馨子は母凪子に水縹の剣士をひき会わせる。
しかし、凪子は人形を腕に無気力にいるだけ。
水縹の剣士は先ほど助けた少年(馨)を探すが見たらない。
いるのは母親によく似た可愛い女の子。
祖父母たちも「子供達を助けてくれて」と礼を言う。
水縹の剣士は少々違和感を覚えるも、従兄と遊ぶ馨子を見て、
何かの勘違いかと自分を納得させる。
その後、馨子、剣士に憧れ稽古に励む。
@9歳:
道場に某隊員募集のお知らせ有り、義伯母募集見る。
住込みとの事で、義伯母内容よく見ず、某吉日、某所に行くよう指示。
行った先が隊士選考会場。丸腰で趣旨も分からず参加。
日中歩けばピクニック気分。夜はα波を蓑に歩き疲れて爆睡。
草木に紛れれば尚更鬼も気づかず遭遇せず。
普通に歩いてゴールす。運営側は処遇に悩む。
実は、申込されておらず。名簿に登録無い事が発覚。
@母の死:
試験会場に行く前の話。
父睦生の法要終わり、父方の親戚と分かれ、伯父は家族を先に帰す。
少しでも病状がよくなればと凪子を連れ祖父母と馨子・馨と一緒に、
睦生と暮らした家へと立ち寄る。老いた女中と書生が迎える。
馨子と馨は、自分たちの家に母が一緒に居ることにはしゃぐ。
しかし、凪子はいつものように人形を抱いてぼんやりとしたまま。
密かに心を寄せていた書生は分かっていても心痛める。
ゆったりと時は過ぎ、日が落ちかけた頃、伯父は人力車を呼びにやる。
伯父は母を連れ人力車で、後から馨子・馨と祖父母は徒歩にて帰宅。
月が姿を現した頃、突然、何者かが凪子の乗った人力車を襲う。
二人は車から放り出され、車夫は喰われる。
伯父は惨事を目の当たりにし恐れ慄くが、凪子は表情一つ変えない。
殺人鬼は凪子の顔を確かめるように見ると凪子を抱え連れ去ろうとす。
凪子は声一つ立てることも無く、無気力でされるがまま。
伯父は果敢に殺人鬼にかかっていくも、簡単にはねのけられてしまう。
それでも食い下がる伯父。殺人鬼は足を取られすっころぶ。
凪子は、地面に頭を打ち付ける。
直ぐ殺人鬼凪子を抱え起き上がる。人形が凪子の腕から零れてしまう。
手から離れる人形を追って、凪子が暴れ藻掻きだす。
と、その時、水縹の剣士が現れ殺人鬼の腕を切り落とす。
凪子は解放されるも、殺人鬼の手は凪子の首を捕え、
その爪はぎりぎりと食い込む。凪子の顔は苦痛に歪む。
水縹の剣士は殺人鬼の首を切り落とし、
凪子を捕える手は消えてなくなったが、致命傷を負う。
意識が薄れ行く中、馨子と馨が駆けて来るのが見える。
水縹の剣士に抱き抱えられ、手を伸ばすも届かない。
最後に「こどもたちを・・・・」と言い残して絶命。
空には、血で染めたような真っ赤な月が浮かんでいる。
傷ついた伯父は祖父母に支えられ、馨子と馨は泣きながら、
そして、水縹の剣士は凪子の亡骸を抱いて家路につく。
水縹の剣士は皆を無事家に送ると、忽然と姿を消す。
月は既に高く、青白く水縹の剣士を照らす。
何気に懐に手をやると、あの人形が、不格好な人形。
無意識のうちに拾い懐にしまっていたものだ。
あの一瞬、最後の瞬間、光が差した凪子の眼差し、
嗚呼、正しく刹那・・・・。
まだ暖かく、凪子の温もりが水縹の剣士の腕に残る。
姉への思慕からであろうか・・・凪子の残り香が悩ましい。
最後の瞬間、その眼差し、水縹の剣士に深く爪痕を残す。
@入隊後 :
入隊後、取り敢えずお屋敷預かりとなる。隊の趣旨をお教えらる。
はじめて、自分達の置かれた立場を知る。
剣術の稽古や鍛錬と称して掃除などさせられ様子見。
暇を見つけては馨は神代文字の解読に時間を費やす。
その間、馨子は転寝。馨思考中、屋敷の探索などす。
馨子が庭の奥に池を見つける。以後、二人のお気に入りとなる。
或る日、池の畔で馨が古文書読み解いていると、
同じ年頃の少年と出会う。端正な顔だち。
まだまだ幼さが残るものの、何か殺気だつ大人びた表情をしている。
少年は「無限」と名乗り、二口三言言葉交わし去る。
@10歳:
誕生日に奥方様が祝って下さると言うので、
馨は馨子に綺麗な晴着を着せてやって欲しいと頼む。
屋敷の子供たちが何時も綺麗な着物を着ているのを、
馨子がうらまやしそうに見ているのを不憫に思うっていたから。
誕生日、今日は自由にしていいと言われ、約束通り、
馨子は綺麗な着物を着せてもらい大喜び。
馨子は、そそとした様子で庭を散歩する。
池の水面をぼんやりと眺めているうち馨子はふっと虚しくなる。
綺麗な着物を着たからとてそれが何であろう。
いつまでこんな生活が続くのだろうか。と、
虚ろげに上げた視線と無限の視線が八合わさる。
無限に名を問われ、カオルコと答える。
どこか呆けた無限の耳には「カエルノコ」と聞こえる。
馨子を呼びにお手伝いさんが来て、馨子は行ってしまう。
無限の頭の中ではカエルノコ・カエルノコ・と木霊する。
後日、池の畔で馨が本を読んでいると無限が現れる。
ここでとても綺麗な少女に会ったと言う。
馨は、多分それは、妹の馨子だと告げる。
が、またも、無限の耳にはカエルノコが反響。
馨もそうだが馨子は、おっとりとして、とても戦えるとは思えない。
無限、心配に思う。
★御前試合:
無限は御前様に呼ばれ、馨たちと試合をすることとなる。
御前様が馨子と馨の適性を見極める為だ。
無限は馨と木刀を交える。馨は逆手持ち。
しばし、両者睨み合い。
その内、馨の表情が引き締まりどんどん表情が変わっていく。
遂に、馨の中に馨子が現れ、木刀を握りなおす。無限に隙。
馨子はその隙を突き、闊にも、無限は木刀を落としてしまう。
が、すかさず無限は馨子の右腕を掴み上げその手から木刀が落ちる。
無限、確信を得る。
御前様の、そこまで!の合図で終了。
無限は御前様に素質を問われ、剣術に於いては確かで素質もある、
と答えるも、相手に対しては、消極的攻撃であるとも言う。
つまりは、隊士としては向いてないということ。
御前様に、殺人鬼に親を殺され仇を討ちたいと思わないのかと問う。
馨子は、武家の娘として悪党あらば成敗してくれると答えるも、
馨は、自分は学者になることが夢で血生臭いのは好まぬと答える。
自分は万能ではないので、寧ろ、返り討ちになるのではとも言う。
御前様に、ならば帰るかと問う。
二人は、母も祖父母も死に、今更伯父の世話にはなりたくないと言う。
ここに居たいなら、働いてもらわなければならないのだよと言われ、
ざっと、職務に合わせた給金の提示をされる。
馨は父なき後は幼いながらも当主である。
自分が家を守らねばならいと思っている。
受け継いだ家の維持費に、行き場のない年老いてキク、父の書生、
なにかとお金は入用。渋々契約す。
但し、きっちり二人分よこせと要求。御前様は苦笑い。二人は下がる。
御前様は、無限が木刀を落としたことを尋ねる。
木刀を落としたのは、あの子らの特性に驚いただけだと言い跳ねる。
御前様は、あの子らには奥の警護をさせようと言う。
馨は頭がいいし馨子は面白い、奥方も気に入ってるとも言う。
だが、何時、子供達が襲われないとも限らない。実践は必要とも言う。
そして、「あなたに黙って行かせたりはしないよ」と無限に約束する。
無限は、結局は二人は戦いを強いられるのかと思うと心が痛んだ。
★指令:
お使いと称して実戦演習に行かされる。無限同行。
道中、神社を見つけ、馨がどうしても立ち寄りたいと言う。
無事を祈るものと思い神社へ向かう。
馨は清めて拝礼すると奉納している絵馬に駆け寄りあさり始める。
無限は驚きとめようとするもゆうことを聞かない。
黙々と無視。馨子に聞こうとしてうっかり「カエルコちゃん」と言い、
馨子がむっとする。カオルコちゃんと言い直すも上手く言えない。
後はがん無視。馨は黙々と絵馬をあさっては、考えている。
暫くして算術修行だと言って無限に絵馬に書かれた問題を見せてやる。
まただと馨子は馨の行動に飽きれるが無限は感動する。
道中、馨は無限に将来数学者になりたいと告げる。
馨子がすかさず、私は水縹の剣士のお嫁さんになるのと答える。
無限は、「将来」と言う言葉に表情を曇らす。
そして、何故かしら、水縹の剣士とやらの存在に不愉快になる。
日が沈みかけ、馨子が疲れたと言い歩きたくないとはじまる。
馨も、もう今日は休もうと完全へたる。
無限は仕方がないので手ごろな木陰を見つけ、飯を食おうと宥める。
眠気眼でおにぎりを頬張り、食べたら二人は速攻爆睡。
挙句、転がり落ちて草むらに紛れる。
無限は探しに行くも全く気配無し。
そうこうしているうちに、背後から殺人鬼が襲いかかる。
無限は馨子や馨の姿を早く見つけなくてはと注意散漫になり、
少々苦戦するも首を切落とす。その首は寝ている二人の頭に当たる。
寝ぼけ眼で見てみると、凄い形相。ぎゃ~!!
と、一瞬取り乱すも、ゆっくりと顔はさらさらと崩れ落ちていく。
近づくと殺人鬼が何か言っている。
「人間でいた頃を思い出しているんだ。」と無限が教えてやる。
馨子は殺人鬼の言葉に耳を傾けるも、馨は誓紙を頭部に貼った。
すると、あっという間に消えてしまった。
馨子は、まだ喋っていたのにと呟くと、
とっとと浄化させた方がいいのだと馨は言う。
無限が回想は殺人鬼達の懺悔でもあり最後の花道なんだと教えるも、
馨は同情をかったからって罪が消えるとは思えない。人食いは重罪だ。
それより畜生道から一刻も早く解放してやるべきだと主張する。
誓紙は情悪な根性を捨て真っ当な人間に成ると誓うもの。
こんな誓紙で浄化されるとは思えないけど馨子が言うから作ってみた
と、馨は無限に誓紙をみせてやる。
「鬼畜と言え元は人。心の隙に、邪気が入り込んだせいだ。
ただ、切り刻むには心が痛むよ。」
しかし、見せられても、無限には神代文字が分からない。
まだまだ殺人鬼はやってくる。もう寝るなと無限は言うが、
だったら朝早く出てきたらよかったのにと不満を言い眠気を堪えるも、
結局、二人はすぐまた寝てしまう。
空が白々と明けてきた。この夜はそれで終わった。
無限はやっと息をつく。そして、疲れ果てた身体を横たえる。
起きたのは昼過ぎての事。二人はまだ寝息をたててる。
無邪気な寝顔に心が和む。ずっとこうしていたいと思いながら、
思わず髪に触れたようとした途端、馨が目を覚ました。
馨はしまった!とばかりに、起き上がり、次の神社に行こうと言う。
近くの小川で顔を洗い、残るおにぎりを頬張りながら歩き出す。
随分歩くも寺社仏閣は無く、大きな沼のほとりにやって来た。
日も随分傾いてしまった。
またも馨子が疲れたのお腹がすいたのがはじまった。
魚を釣って食べることにした。
3人は適当な枝に紐を付けてたらしていると、
突然、馨の足が引っ張られ沼の底へと引きずり込まれる。
すごい速さで、どんどん深く引きずり込まれる。
息が続かず馨も馨子も藻掻くも、捕まえられた足は離れない。
もう駄目かと極限に追い込まれたその時、馨子が藻掻くのをやめた。
殺人鬼は死んだと思い力を緩めた。
ゆらゆらと流れに身を任し、少しづつ、肺から息を吐きだす。
と、随分、楽になってきた。その隙に、水を強く蹴り水面へと向かう。
殺人鬼が後を追うも、すばしっこくてつかめない。
やっと、水面に顔を出し大きく息をついた。
その後も何度か引きずり込まれそうになるが、
空気をめいっぱい溜めては噴き出して勢いつけて蹴り返す。
殺人鬼が水面から顔を出したその時、無限がバッサリ首を切り落とす。
沼の水面に殺人鬼の血が広がる。頭がゆらゆらと畔に流れ着く。
馨子は大きく何度か息をして、乱れた髪を掻き分け陸に上がった。
「そうだ、あれは・・・・」と回想が聞こえる。
馨は誓紙をすかさず張ってやるが、
濡れて滲んでしまったせか前より消える速度が随分遅い。
ともあれ、こうして蛙の呼吸を身に付けた。
すっかり、暗くなってしまった。
焚火を焚いて濡れた身体を乾かしながら魚を焼いて食べた。
いかにも人間ここに居ますよと言わんばかりに。
随分夜も更けてしまった。
当然ながら、かさかさと何者かの動く気配がする。
それは、一つならず次々と、やがてざわめきになる。
無限は咄嗟に刀を抜き切り被る。
馨子は身をかわして高く飛び跳ね殺人鬼の頭に着地。
その数は、5,6はいただろうか。
馨子はうまくかいくぐり、無限はばったばったと応戦。
逃げるだけの馨子に「切れっ!!首を落とせ!!」と無限が叫ぶ。
馨子は鞘から刀を抜こうとしたその時、殺人鬼に捕まってしまう。
無限は、助けに行こうとするも殺人鬼どもが邪魔をする。
殺人鬼は髪をむんずとつかみ馨子の首筋に喰いつこうとしてる。
その時、颯爽と水縹の剣士が現れ、鬼の首を切り落とす。
馨子は、呆然とその姿を見る。殺人鬼は全て倒された。
水縹の剣士は「何故ここに居る。」と険しい顔で馨子に問う。
無限が馨子の所に漸く辿り着く。
「君たち、ここに居るべきではない。帰るんだ。」
と言って水縹の剣士走り去ってしまった。
馨子は、その姿を見えなくなるまで見送った。
「あいつが水縹の剣士か・・・」と無限は睨む。
ようやく我に返った馨子は襦袢姿であるのに気づく。
憧れの水縹の剣士にあられもない姿を見られてしまったと落込む。
また、無限が傍に並んでいることに気がつくと、
「水縹の剣士様が勘違いされたらどうしましょう。」と涙声。
「大丈夫だよ、僕たち子供だもん」と馨が言う。
無限は、その言葉にむっとする。
気がつけば、殺人鬼達の亡骸は消えていた。
水縹の剣士は走りながらはっとして懐に手をやる。
勿論人形は無い。何をするのも時間がない。至急を要していたからだ。
馨子たちは疲れた足取りでお屋敷に帰る。
御前様と無限との会話:
数日後、御前様に報告。
御前様から「あの子らは殺人鬼を退治したの?」と問われ、
無限は殺してないと答える。
「わたしは考えてたんだよ、ずっとね。
どうしてあなたが木刀を落としたか。
あの子らは不思議な力があるね。
何かとても清々しい気分にさせられる。
子供たちもそう。緊張がほぐれ子供らしい顔になるんだ。
あなたも、随分と表情が柔らかくなった。」
それは、α波によるもの。
「でも、それだけじゃないよね。
選抜試験の時も、いくらあの不思議な力があるからって、
殺人鬼1鬼にも会わないなんて、そんなことあり得ない。」
「・・・・・・。」
「馨子は綺麗な子だね。あんな綺麗な子はそうそういないだろうね。
あの時、『消極的攻撃』は、寧ろ、あなたの方じゃない?」
無限は俯きを顔を高揚させる。
「あの子らは・・・あなたの何?」
暫く沈黙が続くも、黙りと通せるものでもない。無限は漸く口を開く。
「わたしの許嫁によく似てる。」
「そう。あの子、あの子らが、もし生まれ変わりだとしたら、
若し、そうであるなら・・・
この悪い連鎖を断ち切れることができるだろうか。」
無限は悲し気に視線を落とす。
「あの子らはこの先危険な目に合うだろう。否応なしにね。
分かって下さい。あなたにはすまないと思っています。」
何やら意味ありげな怪しい会話。
★後日 :
無限は馨に何故殺人鬼を殺ろさないと問う。
しかも、馨子に任せて戦いもしないと責める。
馨は殺生は性に合わないといい全くやる気がない。
殺されてもいいのかと問えば、
襲われたら仕方がない。切るまでだと、一丁前なことを言う。
焦る気の無限はつい言ってしまう。
「じゃ、何故あの時、噛み切られそうになっても戦わない。」と。
明らかに力不足ではあるが、馨は返す言葉もなく黙りこく。
それでもなんとか自覚して欲しい一心で、
「あれでは死んでいたぞ。馨子ちゃんが殺されてもいいのか。
駄目でも戦え。僕が必ず助けてやる」。と励まし、
それに、殺人鬼1鬼倒すたび報酬が出るぞと教えてやると、
にわかに馨の目の色が変わった。
「助けてくれたのは水縹の剣士よ。」
と、馨子の無邪気な言葉に無限は歯ぎしり。
以後、馨はそれなりに身を入れて剣術の稽古に精をだす。
馨子は大きな庭の向うに、隊士たちがいるのを知っている。
また、御前様の御子たちから聞かされているのでざっくりとだが、
なんとなく知っている。友達になりたいと思ったりもする。
でも、奥を出ることは禁じられている。
また、こんな身体で、自分たちの存在を否定されるのが怖かった。
或る日、馨子は無限に質問した。
「無限はどの位なの? 鳥は何て名前なの?」
御前様の「御庭番」だから位は無い。鳥も居ない。と言う。
御庭番ってなにするのと尋ねられ、しばし考え答える。
庭を掃除するのが主な仕事。後は、御前様の暇つぶしの話し相手かな。
それから、「水縹の剣士も隊士しなの?何ていうお方?」と尋ねるも、
「知らない。」とだけつっけんどに答える。
★鬼子事件:
お屋敷内のある部屋に鬼子がいると噂を聞く。
馨は止めるも馨子は奥をこっそり抜け出し鬼子を探す。
怪しげな部屋を見つける。不用心にも鍵が開いている。中に入る。
部屋の戸という戸は閉ざされて薄暗い。何とか見えるくらい。
鬼子はお布団に寝かれている。封印だろうか口に何か噛まされてる。
薄明りの中、そっと覗くと可愛らしい。
寝息をたてて寝るその姿は普通の少女そのもの。
しかし、その長い髪は普通の人のそれとは違うよな。
次の日、もっとよく見ようと、
途中、馨子と馨と同じくらいの少年を見かける。
一瞬、無限と思うも異様な雰囲気。無限じゃない。
そうは分かっていてもついつい「ムゲン。。。」と声が漏れる。
少年は一瞬怪訝な顔して睨みつけ行ってしまった。何か怖い。
眼がすわっている。「やっぱり隊士は違うね。」と馨が呟く。
鬼子の部屋に行く。鬼子は例の如くよく寝てる。
明かりを灯してよく見ると、鬼子の髪が何とも言えない。
赤とも言えず、茶とも言えず、照らしてみると不思議な光沢。
馨子は、吸い込まれるようその髪を見入る。
珍しきもあり、うらまやしくもあり、遂には触れたくなる。
触ってみればひんやりとして艶やかで気持ちいい。
頬から指を通していけば、さらさらとして淀みない。
馨子は鬼子の頭に優しく手を置くと、鬼子が薄っすら目を開けた。
そしてゆっくり上半身を起こして、馨子を見た。
その瞳には薄く桃花色がさしている。馨子は益々心奪われる。
吸い寄せられるよう馨子は鬼子の顔を近づけ、優しく髪を撫でつける。
そして、声をかけてみたが、鬼子はきょとんしているだけ。
馨子は、今度は大胆に鬼子の髪を掻き上げる。
と、角がない。鬼子であるのに角がない。
馨子は鬼子の髪を持ち上げ、頭の上に右と左に小さな瘤を作って、
そこに髪を巻き付け角をつくってあげる。
鬼子は気持ちよさそうにうつらうつらとし、できる頃には寝てしまう。
馨子が何気に見たその体には何か所も傷がある。とても痛そう。
次の日、人がいないのを見計らい、薬をもって鬼子の部屋に行く。
しかし、傷は殆ど癒えてる。馨子は驚くがほっとする。
鬼子は目を開け、半身、身を起こす。
やはり、馨子は鬼子の髪がきにかかる。どうしても欲しくなる。
馨子は鬼子に髪の毛を頂戴と言う。鬼子はα波でこくりこくりしてる。
馨子は、承諾を得たと思い、鬼子の髪を刀で気前よくバッサリ切る。
馨子は喜んで帰り、鬼子はぱったりと寝てしまう。
後には、鬼子の散切りが部屋中散らばってる。
鬼子の作った角曲げは騒ぎになるが可愛いということで許される。
しかし、斬髪は、悪戯では済まされないと大騒動になる。
覚醒 :
騒がれてるとは露知らず、馨子は鬼子の髪で鬘を作る。
何日かかかる。或る日の事、馨はやめろと猛反発するも、
馨子は部屋でこっそり鬼子の鬘をかぶる。結構似あって可愛い。
鏡を覗いて満更でもない様子。と、突然頭が締め付けられる様に痛い。
あまりの痛さで意識が遠のく。馨子が恐ろしい幻を見る。
映像が断片的。澄み渡る青空。時は、平安。
何の祭事であろうか綺麗な行列。天子様の御行列のよう。
一目見ようと貴族たちが牛車をたてる。
馨子はどこぞかの姫君の牛車に乗せてもらっている。
美しい御行列が行くのが見える。
その御行列に武官装束の無限を見つける。
眩いばかりの美しさ。馨子は嬉しくもあり誇らしくもある。
場面は変わってゆらゆらと篝火がゆれている。
立派なお屋敷で祝いが催されてる。
馨子は女童とし宮中に上がるよう迫られる。
馨子は頑なに拒否。その場を立ち去り伏目がちに縁側に佇む。
憂いがちにふっと目を上げると、植木の影にいる無限と目があう。
映像が飛んで、男とも女とも付かぬ怪しく妖艶な化け物が屋敷に乱入。
逃げまどう人々。無限が絡めとられ浚われる。
馨子は必死に叫び手を伸ばすが、幾重にも重なる手で抑え込まれる。
抗う無限。しかし、無限は化け物に抱えられ遂に消えてしまう。
馨子は恐怖と絶望とで泣き喚き錯乱状態になる。
馨子の尋常ならぬ悲鳴で奥は大騒ぎ。
無限がいち早く駆け付け、馨子を部屋の外へと連れ出す。
鬼子の髪は太陽の日差しの下、焼き縮れていく。
馨子は無限が浚われた。と泣きつき、馨子失神。無限呆然。
やがて全てが燃え尽きる。
後日、馨が木に吊るされてる。無限が声をかける。
悪戯したお仕置きだと言う。
馨子がしたことでいつも自分がお仕置きされる。
馨子は意識を消して知らぬふりだと不平を言う。
無限は馨の縄を切ってやると、馨はどすんと尻もちを着く。
「馨子ちゃん今いないの?」と聞くと「いない。」と馨は答える。
「君も同じものを見たの?」と聞くと「そう。」と馨が答える。
馨は無限に馨子が見たのと同じ事を話して聞かせる。
「でも、僕は馨子が気絶したその先も見たんだ。」と言う。
勾玉かかえどこぞかの屋敷に駆けこむ。
屋敷には、この屋敷に居る人たちによく似た人らが居る。
「僕は怒りで気が狂いそうだ。思い出すと、今でもそうだ。
どうしようもなく悔しくて、憎くて憎くてたまらない。
僕の右半身は喰いちぎられた。
屋敷の人も、この屋敷も、全てが呪わしい。」
いつも感情を表に出さない馨が、身体を震わせ怒りを顕にす。
「幻覚だ。鬼子の毒に当たったんだ。
悪い事を見せて怒りたたせて、そうして仲間にするんだ。」
しかし、馨の怒りは納まるどころか奮い立つばかり。
「駄目だ。気を確かに持て。呑まれてしまう。」
無限は馨の身体をきつく抱き抑える。
「何ともないよ。ほら、君の身体はなんともない。
憎むべきはあいつだ!!お願いだ。彼らも十分苦しんでいる。」
馨の怒りは徐々に治まる。「僕・・・呪詛を・・・」
「違うよ。違う。まやかしだ。鬼子の毒が見せた幻だ。」
宥めるように無限は囁く。馨は鎮まるも尚も無限は馨を抱きしめる。
「いたっ。いたい。」と馨子が言う。
無限は驚き顔を赤らめ手を放す。顔を寄せる馨子に益々赤面。
「無限、あなた、殺されてしまう。嗚呼、どうしましょ。」
咄嗟に馨子の脳裏に幻影が過り、涙目で訴える。
「君は鬼子の毒にあてられたんだ。全部、まやかしだよ。」
無限が優しく馨子を見て「僕はここにいるよ。」とほほ笑む。
馨子落ち着きお尻が痛いと言う。そんな馨子を微笑ましく思う。
「この髪の方が僕はすきだ。」
馨子の髪に優しく触れる。「濡羽色のこの黒髪が。」
「酷いのよ、御前様は。鬼子はくれるって言ったのに。」
「鬼子が言ったの?」「ちょうだいと言ったら頷いたわ。」
「酷い御前様だ。後でしかってやるよ。」
そして無限は今後絶対奥から出るなと釘を刺し帰って行った。
「無限は優しいね。」と馨が言う。「うん。」
「それに強いね。」と馨が言う。「うん。」
「僕が女だったら、お嫁さんになりたいくらいだ。」と馨が言う。
「わたしは水縹の剣士。」「・・・・あ、っそ。」
里がいり:
老いた女中キクキトクの電報有り。お里下がりの願い出す。受理。
無限は屋敷を離れては君たちを守れない。行くなと懇願するも、
老女は父母をよく知る数少ない人。
どうしてもそばにいてやりたいと二人の気持ちは固い。
無限は「僕はここまでだ。」と、屋敷を出た外堀まで二人を送る。
「必ず無事に帰ってこいよ!」と去り行く背中を見送った。
家に着く。老女喜び身罷る。
その間、家を片付ける。
父母が幸せであった時分、暮らした家だと思うと愛着がわく。
二人は片づけをしながら老女が話してくれた両親に思いを馳せる。
数日過ごして、後は書生に任せ職場に戻る。
家を出るとき、馨が試しに書いた護符を家にはる。
ついつい出かけるのが遅くなり、日が沈む。
道中、荷物が重いと馨子が不貞腐れる。
もうお屋敷はすぐそこだと言うのに辺りが騒がしい。
腕が飛んできた。馨子身構える。が、戦いは終わっていた。
四肢がまだ散らばっている。
馨が鎮魂の詞を唱えると、風が巻き上がった。
そして、全てが掻き消えた。急いでお屋敷に戻る。
後は、月の光りに照らされて草木の影が微かに揺れるだけ。
★戻った後:
無限と再会。無事の再開を互いに喜ぶ。
馨は無限に刀を研いでもらえないか尋ねる。
先祖代々受け継ぐ『
どこともなく霧が立ち込めるよう、
魑魅魍魎どもは湧き上がり地上を覆う。
この刀を振ると魑魅魍魎どもは切刻まれ散り散りばらばらに。
それはまるで雲散霧消の如く。故に『霧切』。
また、本当か嘘か、『霧を切る』とも言われている。
他に、呪文の書も持ってきたと言う。
但し、神代文字で書かれているため解読が必要。
「陰陽道なんて当の昔に滅んだ非科学的な迷信だと思っていた。
だけどどうだい、この現実は、僕たちがいるこの世界は、
非科学的で、非現実的なことが起きている。
僕は、日常から逸脱したこの現実が受け入れられないでいたんだ。」
と馨は言う。
「僕たち、馨子と僕と、この存在自体が奇跡だと言うのにね。」
と皮肉に笑う。そして刀を両の手に持ち前に突き出す。
「随分と古ぼけてしまった。錆付いて抜けないんだ。
元に戻せるだろうか。」
「腕のいい刀匠がいるから。大丈夫。心配するな。」
馨は祓霊刀霧切に誓う。
「今まで御免。僕はもう逃げないよ。
君の思うやり方ではないけど、僕は僕なりに戦うよ。」
無限は祓霊刀霧切を預かっていく。
大丈夫と言ったものの、実際は大変なことで、修理に窮す。
鞘から抜くのに難儀はしたが、抜いてみれば刀身の錆は少ない。
しかし、戦闘用の刀と違い、また、時代も違う。
手こずるも、そこは名匠、時間はかかったがなんとか修復。
拵えの方は、鞘は金粉の上に薄く漆がかかっており、
目貫には瑠璃や珊瑚、瑪瑙など円上に5色を配し、
要所要所に技巧が凝らしてあり、美しい造りをしている。
所々剥げたりしてるが十分使える。
★納品 :
幾年も重ねた垢は、すっかり初々しくなって返ってきた。
抜いてみれば、一点の曇りも無く、日の光の下、鋭い光を放つ。
また、その波紋は穏やかにて繊細。
しかし、悪霊を前にするとその波紋がささめき出すと言われている。
★御前様愚痴る :
祓霊刀霧切の修繕を知った御前様は、馨が覚醒し始めた事を感じとる。
どうして教えてくれなかったのかと、無限を非難。
無限は心中穏やかではない。
「時は動き始めた。
今やらねば、未来永劫救われない。」
「・・・・・。」
「猿女の巫女を呼び寄せよう。」
御前様新たに祈祷所築造命ず。
一人、孤独に葛藤す。
二人を失うんじゃないかと言う恐怖。
ならば、いっそこのままでもいいのではと。
書生からの手紙:
『家借りたいという人有り。お貸ししてもいいでしょうか。
ちゃんと家賃は払っていただけるとの事。
ご家族様の私物や貴重品の類の使用は致しません。
ただし、食器類や家具等日用品の使用の許可を願います。
人柄は補償いたします。
お医者をされてる方で、とても誠実で信用のおける人です。
応接間を診療所として使用させて頂きたいとの事ですが、
宜しいでしょうか。
宜しければ、部屋はキクさんの部屋を使っていただく予定です。』
といった趣旨の手紙が父の書生から届く。
馨子は、知らない人が出入りするのは嫌だと言うも、
馨は、家賃が入るとのことで承諾。
後、賃貸契約書が送られてきた。印鑑を付き送り返し契約成立。
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