第2話  Σあっ 危険が危ない!

★7/10

朝、バスが来るのを待って、バス停に立っているのだが、

バス停の傍の建物に、燕が巣を作った。

別に珍しい事じゃない。

この時期、よく見慣れた光景だ。

親燕が忙しく餌を運ぶのが甲斐甲斐しい。


そうこうしてる間に、

雛も飛べるようになったらしい。

小さな燕が数羽、巣の周りを飛んでいた。

とてもたどたどしく、

こわごわとして、

それも、段々飛ぶ範囲を広げながら。

そんなほのぼのとした朝の光景。


休みになればバス停に行かない日もあり、

一寸見ぬ間に、ちびっこたちも一丁前になり、

燕が飛ぶのが当たり前になったある日、

事件が起こった。


一羽のカラスが飛んできた。

巣のある建物の駐車場に舞い降りた。

すると数羽の燕がいっせいに集まってきた。

巣からだろうか、

向こうの方からだろうか、

突っ込むようにカラスに向かって飛んできた。

凄い速度で遠巻きに行ったり来たり。

中でも1羽凄いのがいて、

カラスのすぐそばまで突っ込んだ。


それでもカラスはひるまない。

邪魔くさそうにしてるけど。


数羽の燕が隣の建物の軒下に飛んだ。

隣の建物の階段や手すりに止まってみたり、

軒下を飛び回ってみたり。

つられてカラスも隣の駐車場に止まった。

ちょんちょんと飛びながら。

ちょんちょんと飛びながら、

いろんな角度で隣の建物の軒下を覗いて。

覗いても覗いてもお目当ての物はなし。

ついに諦めて向こうの方に飛んで行った。


それでも、しばらく、

燕はカラスを付け回してたっけ。

そして、バスがきた。

その後のことは分からない。

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