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「お願いよ 早く飲ませて」

高熱の少女の腕は力なく

手には 毒玉が載せられれてるだけで

もはや どうにもしようがなかった


少女は口元に優しく毒玉を押し込んだ

一番鳥が 夜の終わりを告げた

最後まで見とることなく

あわてて自分の毒玉を頬張った


どれほど苦しんだろうか

どのくらい苦しんでいたのだろうか

少女は もう 何も感じなかった

音も 光も 刺すほどの冷えさえも


目覚めた男たちは さぞ驚いただろう

そして大騒ぎをしたことだろう

後悔したって足りないほど

お互いを罵り合ったに違いない


男たちは 少女たちの亡骸を

腹立たし気に 乱暴に

河辺に掘った穴に 次から次へと投げ入れた

それで 全ては 終わった

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幻夜 苔田 カエル @keronosuke3

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